ローマ字入力はPCで日本語を打ち込む際の、もっともポピュラーな手段であろうが、かわぶた大王はこれがあまり好きでは無い。
腱鞘炎になったことがあるからだ。
なったことがあるというより、ずっと腱鞘炎で悩まされていたと表現する方が正しいだろう。
かわぶた大王は、昔は小説家になりたかった。
今は素直に、才能がないと諦めている。だいそれた夢は見ていない。ただの趣味で良いと思ってる。
だけど、けっこう文章量はこなしていると思う。
原稿用紙400枚、600枚とか書き上げるときもある。
書き上げたものは、基本的に箱にしまっている。
世に出すには、余りに拙いという自覚があるからだ。
とにかく、暇なときはPCに向かいなにかしらタイプしている。当然のように腱鞘炎になった。
ローマ字入力は、人間工学など関係のないところで出来上がった文字入力方式だ。
単に英語圏のタイプライターという原型があり、その配列をローマ字入力に拝借しただけで、合理的・科学的・論理的な考えから決定したわけではない。
しかも、コレだとキーが余る。英字も入力する以上、削ることは出来ないだろうが、タダでさえキーは増える一方で窮屈なことこのうえないのに、別の所には無駄がありますというのでは余りにも芸がなさ過ぎる。
母音の五字を中心に、少ないキーだけを使って文字入力するので、指はあちこち飛びまわる事になる。
A、Eは左端、U、I、Oは三つ続けてキーボードの中央やや右側、エンターは右端、テンキーがある場合は更にその右側にある。
ほんとうに、手を忙しく動かさなければいけない。
速度を追い求めるとコレを更に高速で動かすことになる。自ずとキーボードを力任せに叩くことになる。
そんな事を続けていたら、筋なんて痛めて当たり前。
まもなく、腱鞘炎は現代病のひとつになるだろう。
もう、PC無しの生活など有り得ないからだ。キーを早く叩かなければ、仕事に支障が出るからだ。
しかも、ローマ字入力はほとんどの場合、ふたつタイプしてようやく一文字入力となる。
効率も悪い。
だから、かわぶた大王はある時、
もっと効率的な文字入力方法はないのかぁ!!
と探し求めて旅に出たのだ。ネットの大海原へ。
単にネット上であれこれ検索をかけただけとも言うんだけどね。
その時頭にあったのは「親指シフト入力」。
昔は、雑誌の間に「親指シフトを応援します」という作家さんが名前を書き連ねた広告が出ていた。作家さんが推賞するなら、腱鞘炎の痛みも和らぐかも知れないなぁ。とか考えたわけだ。なにしろ、それでメシを喰ってる人達なのだから。
そしたら、普通の日本語キーボードで親指シフト入力を可能にしてしまうコロンブスの卵の手法と出くわしてしまった。
更に勢い余って『飛鳥仮名入力』というものとも出会ってしまった。
この『飛鳥仮名入力』も、親指シフトの中まであるが、更に洗練されている。
ただし、数百パターンのキー配列が作られたので、どれが一番優れているかなんて判らない。身につけたものがその人にとって最高の入力方法なのでしょう。
かわぶた大王が拾得したのは345番の123。
後ろの123というのは、テンキーの並び方のこと。前の345は345番目の飛鳥配列ですよという意味。
最初に練習していたのは2百番台のかなりお奨め出来るというやつだったと記憶しいてる。
しばらくこれを練習していて、もう一度調べたときに345が出てて、どうせ覚えるなら新しい方がいいやっておもって覚え直して、その後もどんどん出てくると言うことに気がついて、「付き合いきれない。345で十分ですよ」とそれからあとは浮気はしていない。
飛鳥仮名はキーボードを一回叩くと一文字表示される。「K,LK;;JI」とタイプして、「いっかいたたくと」となる。ただ、「変換」「無変換」のキーを押しながらの入力も多用する。
つまり、目の前にあるキーボードの配列を三重に活用するのだ。この「変換」「無変換」を親指で押すのが普通のキーボードで親指シフトを擬似的に再現する技のキモ。ただし、普通の親指シフトは親指でキーを押しっぱなしという動作は基本的にない。
飛鳥仮名ではコレがけっこう頻繁に登場する。仕様頻度の多い文字をご近所に固めているからだ。「ですよ」とタイプするときには、「無変換」を押しながら、「MKI」と縦に上がっていくと入力できる。飛鳥仮名はこんなのばっかり。ただし、バージョンによってどんな言葉に比重を置いたかは違う。
とにかく、決定的に違っているのは両の親指のポジションに大きな制約が架せられていることで、このことはローマ字入力のように両手がばたつく事がないということに繋がっている。そのため、過剰な力を込めてキーボードを叩きつける行為も未然に回避されることになる。無用な力が掛かけなければ、腱鞘炎になることも腱鞘炎を悪化させる事もない。
そんな訳で、かわぶた大王は飛鳥仮名で文字入力をするようになってからというもの、腱鞘炎とは完全に気つべつする事が出来た。
飛鳥仮名入力では、指がキーボードと常に接しているくらいがちょうど良いように思う。キーを押すときも自ずと優しく触れる感じになる。それは、姿勢を良くするとともに、キーボードの寿命を延長させる結果をもたらす。修得に必要とした期間はおよそ三ヶ月。といっても、最初のひと月で基礎的なことはほとんど覚えられた。
「ぢ」とか「う゛」とかにもひとつのキーが対応するのだが、使用頻度の少ないものは当然覚えるまでに時間が掛かる。というより、そのふたつは滅多に使わないので覚える必要はないかもしれない。補助として、濁点、半濁点のキーも用意されているからだ。しかし、飛鳥仮名の方針なのだろう、その手の滅多に使わないキーはTYGHBとキーボードの中央に集中的に配置されているので、適当に押していれば出て来るものである。
飛鳥仮名入力の環境は、有料のものを使って構築することも可能だが、フリーアプリのみを使用して構築するのが一般的だと思う。Windows95からWindows7まで、全てのWindowsで無料で環境を構築することが可能だ。また、非力なマシンでも特に問題なく入力が可能だ。
これまで、飛鳥仮名の普及を妨げていた一番大きな要因は、開発がいつまでも終わらずに、次から次へと「決定版」が登場し続けたことだろう。
これは、本来なら実害はないはずなのだが、精神的にはかなりこたえる。新しいバージョンにいちいち乗り換えていてはせっかく指が覚えてくれたキー配列を無駄にしてしまうことになる。しかし、新しく出てきた方が効率はよいのだろうから、気持ちとしては乗り換えてみたいと感じるだろう。この葛藤が、ジワジワと効いてくるのだ。
キーボードなど、ストレス無く自分の考えを形にかえる事が出来ればそれでいいのだ。自分が最高だと信じて楽しくキーを入力することが出来れば、それで十分。タダし、肉体的にダメージを受けるやり方は論外。
ということで、バージョンはどれでも良いのだと思う。基本的な思想が変わっていないのだから、ある程度指が馴染めば後はそれなりのレベルまで到達できるはず。
かわぶた大王は、アプリケーションで再現可能な限り飛鳥仮名なら345番だけを使い続けるだろう。
かわぶた大王にとって、345番の飛鳥仮名というのは存在していないものと同じ事なのだ。
そして、朗報。
飛鳥仮名の開発は2009年までで全て終了したのです。だから、今後新しいキー配列が登場して、歯ぎしりする必要もありません。
開発者のRay氏においては、長年の開発、どうもご苦労様でした。ここにも、飛鳥仮名に助けられ者のがいますと一言お礼のべて、これを結びの言葉とさせていただきます。
注:飛鳥仮名の最終ナンバーは383番です。
345番使いのかわぶた大王がもし乗り換えるとしたら、指が馴染むまでに1年以上必要であると思われます(変な癖がついてしまうのが嫌なので、絶対に手出ししません。だって、354のままのキー配列の箇所なんて、ひとつもないんだもん)。
注:かわぶた大王は、練習には丸いシールに字を書いてキーに張り付けたのと、壁紙にキー配列表を表示したままにして、判らなくなったらそれらを見るという方法で修得しました。
注:飛鳥仮名でキー入力している際の指の動きは、とても上品です。しかし、それは入力者の人格が優れていることを示す訳ではありません。
注:かわぶた大王が一番入力しやすい妥当な大きさだと考えるキーボードはB4ノートの幅にあわせて設計されたものです。A4ノートマシンのキーボードは大きすぎます(ローマ字入力では気にならないのだろうけど、キーと常に触れている入力法の場合、キーボードが大きくなりすぎるとことは作業効率の低下に繋がります。そして、日本人の手は欧米人より小さく器用なので。。。 大きいキーを喜ぶのは、高く持ち上げた指で正確にキーを拳打することが如何に困難かを雄弁に示す証拠であり、肉体を無意味に酷使していることの証明であります)。
オマケ
化け物じみた(というか、化け物)超高速タイプをする人の動画が張ってあります。
よろしかったらご覧ください。2分もないですから。
http:/●/d.hatena.ne.jp/video/niconico/sm5152804
●は消してください。
以上
腱鞘炎になったことがあるからだ。
なったことがあるというより、ずっと腱鞘炎で悩まされていたと表現する方が正しいだろう。
かわぶた大王は、昔は小説家になりたかった。
今は素直に、才能がないと諦めている。だいそれた夢は見ていない。ただの趣味で良いと思ってる。
だけど、けっこう文章量はこなしていると思う。
原稿用紙400枚、600枚とか書き上げるときもある。
書き上げたものは、基本的に箱にしまっている。
世に出すには、余りに拙いという自覚があるからだ。
とにかく、暇なときはPCに向かいなにかしらタイプしている。当然のように腱鞘炎になった。
ローマ字入力は、人間工学など関係のないところで出来上がった文字入力方式だ。
単に英語圏のタイプライターという原型があり、その配列をローマ字入力に拝借しただけで、合理的・科学的・論理的な考えから決定したわけではない。
しかも、コレだとキーが余る。英字も入力する以上、削ることは出来ないだろうが、タダでさえキーは増える一方で窮屈なことこのうえないのに、別の所には無駄がありますというのでは余りにも芸がなさ過ぎる。
母音の五字を中心に、少ないキーだけを使って文字入力するので、指はあちこち飛びまわる事になる。
A、Eは左端、U、I、Oは三つ続けてキーボードの中央やや右側、エンターは右端、テンキーがある場合は更にその右側にある。
ほんとうに、手を忙しく動かさなければいけない。
速度を追い求めるとコレを更に高速で動かすことになる。自ずとキーボードを力任せに叩くことになる。
そんな事を続けていたら、筋なんて痛めて当たり前。
まもなく、腱鞘炎は現代病のひとつになるだろう。
もう、PC無しの生活など有り得ないからだ。キーを早く叩かなければ、仕事に支障が出るからだ。
しかも、ローマ字入力はほとんどの場合、ふたつタイプしてようやく一文字入力となる。
効率も悪い。
だから、かわぶた大王はある時、
もっと効率的な文字入力方法はないのかぁ!!
と探し求めて旅に出たのだ。ネットの大海原へ。
単にネット上であれこれ検索をかけただけとも言うんだけどね。
その時頭にあったのは「親指シフト入力」。
昔は、雑誌の間に「親指シフトを応援します」という作家さんが名前を書き連ねた広告が出ていた。作家さんが推賞するなら、腱鞘炎の痛みも和らぐかも知れないなぁ。とか考えたわけだ。なにしろ、それでメシを喰ってる人達なのだから。
そしたら、普通の日本語キーボードで親指シフト入力を可能にしてしまうコロンブスの卵の手法と出くわしてしまった。
更に勢い余って『飛鳥仮名入力』というものとも出会ってしまった。
この『飛鳥仮名入力』も、親指シフトの中まであるが、更に洗練されている。
ただし、数百パターンのキー配列が作られたので、どれが一番優れているかなんて判らない。身につけたものがその人にとって最高の入力方法なのでしょう。
かわぶた大王が拾得したのは345番の123。
後ろの123というのは、テンキーの並び方のこと。前の345は345番目の飛鳥配列ですよという意味。
最初に練習していたのは2百番台のかなりお奨め出来るというやつだったと記憶しいてる。
しばらくこれを練習していて、もう一度調べたときに345が出てて、どうせ覚えるなら新しい方がいいやっておもって覚え直して、その後もどんどん出てくると言うことに気がついて、「付き合いきれない。345で十分ですよ」とそれからあとは浮気はしていない。
飛鳥仮名はキーボードを一回叩くと一文字表示される。「K,LK;;JI」とタイプして、「いっかいたたくと」となる。ただ、「変換」「無変換」のキーを押しながらの入力も多用する。
つまり、目の前にあるキーボードの配列を三重に活用するのだ。この「変換」「無変換」を親指で押すのが普通のキーボードで親指シフトを擬似的に再現する技のキモ。ただし、普通の親指シフトは親指でキーを押しっぱなしという動作は基本的にない。
飛鳥仮名ではコレがけっこう頻繁に登場する。仕様頻度の多い文字をご近所に固めているからだ。「ですよ」とタイプするときには、「無変換」を押しながら、「MKI」と縦に上がっていくと入力できる。飛鳥仮名はこんなのばっかり。ただし、バージョンによってどんな言葉に比重を置いたかは違う。
とにかく、決定的に違っているのは両の親指のポジションに大きな制約が架せられていることで、このことはローマ字入力のように両手がばたつく事がないということに繋がっている。そのため、過剰な力を込めてキーボードを叩きつける行為も未然に回避されることになる。無用な力が掛かけなければ、腱鞘炎になることも腱鞘炎を悪化させる事もない。
そんな訳で、かわぶた大王は飛鳥仮名で文字入力をするようになってからというもの、腱鞘炎とは完全に気つべつする事が出来た。
飛鳥仮名入力では、指がキーボードと常に接しているくらいがちょうど良いように思う。キーを押すときも自ずと優しく触れる感じになる。それは、姿勢を良くするとともに、キーボードの寿命を延長させる結果をもたらす。修得に必要とした期間はおよそ三ヶ月。といっても、最初のひと月で基礎的なことはほとんど覚えられた。
「ぢ」とか「う゛」とかにもひとつのキーが対応するのだが、使用頻度の少ないものは当然覚えるまでに時間が掛かる。というより、そのふたつは滅多に使わないので覚える必要はないかもしれない。補助として、濁点、半濁点のキーも用意されているからだ。しかし、飛鳥仮名の方針なのだろう、その手の滅多に使わないキーはTYGHBとキーボードの中央に集中的に配置されているので、適当に押していれば出て来るものである。
飛鳥仮名入力の環境は、有料のものを使って構築することも可能だが、フリーアプリのみを使用して構築するのが一般的だと思う。Windows95からWindows7まで、全てのWindowsで無料で環境を構築することが可能だ。また、非力なマシンでも特に問題なく入力が可能だ。
これまで、飛鳥仮名の普及を妨げていた一番大きな要因は、開発がいつまでも終わらずに、次から次へと「決定版」が登場し続けたことだろう。
これは、本来なら実害はないはずなのだが、精神的にはかなりこたえる。新しいバージョンにいちいち乗り換えていてはせっかく指が覚えてくれたキー配列を無駄にしてしまうことになる。しかし、新しく出てきた方が効率はよいのだろうから、気持ちとしては乗り換えてみたいと感じるだろう。この葛藤が、ジワジワと効いてくるのだ。
キーボードなど、ストレス無く自分の考えを形にかえる事が出来ればそれでいいのだ。自分が最高だと信じて楽しくキーを入力することが出来れば、それで十分。タダし、肉体的にダメージを受けるやり方は論外。
ということで、バージョンはどれでも良いのだと思う。基本的な思想が変わっていないのだから、ある程度指が馴染めば後はそれなりのレベルまで到達できるはず。
かわぶた大王は、アプリケーションで再現可能な限り飛鳥仮名なら345番だけを使い続けるだろう。
かわぶた大王にとって、345番の飛鳥仮名というのは存在していないものと同じ事なのだ。
そして、朗報。
飛鳥仮名の開発は2009年までで全て終了したのです。だから、今後新しいキー配列が登場して、歯ぎしりする必要もありません。
開発者のRay氏においては、長年の開発、どうもご苦労様でした。ここにも、飛鳥仮名に助けられ者のがいますと一言お礼のべて、これを結びの言葉とさせていただきます。
注:飛鳥仮名の最終ナンバーは383番です。
345番使いのかわぶた大王がもし乗り換えるとしたら、指が馴染むまでに1年以上必要であると思われます(変な癖がついてしまうのが嫌なので、絶対に手出ししません。だって、354のままのキー配列の箇所なんて、ひとつもないんだもん)。
注:かわぶた大王は、練習には丸いシールに字を書いてキーに張り付けたのと、壁紙にキー配列表を表示したままにして、判らなくなったらそれらを見るという方法で修得しました。
注:飛鳥仮名でキー入力している際の指の動きは、とても上品です。しかし、それは入力者の人格が優れていることを示す訳ではありません。
注:かわぶた大王が一番入力しやすい妥当な大きさだと考えるキーボードはB4ノートの幅にあわせて設計されたものです。A4ノートマシンのキーボードは大きすぎます(ローマ字入力では気にならないのだろうけど、キーと常に触れている入力法の場合、キーボードが大きくなりすぎるとことは作業効率の低下に繋がります。そして、日本人の手は欧米人より小さく器用なので。。。 大きいキーを喜ぶのは、高く持ち上げた指で正確にキーを拳打することが如何に困難かを雄弁に示す証拠であり、肉体を無意味に酷使していることの証明であります)。
オマケ
化け物じみた(というか、化け物)超高速タイプをする人の動画が張ってあります。
よろしかったらご覧ください。2分もないですから。
http:/●/d.hatena.ne.jp/video/niconico/sm5152804
●は消してください。
以上