ベンチャーキャピタル(VC) ブログ

ベンチャーキャピタル(VC)、プライベートエクイティ(PE)投資、イノベーション関連の雑記

ライフサイクル イノベーション (単行本) を読む

2006-10-30 21:42:07 | 経営・イノベーション
表題の本を読みました。「キャズム」で有名な、ジェフリームーア氏の著作です。

イノベーションは、概念としてあいまいなものであり、なかなか体系化するのが難しいものですが、それを分類し、体系化しようと試みています。

特に、ビジネスは、コンプレックス・システムとボリューム・オペレーション、という2つのビジネスアーキテクチャがあり、イノベーションを追求する際に、どちらのアーキテクチャの企業なのかを認識する必要がある、との主張には、なるほどと思う部分も多いです。

ベンチャー企業の場合に照らして考えてみると、コンプレックス・システム型は、なかなか生まれにくいですが、専門性の高い成長市場におけるコンサルティングビジネス等は、この分野になりそうです。これらの企業は売上高成長性はあまり高くないですが、高い利益率で魅力あるベンチャーを作れそうです。

又、ボリューム・オペレーション型は、本書ではコンシューマビジネスということで語られていますが、ベンチャー企業においては、中小企業向けにサービスや製品のアクセスを効率的に提供できた企業、が成功しているケースが多い気がします。
弊社ファンドのエース案件もこのパターンにあたります。

実際このアーキテクチャのビジネスは、マーケットを面で押さえる必要がある為、コンシューマ市場を押さえるには、お金が掛かり過ぎる割りに投資効果(ROI)が見えにくい、ということなのだと思います。ですから、ベンチャー企業が考える現実解としては、ROIの見えやすい企業向けサービスをターゲットにしながらも、ある程度大きな資金を投入し、ボリューム・オペレーションを追及する、ということなのかもしれません。


魅力的な投資案件の定義③成功する為の資金、時間が少なくてすむ(補足)

2006-10-27 11:25:42 | VC(ベンチャーキャピタル)・PE
以前のエントリー、「魅力的な投資案件の定義③成功する為の資金、時間が少なくてすむ」の補足があると思いましたので、追加します。

VCのリターンを考えると、成功するための資金、時間が少なくてすむ、という企業を探し当てることが重要です。この前提は変わりません。

しかしながら、それだけでは充分ではない、と思い返し、このエントリーなのです。

成功するための資金、時間が少なくてすむ、ということは、逆に参入障壁が低い、ということですから、市場が十分に大きい場合、このような事業は多くの競合が現れます。このような状態に長くいると事業が消耗戦に突入してしまいます。

ここでVCが力を発揮すべきところになるかと思います。

それは、投資先が競合に対し、いち早く頭ひとつ抜け出す為の経営チームの組成、そしてサービスの拡販やマーケティングに資金を投じる、ということです。気をつけなくてはいけないのは、投じる資金は、製品の開発費を投じるのではありません。あくまでも経営チームの組成とマーケティングです。

ここにタイミングよく必要かつ十分な資金を投入し、採用、マーケティング面でサポートできるか。これはVCがホームラン案件を狙う上で、必須の役割であると思います。


ベンチャーキャピタルと投資先の対談

2006-10-27 11:01:02 | VC(ベンチャーキャピタル)・PE
IT系ネットメディア大手の企画で、ベンチャーキャピタリストと投資先の対談という企画があり、それに参加してきました。

ベンチャーキャピタルの業務は、なかなか外部からはわかりにくいこともある上、投資先の社長や経営陣からどのような評価を受けているのか、私自身聞く機会も非常に少ないので、このような場は大変ありがたいものでした。

シリコンバレーでは、セコイアの誰が関わったとか、どの経営者とどのベンチャーキャピタリスト、との組み合わせで成功した、等がメディア経由で、日本のベンチャーキャピタル業界にも伝わっています。こういったプラクティスがあるからこそ、シリコンバレーの魅力やベンチャーへの魅力が維持されているのだと思います。

日本でも、もっと多くのベンチャーキャピタリストと経営者がケースを語り、多くのベスト・プラクティスを業界全体で積上げていけると、日本のベンチャーシーンも、もっとクオリティの高いものになっていくだろう、という期待のもてるプロジェクト、社会的意義の高いプロジェクトでした。