年末も近づき、年賀状にイラストを載せようと目論んでいらっしゃる方もいるのでは
ないかと思います。
グラフィックツールには、座標同士をラインで繋いで描画している 【 ベクター 】
と、その座標にドットを打ち込んで描画している 【 ラスター 】 があるのですが
この双方で特徴が違います。
まず、拡大しての影響の有無と言うのが最大の特徴となるのですが、この相違点を見
て見ましょう。
とりあえず、Inkecapeでサックリと描いたサンプルを例に見てみます。サックリとや
っているので、絵が雑なのはご容赦ください。
■ サンプル
とりあえず、同じサンプルでも拡大していくと画像の情報に変化が出てきます。
双方を同じくらいのサイズにしたのが以下のサンプルです。
■ ベクターグラフィック製品(Inkscape)
■ ラスターグラフィック製品(GIMP)
こうして見てみると、ラスタのほうが曲線部分がギザギザしているのが目につくと思
います。これは、ドットを打っているので仕方ないのですが単一のグラデーションが
ないサンプルだとこうしたジャギーが立ち易いと言えます。
通常ラスターの場合、偽色を混ぜてぼかす事でこの手のギザつくのを抑えている訳
です。
【 アンチエイリアシング 】 と言うオプションをフォトショなどでは見かける
と思うのですが、アレが、このジャギーを抑えるのに使われるモノです。
3DCGでもレンダリングの段階で、アンチエイリアシングのオプションがありますが、
これは作ったベクター形式の代物をラスター形式で出力するのでそうした処理を施す
訳です。
ある意味、拡大しないと意味をなさないように感じられるかと思いますが、考え方
を変えると、
【 ベクターだと小さく描いてあとで拡大してそのソフトでラスター化すれば作業
時の負荷は小さくて済む 】
とも言えなくもありません。
通常1,000x1,000ピクセルのモノを描く場合、ラスターだとそれと同じサイズで描き
始めないとダメなのですが、ベクターでトレースして塗る場合だと
【 500x500 】
【 250x250 】
と言うサイズで描き、その後拡大しても破綻しない(部分的な調整は出力サイズに応
じて入るかも知れませんが、ラスターのようにジャギーが出ません。)ので作業が少
し変わってきます。
ラスターにも、キュービック法と言う非常に賢い拡大機能が存在しているので、そ
の画像を何の演算もなく拡大するよりははるかに綺麗に引き伸ばせるのですが、ベク
ターのほうが伸ばした段階では綺麗です。
込み入ったものだと、作業負荷がモノ凄いのですが、境界線がはっきりするような
代物の場合、間違いなくラスターではなくベクターのほうが威力を発揮してくれると
言えます。