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 ♪♪♪ H.Tokuda

僕の音楽遍歴1

2017-02-08 23:10:56 | エッセイ(音楽)


 初めて人前で演奏したのは高校生の頃。写真はその時の様子だ。なんだか鬱陶しい面持ちでうつむいてバンジョーを弾く姿は、現在の僕とあまり変わらない。隣でマンドリンを弾いているカワイイ顔の男の子はHITOMAZzの盟友ZENちゃん。彼はこの頃からギターやマンドリンが上手かったし、僕も今よりはバンジョーが弾けた。

 当時僕たちはナターシャセブンに夢中で、その演奏を真似することに明け暮れていた。そこから本格的なブルーグラスの世界へ突き進んでいく人も多かったが、僕たちはそれほど深入りせず、むしろジャンルを広げる方向で、フォーククルセダーズなど一昔前のフォークや、当時リアルタイムだったチューリップ、かぐや姫、吉田拓郎などをレパートリーに加えていった。沢田研二やキャンディーズなどの歌謡曲もやった。
 コンサートに出たのは写真の1回きりだが、誰かの家に集まってはよく練習をした。お母ちゃんが「うるさい!」と言って怒るので、疏水の公園まで楽器を持って練習に出掛けたこともあった。当時はバンドスコアや教則本もあまり良いものがなかったし、ビデオやyoutubeなんて便利なものはない。カセットテープを何度も繰り返し聴き、コンサートでは双眼鏡を使ってプレイヤーの指の動きをチェックした。若い頃は、集中力、記憶力、運動神経、リズム感など、今よりはだいぶ優れていたので、比較的短い時間でマスターすることができた。その頃に覚えた曲の歌詞やコード、フレーズなどは、数十年経った今もしっかり頭に残っている。最近では、やっと覚えたと思っても、2~3日経てばもう忘れているという始末だ。

 仲間たちと一緒に演奏することは、とても楽しかった。僕は他のメンバーとは別の高校だったので日曜日にしか練習ができない。平日は高校の友人と麻雀をしたり、クラブハウスで文芸活動、ライブハウスでロックを聴いたり、そして休日はバンド仲間とフォークの演奏。迫り来る大学受験を気にしながらも、充実した高校生活をエンジョイしていた。
 ところが、僕は遠くの大学へ進み、バンド活動に参加できなくなってしまった。大学の寮では一人でギターをポロポロ弾く程度。酒に酔ってしょっちゅう寮歌を歌っていたが、フォークソングなどを歌う機会はめっきり少なくなった。今から思えば、大学の同級生や寮生の中にも、誘えば一緒に演奏できそうな友人は幾人かいた。やろうと思わなかったのは、音楽に対する僕自身の情熱が冷めてしまっていたためだと思う。また、高校時代のメンバーほど気の合う仲間に巡り合えるとも思えなかった。
 大学を出て就職したらすぐに結婚、またすぐに子供ができて、もうバンド遊びどころではなくなった。その後も長いあいだ楽器に触れることがなく、再びギターを手にするようになったのは、40歳を過ぎてからだった。

 40代の頃は「憂歌団」にハマっていたが、内田勘太郎氏のギターは超絶すぎて、ちょいと真似しようという気すら起こらない。またナターシャでもやりたいと考えたが、一緒に演奏する仲間が見当たらなかったので、一人でギターやバンジョーをいじって遊んでいた。やがて楽器収集が趣味となり、僕は楽器オタクへの道を進んでいくのである。たくさんのギターやバンジョーに囲まれて、一人でポロポロと弾く。ちゃんと練習しないし、ぜんぜん上手くもならない。ただ良い音が出せればそれで満足。そういうオタク生活が10年間くらい続いた。

 そして今から5年くらい前、ZENさんが久しぶりに我が家へ遊びにやってきた。数十年ぶりに二人で演奏してみると、あの頃の記憶がひしひしと甦ってきた。深い海の底から捕ってきたばかりのアワビみたいに新鮮な感触だった。また一緒にやろうと誘われ、僕は彼のバンドHITOMAZzの一員に加わることになった。



 写真は野洲市のライブ喫茶「森のくまさん」のナターシャ・ナイトに参加したときのもの。僕がバンジョーでZENさんがマンドリン、ギターは以前のメンバーとは異なるが、僕ら二人は40年前と同じことをやっている。ここ数年間いろんな会場で演奏してきたが、他のレパートリーでは、チューリップ、吉田拓郎、かぐや姫、ジローズ、沢田研二、堺正章など、結局は昔と何も変わっていない。ただ腹が出たり、髪が薄くなったりしただけだ。(笑)
 集まって練習する時間はあまりないが、ステージで互いに顔を見合わせると、次にやろうとしていることがだいたい伝わってくる。彼のギターに音を重ねるのはホントに気持ちが良い。やっぱり古くからの友は良いものだ。

 何でも器用にこなすZENさんはあちこち引っ張りダコで、最近では京都の有名アマチュアバンド、〇〇堂のサポートメンバーにも加わっている。一方こちらは別ユニット「おとぎ猫」で地元活動。月に一度集まれるかどうかの頻度だが、僕にとってHITOMAZzはとても楽しいホームチーム。互いの個別活動を尊重し合いながら、今後も良い付き合いを続けていきたいと考えている。

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