校長室だより ~ 武蔵野の森で紡ぐ友情『明星学苑・スクールライフ』

民間企業勤務から中学、高校、大学など、教育現場へ転じた『キャリアコンサルタント』の日常をお伝えします。

松戸国際高校・第43回入学式

2015年04月08日 06時08分24秒 | 日記
●式辞

青空を薄紅色に染めていた桜木が、
みずみずしい緑の若葉を吹き始め、
新しい季節の訪れに胸躍る時。
本日は同窓会長の石井いさむ様をはじめ、
ご来賓の皆さま、多くの保護者の方々とともに、
千葉県立松戸国際高等学校第四十三回入学式を執り行えますことは、
私ども教職員にとりましても大きな喜びです。
入学生の皆さん、そして保護者の皆さまには心よりお祝い申し上げます。
ただいま、入学を許可いたしました三六一名の新入学生諸君、
あなたがたは高い壁を乗り越えて今日、松戸国際高校へ入学してきました。
中学生時代、本校を目指して人一倍、懸命な努力を積んできたことでしょう。
その成果が実り、この場で新しい仲間と顔を並べられる幸運を祝福いたします。
あなた自身が、そして本校がいっそう魅力的に輝くよう、
高校生活のあらゆる活動に全力投球し、心の内面を磨いてください。
努力の方向性は、言うまでもなく本校が謳っている国際人です。
あなたは国際人と言われて、どのような人の姿を思い浮かべるでしょうか。
英語が不自由なく使える人、というのは最初に頭に描くところでしょう。
しかし音楽は世界の共通言語という言葉があります。
あるいはスポーツは国境を超える、といった言い方もします。
音楽に限らず美術や書道、文学。さらに料理・ダンス・演劇といった芸術・文化、
そしてスポーツに親しむことは、国際人への登竜門です。
それだけではありません。優れた知性にも国境はないし、
さらに言えば人を思いやる温かい心も、国の壁を突き破るのです。
ですから、本校で国際人を目指すあなたにはまず、芸術・文化やスポーツに親しむ。
そして優れた知性を伸ばし、思いやりのある温かい心を育ててほしい。
欲張りですが、そのすべてに全力を傾けて、貴重な高校時代を
あなたなりの色で、濃密に染め上げてほしいのです。
そうして人間的な土台を築いたうえで、英語力をつければ怖いものはありません。
豊かな体験を積み、あなた自身の美意識と価値観を高めていけるよう、
心の窓を全開放し、今日から国際人の卵として踏み出してください。

さて国際人というのは、必ずしも世界を股にかけて活躍するだけではありません。
海外へ雄飛する扉もあれば、わが国へ迎える扉もあります。
実際、今日ここにいる新入生のうち、将来海外で仕事をする人は、
それほど多くはないかもしれません。
地域に根差して、人びとの安全と健康を守る人。
たとえば教育であったり福祉であったり、多方面に道はつけられています。
身近な暮らしを守る人の、知恵と努力が積み重なってこそ、日本という国が、
世界から称賛と敬意を寄せられるのではないでしょうか。
そう考えれば、こちらも同様に国際社会で貢献する道なのです。
ですから、本校で身につけた国際性を、あなたはどのような分野で発揮するのか。
将来の進路については折に触れ、意識をしておくよう心掛けてください。
本校でのすべての体験は、あなたを国際人として育てる教材です。
私たち教職員は、あなたの目が大きく開かれる、学びの場を用意しています。
さらに大切なのは、あなたがた仲間同士が刺激をし合うこと。
整えられた環境に加え、互いに高め合う空気が備わってこそ、
あなたの未来へ向かって歩む足取りが、いっそうたくましくなるのです。
思えば、人と人との交わりは、究極的には二通りしかありません。
高みに登りあう仲間か、易きに流れていく仲間か。
高みに登りあう仲間は夢を語り、易きに流れる仲間は不平不満を口にします。
私は松戸国際高校に在籍するすべての仲間が、
高みを目指して努力をし合う関係を築いてほしい。
そして卒業時には、心身とも見違える成長を遂げてほしいのです。
近年、学歴社会の崩壊という言葉が使われ、学歴を軽視する風潮が一部にあります。
実際、大学進学に向けて高臨みはしないという傾向を示すデータもあります。
しかし私は、これは大いなる誤解だと考えています。
日本はこれまでも、さらに言えば万国共通ですが、
これからも学歴社会が続くことは疑いありません。
それはどこの大学を出たという結果としての学歴ではなく、
どのような姿勢で学問に向き合い、何を学んだのかという学習歴です。
何となく進学し、適当に勉強したというのでは、確たる学習歴は築けません。
あなたが求めるものを授けてくれる先生と、志の高い仲間が集う場を求めてください。
学校の有名無名ではなく、進学先には大いにこだわり、
あなたが納得いく進路を進めるよう、すべての活動に力を尽くしてほしいのです。
また高校卒業後、就職するという人は、仕事の場こそ学習歴を積み上げる舞台です。
社会人になるというのは、新しいキャリアを築いていくことであり、
就職してからさらに勉強を重ねて成長をする人は輝いていますから。
本校の先生方は、あなたの成長のためには苦労を惜しみません。
ですから教室こそ、あなたの未来を切り開く、神聖な場であると捉え、
授業を受ける服装と態度をわきまえる。しかし楽しむ時は、思いっきり楽しむ。
緊張と解放、そのメリハリの利いた態度はコミュニケーションの基本であり、
国際人への第一歩であることは言うまでもありません。

最後に本校の校訓である『希望』について、
『希望とは、自分が変わること』という言葉を贈ります。
これは日本を代表する解剖学者、養老孟司という人が書いた本の表題から引きました。
養老氏は大学入試で数多く引用される著者の一人ですから、
高校在籍中にあなたも何冊かは、手に取って読んでみてください。
本書の要点をひと言で言えば
「ものごとが自分の思い通りにならないとき、誰もが周りの人の気持ちや態度。
社会の制度や環境が、もう少し自分の望み通りに変わってくれればと願ってしまう。
しかし自分を取り巻く環境というものは、都合よく変わるものではない。
場合によっては、永遠に変わらないものもあるかもしれない。
だが視点を変えて、自分が変われば視界が開け、世界が違って見えてくることがある。
自分を変えることを常に意識しておくことが、
希望を実現させていく道ではないか」。このような主旨です。
『希望とは、自分が変わること』。
この言葉を胸に、あなたが松戸国際高校で過ごす三年間のうちに、
劇的に変化することを目指してください。
『希望とは、自分が劇的に変わること』です。
では、今日からあなたが松戸国際高校の生徒として、
学校生活を完全燃焼させてほしい、という全教職員の希望を伝え、
式辞の結びとさせていただきます。本日は、おめでとうございました。

平成二十七年四月七日
    
         千葉県立松戸国際高校長 水野 次郎

※写真撮影は英語科の牧野先生。『校歌紹介』で、新入生に向けて野球部と合唱部、吹奏楽部が歌を披露している場面です。
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