テラじいさんの魔法 その25

やることなすこと気分次第。

引っ越しましたテラじいさん。

変態老人の自由奔放グラフィティー。

どうぞー。





ウェ～イ！　ムーンライト・フォールズ　ウェ～イッ！



やっ！　ワシじゃ！

この街こそワシの望んだユートピア。　魔法使いとして輝けるシャングリラ。

シャングリラと言えば松任谷由実。　松任谷由実と言えばYuming。　ユーミング。

つい　グ　まで言っちゃうのがワシのような大魔法使い。

ウェ～イ。



とりあえずあれじゃな、魔法使いっつってもいろいろじゃから、まずは住人たちにどんな仕事があるか
きいてみにゃいけん。

できれば最初から師匠とか呼ばれて、弟子たちが勝手に持ってくるお布施で暮らしていけるくらいの
職があればウェ～イ。



…………てかそんなのないか。　そりゃ宗教か。　宗教法人マジカルキッスか。



お～　なんか今思いつきでマジカルキッスとか言ってみたけど、イイネイイネ！

そういう方向で仕事とキッスを両立できたらいいよね！

てかむしろキッスだけで魔法は使わないなんてこともあｒ


◆◆◆



よし、とりあえずこの娘にこの街の魔法使いは主にどんなことをして生計を立てているのか訊いてみようかの。



ハイッ！　マイネーム　ワシ　テラじいさん　エクスキューズミー！　イエスッ！



あ、ゴメーン！　ワシってば外国暮らしが長いもんでつい！　つい異国語が出ちゃったみたい！

悪い癖っ！　テヘッ　努力して直していくね！



…………えてか　ちょ　え？　なにそれ？　なんなのそのモヤモヤは。

…………もしかして、体臭を視覚化できる魔法使ってんの？　ってことはお前さん魔法使いじゃな？！



え、スゴ～い！

実はワシも魔法使いなんじゃけど、ワキガのね、うん、ほら臭うっしょ？え、もしそんな魔法使えたなら
ワシ多分この街くらいならそのモヤモヤで壊滅させる自信あるっ！



フゥ～ッ♪　今日のワシ超ごきげんでやんのっ！



で、お前さんは魔法使いとしてどんな仕事をしとるのかね？

…………え…………？　パティシエ……？　……それ、普通の外食キャリアじゃね？

えてか、んー？　なに妖精って……。



……や、なんかもういいや、わからず屋だわお前。

ワシの知りたいことを知らないわからず屋の蛾だわ。


◆◆◆



よし、次はこのチビッ子に訊いてみようかの。



…………あ、ダメだこりゃ。

「おージャンプしてみろー」とか言ってお金盗るわコイツ。


◆◆◆



次は君にしよう。

もうこの際誰でもいいわいな。　日が暮れるまでに情報収集せにゃならん。



……あ、えっとー　ワシー　魔法使いやってんスけどー　火系の魔法とか得意なもんでー
外国暮らしも長いしー　キレるとマジ何語飛び出っかわかんねぇんでそこんとこ夜露死苦。



…………や、てかワシってマジで魔法使いなんじゃけどね、この街での魔法使いの効率のいい稼ぎ方なんかを
教えて欲しいなー　なんて。



え、知らん？！　ありゃ……。

え？　でもなに？　魔法使いとかが集まるたまり場があるって？

……へぇ～。　そこで訊いた方が早いのかい？　そーかいそーかい。



ところで君は背中からモヤモヤ出てないけど、普通の人間なのかな？

あ、そーなんだ。　いや、ここって変なのしかおらんのかと思ってたから、意外じゃったわ。



…………(ビクッ！)



ちょー！　ねぇ！　ちょちょちょ！　なんか！　なんかおるっ！　ねーっ！　あれなによー！？

……え？　普通？　や、どこが普通じゃよっ！？


◆◆◆



しっかし変な街じゃなー……。

ん？　おやおや坊主は何をしてるんじゃ？



鼻クソを？



ペロン。

うん、普通じゃな。

あ、よかった。　坊主は普通の子じゃったか。



わ、なんじゃこの坊主……。　腹立つわ～。



これ売ってるんじゃろ？　なぁ？

坊主が自分でこさえたの？



家が貧しいの？

あ、あれか、親父がいちんちじゅう酒ばっか飲んで、母ちゃんは病弱じゃからして、お前さんがこうして
働きに出ないといけない。　そんなとこじゃろ？　なぁ？

おっしゃ。　じゃーそれ買ってやる。　ワシが少しでも力になってやるでの。



いくら？

§６？　そんな安くていいの？



あ、ゴメン　やっぱ持ち合わせなかったから、指サック10個やるわ。

これで稼いだお札数えてｗｗｗ　うひょー　備品の先行投資うらやましす！



や、釣りはいらんよ。



でへへ　ゲットゲット。



これを



こうして



こう


◆◆◆



あーっ！　てか住むとこまだ決めとらんやった！　こうしちゃおれん。　早く市役所で登録せにゃ。



ワシ好みの空き家があれば良いのじゃが……。



…………え！？　空いてる場所、どこでも使っていいの？　ウッソ　マジで？！

んじゃさんじゃさ、え～っと、こことか、こことかも家建てちゃっていいわけ？　スゲーッ！

ワシこういう設計図持ってきてるんじゃけど、こういうのすぐ建ててくれんの？

うひょ～！　スッゲ！　おねしゃすおねしゃす！　えぇ、この図面通りに、えぇ、よろしゃす！



あ～　どうもどうも。　デカ耳建築事務所の方ですね？



ワシね、良い魔法使いなんじゃけど、子供の夢とか壊すのわりと嫌いじゃないから、さっき話した場所に
さっきの図面で、えぇ、夜までに建てておいて下さいよ。



わかっとりますってぇ～。　少しくらい高くても、あれができるんならワシいくらでも支払っちゃいますよぉ～。



あと、ちょっとその耳舐めさせろ。　さっきから気になってしゃーねぇ。


◆◆◆



ひとまずあの娘が言ってた　魔法使いのたまり場　ってとこに来てみたでの。



…………うーわっ　もう超ヤベー雰囲気満々じゃねぇかここ。

まぁいいや。　この街はこういうのだらけなんじゃ。　そのうち馴れるじゃろう。



あの、ワシね、魔法使いやってるんじゃけどね、この街ではね、魔法使いが普通に職業として認められてる
って聞いたもんで、主にどういったことをして生計を立てているのかなーなんて　知ってたら教えてくれんかね？



……はぁ？　職業じゃない？　え、どーゆーこと？

魔法使いは生まれながらに魔法使い？　はて？　ちょと何言ってっかわかんないんじゃけどｗ



うわっ…私の魔力、低すぎ…？



……話をまとめると、こういうことじゃ。

ワシは人間の魔法使いじゃからして、真の魔法使いに非ず。　そんなものはマジシャンや曲芸師と変わらん。

真の魔法使いっちゅーんは、遺伝、または錬金術で精製された秘薬を飲む以外ない。

むむむ……。


◆◆◆



なんじゃ錬金術って……。

お勉強せにゃならんか？　……メンドクセー。



ワシ、忘れてる魔法いーっぱいあるし、あのオバケが言ってることは半信半疑じゃが、一応真の魔法使いってのを
目指しても損はなさそうじゃなー。

メンドクセーけど、やってみるかのっ。


◆◆◆



ふむ。　ここじゃな。　あのオバケが言ってた錬金術のお店ってのぁ。



ふぅ～ん……。　なるほどねぇ。　分厚い本じゃとか、秘薬がたくさん売っておるわ。

あ、もしかして自分で作らなくても魔法使いになれる秘薬って売ってっか知んねー。



ハ、ハロー！　メイアイ　アスク　ワシ　テラじいさん　キャンチュー？



魔法使いになれる薬！　１つ！



…………な、ないってかっ！



♪ンないーから～ぁ　恋～しーくて！　あなたを想うっほどっ　Uh～　Ｕッ！



あ、ゴメ、一人TERUやっちゃった。　あ、TERUは元々一人か、マァイイヤ。


◆◆◆



いやぁ～　デカ耳建築事務所さん　いい仕事するわぁ～。

ワシの設計図通りに、寸分の狂いなく建築してくれよった。

今起きるからの。



あ～ん　素敵なクローゼット。　こういう観音開きの欲しかったの～ワシ～。



おうおう　イイネイイネ。　小さいながらもギュッと詰まったワシの想い。フォレバ。



んでもーしゃーねぇから　買ったよー　ったくもー　錬金術やるしっかてねぇよーワシー。



真の魔法使いになるためじゃ。　ワシ、頑張る。


◆◆◆



ウィ～ス。　こいつらもちゃんと連れてきてるでの～。



おしっ　並べ。　あ、並んでるか。　じゃーこっち見ろ。　いいか、新生活にあたっての大事なおｈ……



相変わらずダメじゃこいつら……。



ほんじゃさっそく錬金術のお勉強でもしよーっと！






ふふふ。　子供たちに野球などさせるかｗ




つづく