テラじいさんの魔法 その20

なりゆきで野良犬を飼うことにしたテラじいさん。

どこに向かうかテラじいさん。

変態老人の自由奔放グラフィティー。

どうぞ。




あ～……　今　「今日のワンコ」にワシが紹介されてる夢見てたわー。

テラくん・オス・168歳　とか言われてた。

くそがっ…………167じゃっつの。



あと、「志村動物園」でDAIGOとワシが何日か一緒に暮らす夢も見てた。

当然ワシのことみんな障害もってる犬じゃと思うちょる。

別れ際普通に泣かれたし。　ベッキーとか号泣しすぎてモザイクかかってたし。



てか、うわっ……　犬おる！

…………あ、そうじゃった。　ワシ犬飼い始めたんじゃった。



どれどれ……(ワサワサ)

……ややっ！

お前さん、メスでいらっしゃる！？



よし、じゃーメスっぽい可愛い名前をつけてあげるでの。

そうねぇ……。

ゴルベーザなんてどう？



あ～ん　なんて素敵な名前かしら！

も酔お。

朝から自分に酔お。



や～だ～　も～　酔っ払っちゃったじゃ～ん！

トップブリーダー酔わせてどうするつもりぃ？

まさかワシのことペディグリるつもりじゃないでしょうねぇ～？　いやらしっ！



(ピンポーン)

げっ！　やっべ！　もうファッキンキッズが来やがったか！


◆◆◆



ふっ

今日もワシのファッションセンスは「いいね！」で埋め尽くされておるわ。

一応ポイントおさらいしとこっか？

予備のサングラスを予め胸元にセットしてるとこじゃよね。

普段使いにピッタリなものをチョイスするのが◎。



うぃ～っす！　やってるー？



……えてか誰だオメェ？

もしかして新メンバー？



そんなことより上着どうした？上着。

あ～　もしかしてあれか、コスプレってやつか！？



イーアルカンフーのコスプレか？

…………あ～　イーアルカンフーなんて知らんか。

まぁでも　新しいな。　嫉妬しそう。



しかし残念だったな小僧。

今日はワシ　犬と遊ぶから魔法とか教えてやらんでの。



……てかおまえらって魔法覚える気あんの？


◆◆◆



よーっしゃよしゃ！　よーっしゃよしゃ！

いいよぉ～　ゴルベーザ素敵だよ～。

チャームポイントは？　って訊かれたら、「麻呂眉と白いソックスです！」って言うんじゃぞ。



首輪つけてみたけど、あれね……　首がキュッとなっちゃってダメね。　ブスね。

まぁいいや。　あとではずすけど、とりあえず追いかけっこしよか？　なぁ？



ほ～れ～　いくぞ～　つかまえちゃうぞ～！



…………え、あれ？

全然そんな気分じゃなかった？

あ、追う側がよかった？



よ～し！　じゃーワシ逃げる！　うひゃ～！



…………ぇ……なんなの？　飲み会とか行っても始終隅っこにいるタイプなのお前？



うわほら、ワシがはしゃいでるのを嗅ぎつけて来た者がおるでねか……。



ま、いいわ。　これからお互いのことゆっくり知ってこっ！　なっ。


◆◆◆



いや、あのさ、ワシね、魔法を教えるのが仕事なんじゃけどもね、お前って全然おしゃべりとかできない
じゃんかー　だからさ、もう言葉を教えんのもダリぃし、いっそ見て学んでもらおうかと思っ…

えてかなんでいきなり女の目になってんの？



だからー　今からね　ワシが簡単な魔法を見せるから　ちょと見てて。　いい？



じゃさ、お前さんはどんな魔法を習得するのがいいか診断するから、質問に答えての。

お前のお父さんとお母さんとおじいちゃんとおばあちゃん　思い浮かべて。

その中で麺類はど～れじゃ？

…………え？なんで悩むの？



まぁいいや。　とりあえず火系の初級魔法でもいこかの。　軽くね、軽く。



っておいコラーッ！！


◆◆◆



ちょとっ！　あのすみません！

もううちには犬おりますのでぇ　オーディションとかそういうのは受け付けてないんですよ～。

…………ハッ！　保護者！



あのねー　ちょっとー　それねー　デフォで上着着てなかったんじゃからねー！

ワシのせいにしないでよねーっ！



……はぁ　ダリぃ。

もあいつら完全にここ保育所だと思って来てるよなー……。

…………飲もっ。　今日は飲みたい気分じゃ。



新聞坊主でも誘ってみるか。



あ、もしもしワシじゃけどぉ～。

うん。　そうそう。　今魔法塾終わったとこー。



もしよかったらこれから飲みに行かね？



……え？　なに未成年って。　よくわからんのじゃけど。

だーいじょぶじゃってー！　ワシ167歳じゃもん。

……え？　よくわからなくないじゃろがー。

まぁいいから行こうよ。

んだよ門限って！　こないだうち泊まったりしｔっ　……(ツー)……(ツー)……(ツー)

…………切りやがった…………。



ねーっ！　ゴルベーザ～！

一緒に飲みに行ｋ……



チッ……　熟睡してやがるっ！



もういいっ！　独りで行くもんねっ！


◆◆◆



この店　久しぶりじゃ。

あのバーテン　元気にしちょるかのぉ～。



よぉ～っ！　ワシじゃワシ！

元気にしてた？



え、なんで覚えてねぇの？　バカなの？　あれからもっとバカになったの？　ねぇ？



まぁいいや。　とりあえずなんかつまむもんちょうだい。



え？　……私の乳首なんていかがですか？　……じゃねぇーよ無職童貞っ。

しかもなんだよそのドヤ顔……。



まいいや。　オニオンリングよこせオニオンリング。



熱々でねっ！



ちょっと待て……　今カウンターからサッと出したろ？　なぁ？

完全に作りおきじゃろそれ！？



ほ～ら～！　油でぬっちょりしちゃってんじゃ～んっ！　バカッ！



もういいわ。　自分であっためなおすわ。



ちょとっ！　火出すからね！　一応逃げてっ！



ファイアッ！

ドーンッ！



……あらやだ。　オニオンリング自体なくなっちゃった……。



んじゃしゃーねぇな。　あいつが食ってたもんで我慢するわ。


◆◆◆



そいじゃ酒もらおうか。

「1979年のシャトー・ラトゥール」か「1986年のマリリン」ある？



……え、なにこれ？　赤くないから完全にマリリンの方になるわけだけど……。

あるんだ……。

本田美奈子も草葉の陰で泣いて喜んでるわ……。



てかさー　ちょ聞いてくれるー？！

ワシさー　今　魔法塾ってのやってんだけどさー　これがまたさー　大変でさー！

もうね、完全に保育所みたいになっちゃってんのよっ！



いやね、魔法ってのはさ、小さいうちから学んだ方がいいと思ってさ、ティーン以上はお断りで
やらせてもらってるんじゃけど、それが裏目に出ちゃったわけ！

まず会話が成立しない。

ワシは天才じゃけど、ことキッズのことになるとどうもうまくいかないようじゃ。



もうやめちゃおっかなー　とか考えてる……。

……えてかなんでそれ素手で磨いてんの？



もうね　子供とかウンザリ。　でも人の役に立つ仕事はしたい。

なんかないもんかねー？

え？　消防士？　ほーほー。

ワシ今ちょうど消防車持ってる。



消防士か……。

ふむ。　考えておくかの。

そいじゃ、今日はもう帰るわ。

ありがとよ、無職童貞。


◆◆◆



ただいまー。

……え～……ゴルベーザまだそこなのー？

一緒にベッドで寝ようと思ったのにー。



ジャーンッ！

見て見てっ！　また買ったの！

やっぱあきらめきれなかったしぃー　ゴルベーザもいることだしーっつて。



いやあの、すぐには魔法塾やめんから、大丈夫。

そこらへんは、うん、ワシ社会人だし、うん。



明日はファッキンキッズと何しようかのー？

ほいじゃオヤスミー。






つづく