たまやんの「大きい画像の貼れるブログに引っ越したい」

お久しぶりです。ネタバレあります。

「苦役列車」

2012-07-20 07:03:00 | 映画感想
(2012年7月19日 MOVIX三好 2012年・日 ヴィスタ SRD 114分)

1986年。日雇いの肉体労働でその日暮らしの生活を送る19歳の青年、北町貫多。稼いだお金も家賃より先にお酒と風俗に消えてしまう自堕落の日々。そんなある時、職場で新入りの専門学生、日下部正二と知り合い意気投合、初めて他人と友達らしい付き合いをするようになる。やがて貫多は日下部に協力してもらい、秘かに想いを寄せる古本屋の女性、桜井康子とも友達になることに成功、思いがけず人並みの青春を謳歌し始めるのだったが…。


山下敦弘監督の新作は、芥川賞受賞の西村賢太の私小説を映画化。
原作者は全く気に入ってないらしいが、山下監督との相性はいいと思う。観てて「ばかのハコ船」のリメイクみたいだとニヤニヤしたもの。

「金なし夢なし彼女なし」森山未來演じる主人公のクズっぷりがすさまじい。
ふと日雇いの現場で知り合った男が同級生と分かったら急にタメ口になって、自分のフィールドに連れ込む。
しまいには金を借りるなど完全に利用してしまうあたりが彼の作品らしくていい。

もちろん、北町は原作者がモデルだろう。腹立つほどクズなやつ。そして、だんだんと原作者本人に見えてくる。
その原作者が、自閉的な生活からいかに心動かされて小説家を目指すようになったまでを描いた作品だと思う。
80年後半は、他人の知らない文化を見つけて喜んでた時代、自分の歌がまだ他人に届いた時代。

自分の好きな小説なら自分の文化とか自分の歌を届けられると思ったんでしょうね。
「苦役列車」から途中下車したと思しき描写が斬新で笑えました。あそこまで閉塞的になったらああやって救うしかない!

たぶん、彼を変えただろう人物がマキタスポーツ演じる高橋。
変な貝を獲って口うるさいが、やつの歌声に可能性を感じたのだろう。いやほんと彼素晴らしかったもの!


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