きものサロンながしま福岡支店

福岡支店のスタッフが更新するブログです。
お着物に関するお悩みのあれこれを、より分かりやすくお答えいたします。

伊勢神宮

2024-03-15 19:09:27 | 日記
先日集荷に伺ったK様
行橋市に近い苅田町というところにお住まいです。
福岡市内からだと車で約2時間。
福岡県の西から東へと移動することになります。

遠方ですので、集荷に伺う際は
ご本人様のお着物と同時にお友達のお着物も預かって下さいます。

で、
先日の集荷ではK様のお着物も含めて10人分。
20点以上はありました。
「これとこれは○○さん」
「これは染みの見積もりも要るみたいです」
「こちらの色無地には紋を入れて・・・」
等々、各お客様毎のご注文を細かく指示して下さいます。

実はK様
毎年、年に一度は伊勢神宮の参拝にいらっしゃるそうで、
「今年は4年ぶりに行きました」とのこと。
その10名の方が各々お着物をお召しになり、新幹線に乗って行く様を想像すると
やっぱり目をひきますよね。

着物って、お召しになってるだけでパワーがありますから、
それがちょっとした集団となるとなおさらだと思います。

「着物を着る時って、ホントにお伊勢さんに行くときだけなんですよ」とも。

それでも、お伊勢さんにお参りに行くなら
やっぱりちゃんと着物で行かなきゃ。。。
そんなお気持ちを感じます。

この仕事をしてて、
お着物に対してそんなお気持ちでいて下さることがとても嬉しいです。


よく頑張りました

2024-03-07 17:42:37 | 日記
本日ご来店下さったT様
振袖一式の丸洗いをお承りしました。

桜色一色の無地に大きな波頭と鶴の地紋。

「初めてのご利用でいらっしゃいますか?」
「いえ。以前、姉が利用させて貰いました」

調べてみると確かに4年前に、やはり振袖一式の丸洗いをご注文下さってました。
色柄が一緒だったので
「このお振袖をお姉様もお召しになったんですよね?」
「はい。母の代から私までずっとです」

「多分、三人で10回以上は着てると思います。
 だから、母もよく頑張ったよね。。。この振袖。。。と言ってました」

で・・・
先日、三人の振袖姿の写真を並べて見たそうで
その光景を想像しただけでも、なんとも微笑ましいですよね。

振袖としては今回でお役目ご苦労様ですといった感じですが、
もしかしたら、この無地の振袖の袖丈をお直しして
(あるいは染替をして)
今度は色無地として、また母娘三人のなかで活躍する日が来るやも知れません。
そんなこと想像したら本当にワクワクします。

まさにお着物ならではの展開ですよね



年輪

2024-02-29 18:16:24 | 日記
先日、初着の丸洗いをお預かりしたN様

40年近く前に色無地をお誂え頂いたお客様です。
当時は確か24~5歳ではなかったかと記憶してます。

その後ご結婚され二児の母となり、
そして今では初孫のお祝いをするという・・・
その節目のたびに何らかのお取引があって今に至るわけですが、
振り返るとその40数年も早かったな~と思う次第です。

今でもお得意様であったお客様が、子供の初着のお手入れをお願いしたいとか、
当社に入社してご注文下さっていたお客様が、娘用に誂えたいとか
孫の初着をみせて欲しいとかのご依頼はありますが、
N様のように初めてご自分で誂えた時の担当者として
これほどまでに長くお付き合い頂けることに深く感謝してます。

軌跡というか年輪というか。。。。
そんなものを感じます。
まさに呉服屋ならではのストーリーですよね





本比翼

2024-02-22 18:20:47 | 日記
昨日お伺いしたK様
訪問着の裄・身丈直しや長襦袢の広衿をバチ衿にするなどのお直しを納品させて頂きました。

その中に
色無地を長襦袢にお仕立て直すという珍しいケースがあったんです。

遡ること昨年の4月。
K様が初のお茶会にお召しになろうと準備されたのが、
深緑の訪問着と白の長襦袢。
着付け前日に美容室に持って行くと
「これ。長襦袢じゃないですよ」と、ショッキングな言葉が。。。
「えっ?じゃあ、これって、何ですか?」
美容室の方もよく分からなかったらしく
「何でしょうね~ でも、長襦袢じゃないことは確かです」
K様はお母様から長襦袢として譲り受けているので
「そんな筈ないけどな~」と思いながらも、当日は別の長襦袢を持って行かれたそうです。
(裄が合わなかったので、当日肩上げをされてお召しになったんだとか)

さて、そこで本題なんですが
K様が長襦袢と思ってらっしゃった白い着物。
これ、本比翼と言われるものです。

分かりやすく言うと白い色無地ですね。
昭和30年くらいまでは留袖の下にこの本比翼を着て、その下に長襦袢があるという状態だったそうです。
ただ、長襦袢に加えて着物を2枚も着るのはかさばるし、着付け時も着用時もとても面倒なので、着物の中にもう一枚着てるように見せるために考えられたものが今の比翼仕立てです。
衿・上前衽・袖口だけに白い布が付いてますよね。
今でもたまにですが、比翼が付いてない留袖の丸洗いを承ることがあったりします。

その本比翼を単衣の長襦袢にお仕立て直した結果・・・
本当に上質な生地の長襦袢が仕上がりました。
もちろん、K様も大満足です。
寸法の件で紆余曲折ありましたが、何とかご希望通りに仕上がったので私もホッとしました。

それと昨日、意外なことに気づきまして、
K様が訪問着だと思ってらっしゃった深緑のお着物。。。
実は色留袖でした。
「もう~~ 知らないって怖いですね」とK様。
確かに色留袖は出番が限られてしまいますが、
幸いにも三つ紋ではなく、背に縫い紋がひとつ。
まだお召しになる範囲は少しは多いかと思います。
そんなご説明をすると
「良かったです。でも、ホントに知らないって怖いですよね~」とまたもや。
「きものの事、本当に何も知らないのでこれからも教えて下さいね」と懇願にも似たようなお言葉でしたが、
「もちろんです。少しでもお役に立てれば幸いです」と。

これから着付けも習いたいとおっしゃってるK様。
徐々に徐々にお着物の事が分かってくるんだと思います。
私もそのお手伝いができれば、それこそ冥利に尽きます。


一生ものです

2024-02-09 18:26:59 | 日記
先日、集荷にお伺いしたA様
そこで、こんなお話をして下さいました。

「去年リメイクして貰った羽織・・・とっても評判良かったんですよ。
 ちゃんと、ながしまさんの事も宣伝しておきましたからね」と。

お亡くなりになったお母様の小紋をA様の羽織に仕立て直せるかどうか
とのご依頼でしたが、
昔の反物は巾も狭く、身長差が10cm以上あったので
「羽織丈と身巾はどうにかなると思いますが、裄丈はいま測った感じではいっぱいに出しても
 まだ短い状態になるかと。。。」
「あら~ やっぱりそうですか・・・」と残念そうなA様。

そこで、袖の所で継げば希望寸法に近づけられる旨をご説明すると
(継ぎ目の事などもご説明しましたが)
「それでもやっぱり、その方法でなんとか着れるようにしてください」とのことでした。
あとからお聞きしたことですが、
この小紋は銀婚式の時にお父様がプレゼントされた想い出のお着物だということで、
「このサイズじゃ着れないけど、何とか形にして父に見せてあげたいんです」と。

で、
先日お伺いした際にその長羽織を羽織った写メを見せて下さって、
お友達から「素敵ね」と褒められたとのことでした。

淡黄色の結城紬に茄子紺の長羽織。
帯は京紅型の染名古屋帯を締めてらっしゃいました。
確かによくお似合いでした
もちろん、その着姿はお父様にもお見せしたそうで、
「懐かしいな~ この着物・・・」と感慨深げだったそうです。
「もう一生ものです」とA様

綿々と引き継がれる、この感覚。
やっぱり着物っていいですよね