ちいさなさえずり

柏崎と刈羽の現在の鳥を柏崎の人が柏崎から発信していく。

イスカの標識記録

2017-10-15 09:15:53 | 柏崎の鳥 過去の記録

 柏崎で標識調査が始まり、春先に沢山のマヒワにバンドを付したことを先々回の“柏崎の鳥 過去の記録”カテゴリーでお伝えしました。丁度その頃、イスカにも春先バンドを付したことがあります。1969年のことです。マヒワは現在の東電柏崎刈羽原子力発電所でしたが、イスカはそれより柏崎の市街地寄りの松波町の松林です。現在のさざなみ学園や松風の里などがあるあたりです。いずれも連続する海岸線の砂浜に白砂青松が柏崎にあった頃のことです。

 当時は、砂山に下草のないきれいな松林が広がっていました。そこに、突然イスカがやってきたのです。イスカは、とても珍しい野鳥と思っていましたので、イスカを見ただけで感激ました。その鳥にバンドを付すお手伝いができたのですから、すごく昂奮したことを覚えています。その頃には、標識調査のスキルもできていましたので、正式にライセンスを取得していました。会社勤めも始まっていましたので、早朝や退社後、さらに休日を全部使って標識調査を行いました。結果的に、600羽弱のイスカにバンドを付しました。

 雄、雌、さらに雄の第1回冬羽、同じく雌の冬羽などが、標識調査を続けていくうちに分かりました。成鳥は、繁殖期を前にどんどんきれいになっていました。それに比べ、若い鳥たちは雄も雌も、少し淡い色合いでした。

 もうひとつ気の付いたことがあります。“イスカの嘴のくい違い”という言葉のあるとおり、イスカはクチバシがくい違っています。これは餌である松の実(いわゆる松ぼっくり)を食べるために進化した嘴とされています。このくい違いですが、上嘴が右で下嘴が左というタイプと、その逆の上嘴が左で下嘴が右というタイプがありました。この2つのタイプの割合は、6:4でした。ほぼ半々といったところでしょう。このことについては、遺伝的にどうなるかも気になります。同じタイプの両親、左右がくい違う両親、それぞれどんなタイプの子供がうまれるのか、ということです。柏崎では冬鳥ですので、繁殖を見ることはできません。いずれかの機会に知りたいとは思っています。

 残念ながら、当時の写真は1枚も残っていません。それぞれのくい違い嘴を並べた写真や、雄や雌、雄の第1回冬羽、同じく雌の冬羽などの写真を撮りました。しかし、いつの間にかなくなっていました。本当に残念に思います。その後、イスカがこの地に来ることはありませんでした。イスカも、年により渡りの形体を変える鳥です。同じ場所の定期的にやって来ることはありません。だからこそ、写真を失くしたことが残念なのです。

 

(11月より週1回にします。週末投稿を考えています。家庭の事情です。時間が足りなくなりそうです。申し訳ありませんが、よろしくお願いします。)

 

 

 


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