私は地球で楽しく遊ぶために生きている

心はいつも鳥のように大空を飛び 空に吹く風のようにどこまでも自由に

どうしょうもなく惹かれる~愛とセックス~最終章

2016-09-17 23:44:32 | オムニバス恋愛小説
「このイタリアン美味しいだろう?」
表参道の洗練されたレストラン。
善良で、お洒落で、経済力のある、すべてに完璧な恋人。
いえ、恋人だった男。
いつか雄介と別れたことを後悔する日が来るだろう。
「いつもありがとう。あなたなら素敵な女性に出会えるわ」
「何言ってるの?それよりここのパスタ、最高に美味しいんだ。食べてごらん」
どこまでも善良な男。涙が滲む。
私は、明日もわからない男と生きていく人生を選択した。
これが真実の私だ。女として生きることが私自身だったのだ。
私は私の風を見つけた。
見つけてしまった。
その風が不道徳なものであろうと、私はその風を選んだ。
同質の風を見つけた今、私はその風と生きていく術しかない。
レストランを出た後、雄介はこれから会社へ戻るという。
私の為に、私と夕食をするためだけに仕事を中断して抜けてきたのだ。
雄介という男はそういう男だ。
だからこそ、私では彼が幸せになれない。
「じゃあ、おやすみ」
肩を抱く雄介の温もりが伝わる。
私は空を仰いだ。
久しぶりに見上げる空は怖いほどに青く澄んでいた。

続く・・・




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