けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

出口戦略Part II

2020-05-11 23:41:05 | 政治
大阪府が「大阪モデル」と称して出口戦略のための3つの条件を示したのでコメントしておきたい。

まず大局的な話として、この様な議論を積極的に行う姿勢は大いに賛同できる。なので、その結果が方向性として正しいか否かは別として、議論を喚起している点で十分に称賛して良いと思う。ただ、その方向性として好ましい条件は何なのかというのは議論の余地があるので、その部分に対する言及である。

さて、大阪モデルの3つの条件は「感染経路不明者が10人未満」「検査陽性率が7%未満」「重症患者用の病床使用率60%未満」とのこと。このうちの最後の「重症患者用の病床使用率60%未満」というのは大いに賛同できる点である。ただ、もう少しかみ砕けば、ECMO装置や人工呼吸器の使用率の方が良いかも知れない。このECMO装置や人工呼吸器は患者治療の最後の砦なのだから、重症患者用の病床使用率が低くても、それらの重症患者が片っ端からECMO装置や人工呼吸器を使いまくっていたら、イザというときに最後の砦が残っておらず、助かる命も助からないかも知れない。なので、意図することは同じでも、この様な翻訳のし直しは必要ではなかろうか。

次に、「検査陽性率が7%未満」については、これは明らかに方向性として間違っている。なぜなら、PCR検査数を増やせば増やすほど、陽性率は簡単に下げることができるからだ。なので、早く自粛解除をしたければ、検査数を増やせばよいことになる。逆に、PCR検査数を減らすと陽性率は高くなる傾向があり、自粛解除が遠のく傾向がある。

最後に、「感染経路不明者が10人未満」の方はどうかと言えば、これも同様な理由で方向性として間違っている。というのも、単純に検査数を減らせば、自動的にこの人数は減らすことができ、検査数を増やすと自動的にこの人数は高くなる傾向があるからだ。

この様にみると、PCR検査数を思いっきり増やせば「感染経路不明者が10人未満」の方でアウトになり、PCR検査数を思いっきり減らせば「検査陽性率が7%未満」の方でアウトになる。そんなモチベーションは大阪にはないと思うが、敢えて自粛解除をしたくないと思えば、PCR検査数を恣意的に増やしたり減らしたりすることで、自粛解除できない状況を作り出すことができるのである。

これは逆に言えば、「感染経路不明者が10人未満」の方でアウトで「検査陽性率が7%未満」であればば検査数を減らし、「検査陽性率が7%未満」の方でアウトで「感染経路不明者が10人未満」であればば検査数を増やせば、恣意的に両方の条件を満たす可能性の高い最適点に導くことが可能になる。少なくとも吉村知事にその様な意図がないのは明らかだが、実務を取りまとめる人たちが、府民からのプレッシャーを受けてその様な行動(PCR検査数の調整)に出ないとは限らない。なので、その様な恣意的な運用が可能な数値目標というのは好ましくないのである。

また、ダメ出しをした後で言うのもなんだが、「感染経路不明者が10人未満」については、比率ではなくピンポイントの人数を採用しているのであるが、大阪モデルを他の都道府県モデルに焼き直すには、ダイレクトな数字よりも比率で表される基準の方が好ましい。そして、恣意的な調整がやり難くて妥当性のある評価基準は何かということになる。

私の提案は(ECMO装置や人工呼吸器の使用率に加えて)、PCR検査を行った総数から、「重篤化して明らかに陽性と思われるサンプル」、「味覚障害などの自覚症状のあるサンプル」、「クラスター追跡の濃厚感染者に該当するサンプル」などを除外したサンプルを分母とした場合の陽性率を評価基準に用いるべきだと考えている。除外すべきサンプルの選び方で恣意的な運用がなされる可能性はない訳ではないが、これは医療関係者や帰国者接触者相談センターなどに判断して頂けば、恣意的な作為をある程度は排除できると思う。なお、当初は上記の条件に該当する人しかPCR検査を受けさせなかったのでその様な評価を行っても意味はなかったが、最近になってPCR検査対象を拡張している傾向があるので、現時点ではこの指標は評価可能な指標であると考えている。

では、この様にして評価した陽性率は何を意味するのか?それは、武漢肺炎ともそうでないともどちらとも言えなさそうなニュートラルな人の中の陽性率に相当する。なので、この陽性率が高くなるということは、無症状の人を含めて市中の感染が拡大していることを意味し、陽性率が下がると感染は終息していることを示しているのだと思う。ここ最近のこの陽性率の推移を調べれば、終息傾向の目安になる陽性率をはじき出すことは可能であろうから、その基準値を目安に(ECMO装置や人工呼吸器の使用率と合わせて)自粛解除か否かを判断すればよい。この指標であれば、軽症者をホテルなどに隔離できる現状では、無理のない範囲でPCR検査数を拡大しても自粛解除を妨げたりはしない。

以上は個人的な提案であるが、この様な指標を専門家がブレーンストーミング的に提案し、それらを吟味すればもう少し筋の良い指標が絞り込めるのではないかと思う。

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