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【映画感想・ハ行】 ブロークバック・マウンテン ★★★★

2006-03-31 | 【映画感想・ハ行】
ストーリー:
1963年、ワイオミング州ブロークバック・マウンテン。
農場に季節労働者として雇われたイニスとジャックはともに20歳の青年。
対照的な性格だったが、キャンプをしながら、
羊の放牧管理をするという過酷な労働の中、
いつしか精神的にも肉体的にも強い絆で結ばれていく。
やがて、山を下りた2人は、何の約束もないまま別れを迎える。
イニスは婚約者のアルマと結婚、
一方のジャックは定職に就かずロデオ生活を送っていた……。
(goo映画より引用)

出演:
ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホール、
ミシェル・ウィリアムズ、アン・ハサウェイ、ランディ・クエイド

監督:
アン・リー

2005年度の世界の映画賞を席巻した、ある意味で問題作。
ゲイを描く映画が、数々の賞を受賞しようとは誰も思わなかったはず。
(保守的なアカデミー賞は、作品賞を逃したけれども・・・)
しかし、映画は普遍的な愛を描いた内容でありました。

映画後半になるにつれ、切なさが増していく。
友情とは違う、愛。お互いが愛していても受け入れることができない。
20年の年月に渡る中で、彼らの環境も変化していったためだ。
出会いのきっかけだったブロークバック・マウンテンでの出来事。
その時間は二度と戻ってこない。だからこそ、切ない思いに支配されていく。

イニスとジャックは、初めは言葉少なく触れ合う。
しかし、突然テントの中でお互いを求め合う。
唐突すぎて、正直面食らった所もあるのだが、
日々過ごす中で、惹かれ合う何かがあったのだろう。
その後、お互いが好感を抱く間柄となってからは、本当に自然。
異性だろうと同姓だろうと、好きになってしまうこともある。
言葉では説明し難い絆がそこには存在していた。

山を降りてから、2人は何事もなかったかのように所帯を持つ。
がしかし、本当に愛する存在はイニスもジャックも一致していた。
忘れられない存在。家庭では妻子がいようとも、消えることのない思い。
何年かぶりに再会し、その後は定期的に2人で会うことになるにつれ、
イニスとジャックの家庭は崩壊していく。
2人は妻に真実を言えず、真実を知る妻は本音で語り合えない。
これが愛情の差。イニスとジャックが誰を愛しているのかは決定的である。

しかしながら、2人は一緒になれなかった。
南部のゲイ同士のバッシング、イニスの幼い頃に目の当たりにしたゲイの仕打ち。
奔放なジャックと一緒にいたいが、それら背景知るイニスには出来ない相談だ。
だから、距離を置いた。置いたことで引き裂かれてしまう愛情。
もう過去に戻ることはできない。しかし、お互いが愛していた気持ちは残った。
ラストまで続くイニスとジャックの繋がりは、正に純愛そのもの。
だからこそ、せつなさいという映画の余韻が、観終えた後沸々と湧いてくる。

アン・リーの演出ぶりはさりげなさに満ちていて、すんなり受け入れることができた。
映画自体は、愛を美化したいがの如く絵画のような美しさ。
ブロークバック・マウンテンをはじめ、映し出される映像に魅せられた。
(何故アカデミー賞撮影賞を獲れなかったのか不思議なほど!)
魅せられたのは、役者の芝居も然り。
ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホールは完璧な仕事している。
その中でも、ミシェル・ウィリアムズに注目したい。
彼女が2人の関係を知ってからの表情といい仕草が不安定さを体現していた。

音楽もカントリー調に仕上げたスコア。
グスタボ・サンタボラヤはいい仕事をした。
絵と音楽が見事にマッチしてて、聴き応えがある。

もっと泥臭い雰囲気があって然るべきかもしれないが、愛をテーマに描いた作品。
愛は清らかさがないと駄目でしょ。だから、綺麗に描くことが正解だった。

※余談
イニスとジャックが久しぶりに再会するシーン。
物陰に隠れ、お互いがキスするという箇所は笑いが・・・。
確かに衝撃的だけれど、抱く感情が違うと思いますけど。
そんな反応を見て、少々ガッカリです。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
アン・リーの~ (ミチ)
2006-04-07 10:41:19
以下の部分から全く同感です。

映像美と演技には文句のつけようがありません。

彼らの切ない気持ちが映画を見た後の方がひしひしと感じられました。
返信する
コメントありがとうございます。 (kazuki-kt)
2006-04-07 23:26:40
ミチさん、コメントありがとうございます。



兎に角、綺麗で美しい映画でした。

美しさに魅了されることに相対するように、

イニスとジャックの関係の切なさは痛かったです。
返信する
見事なレビューに感動です (D)
2006-10-02 20:29:14
まさにそうですよね!!

うんうん♪
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