中国の会社で働いています!

日本にいながら中国の会社で働く私です。スピード感ありなかなか面白いのです。

オーダースーツで学んだこと

2009-11-15 11:44:57 | Weblog
私は普段はスーツなど全く着ないのですが、客先に行くときはそれなりの格好をしなくてはいけないので、スーツを新調することにしました。

神田にあるYというお店に行ったのですが、今回はそれはもう悲惨な目にあい、しばらくオーダースーツはやめようと思った次第です。

自慢ではないのですが、私は小さいころから洋裁が好きで、社会人になってもしばらくは自分で作った洋服しか着ていなかったのです。もちろんパターンも自分で一からおこします。体型的な問題もあるのですが、やっぱり自分の気に入ったものを長く着たいというのがその理由。ここ10年くらいは仕事が忙しく、既製服に多少の直しを加えて着ていたのですが、ひょんなことからオーダースーツの店を見つけてトライすることに。

一回目は夏。ワンピースとスーツをオーダー。特に難しいパターンではないので可もなく不可もなく。ただ言わせてもらえばワンピースのパターンが私の体にあんまりあっていなくて、シルエットがちょっときれいに出ないかな。その時担当したスタッフに言わせるとイージーオーダーですかこんなもんですとのこと。(今から思うと、先方もたぶん同じことを思ったのでは)まあ、フルオーダーじゃないし。。。。と思い納得することに。

今回はまたワンピースとスーツ、そしてキルティング地の冬物ジャケットをオーダー。担当してくれたのは若いスタッフで、なかなか楽しい人だったけど、話を聞いている感じではあまり洋服のことは詳しくないような雰囲気。一抹の不安があったものの、採寸のときは別のベテランスタッフが出てきたのでまあ、大丈夫だろうと思ったのが間違いのものでした。

できたスーツの試着にいくと、ジャケットはなんだか小さい。しかもワンピースとジャケットの組み合わせはワンピースのサイズのほうがジャケットより明らかに大きくて、両方組み合わせて着ると、だぶついたワンピースがスーツの胸元からにょきっと出てくる。それでもまあ、着られないことはないかもしれないけれど。伸縮性のある生地でまだ助かった感じ。

次にジャケット。ジャケットは冬物だから大きめにと言っていたにも関わらず、薄物のTシャツの上から着てもピチピチで、とてもインナーにセーターなんか着られそうにない。ボタンをかけると胸元がはじけそう。

その時フィッティングを担当した人は、一番最初のスーツのオーダーに立ち会ったベテランと思しき人だったけど、「前をあけて着られるのでしたらちょうどいいと思います。プリンセスラインはきつめに仕上がるので。」だって。あきれて二の句が出なかった。誰がどう見ても失敗作だし、オーダーの際の注文書に、セーターを中に着ても大丈夫なくらい大きめにと書いてあるにも関わらず、それはないんじゃない?といった感じ。冬に着るのがわかっているのに、前をあけて着たら?って、あなた正気なの?という感じ。先方もまずいと思ったのか、「残念ながらキャンセルはできません。少し幅を出してもらうことはできるかもしれませんが」と、何も言っていないのに「キャンセルはできません」と、先手を打たれてしまった。

「仕上がり寸法はどうなっているんですか?」と、聞くと、工場に問い合わせないとわからないとの答え。とりあえず、仕上がり寸法の確認と、あと何センチ出せるか確認して連絡を下さいと言ってジャケットは受け取らず、その場は帰ったのでした(弊店間際だったので)。そうしないと押し付けられそうだった。

家に帰ってよくよく考えてみても、イージーオーダーとは言え、注文したときの仕上がり寸法がわからず、しかもキルティング地なのにでサイズを出したらどうか(穴が開くのでそんなことは普通しない)などど勧めるのはどう考えても非常識だと思うし、サイズを1-2センチ出したところでとてもセーターが着られるようにはならないと思うと、なんだか馬鹿らしくてやってやれなくなった。アパレル関係の友人に相談すると、そんなのは当然キャンセルだよと言われ、改めて電話したところ、ジャケットのオーダーの際に担当した人が、電話に出て謝ってくれたのですが、「工場と相談してあと、2サイズくらい大きめにすれば大丈夫だろうから、それで作り直しますとのこと」そんな適当にまた作り直しされても困るので(そのときも仕上がり寸法については何のコメントもなし)X月X日にまた採寸に伺いますというと、「その日は休みですが、他の担当者とお休み代わってもらって出社します」とのことだった。

で、採寸の日、その担当者は現れなかった。来ないのなら「休みを代わってもらうことにしました」と、わざわざ電話入れないで欲しかった。変なお店。採寸は2回目に採寸を担当した人だったが、素直に仕上がりサイズが小さかったと認め、サイズを測りなおし、どういう仕上がりサイズにするか決めることにした。前回はプロに対してあまり口を出してはまずいかと思い、黙っていたのですが、このお店のスタッフは、洋裁や製図の経験もなければ、生地と仕上がりサイズの関係もよくわかっていないということが判明し、「これじゃあ、ぜんぜん小さいでしょう」と、私も後半はむっとして意見だしまくってしまった。袖周りを何センチにするか話していたとき、私がその時来ていたスーツを脱いで、「ちょっとここスーツの袖周りが何センチあるか図ってもらえますか?」(自分でいつもどのくらいの袖周りのスーツを着ているか確認するため)と、言ったら「それは弊社で作ったものではありませんので。。」と、わけのわからない回答が帰ってきて、「もうこの会社ではスーツは作らない」と心に決めた瞬間でした。

まあ、イージーオーダーなんだからこんなもんと言われればそうだけど、既製服だってそこそこいい仕上がりなんだし、(特に私は腕が短いくらい)こんなごたごたするならオーダーにしないほうがよかったと思ってしまった。納得のいくものを作るにはやっぱり自分で作るのが一番いいとも。

今、私はアウトソーシングの会社に勤めているわけだけれども、できた結果が予想していたのとは違うというのはありえる話なのです。医薬関係の場合、たとえば化合物の合成などは納入のスペックがきちんと決まっていて、基準に合わないものはすべてはじかれることになっているのですが、こうしたスーツのオーダーは基準があいまいで、難しいかも。もちろん、先に仕上がり寸法をきちんと確認しなかった私も悪いのですが、まさか担当してくれたスタッフが、採寸と基本のパターンだけ選んで工場に送り、後は工場任せでどうなるか全然わかりません状態だとは思っても見なかった。高い授業料払ったけれど、私の普段の仕事にもいかせる教訓となった出来事でした。

こういう出来事はたぶん、アウトソーシングでも、商社が仲介に入るプロジェクトでありがちで、間によくわかっていない人が入ると、結果が思わしくなかった時もめる原因となるんだと。