超空洞からの贈り物

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貝虫類の巨大精子、古代の進化戦略か

2009年06月20日 00時02分03秒 | Weblog
 甲殻類の一種でウミホタルやカイミジンコなどが属する貝虫類にとっては、どうやら“サイズがものをいう”ようだ。最新の研究によると、小さな貝虫類はその体とは不釣り合いな巨大な精子を持っており、これは少なくとも1億年前にまでさかのぼる進化戦略の一環なのだという。

 貝虫類の巨大な精子は体長の最大10倍の長さにまで達することがある。人間の場合、平均的な精子の長さはおよそ0.05ミリメートル(50ミクロン)で、身長の3万分の1にも満たない。

 研究チームは、この巨大な精子が古代にさかのぼる進化上の適応戦略の一環として現れたものなのかどうかを調査するため、ブラジルの1億年前の堆積層から発掘された保存状態の非常に良い5匹の貝虫類の内臓をX線で分析した。すると、巨大精子そのものは朽ち果てていたが、おそらく最も重要と考えられるオスの器官が残っていた。巨大精子を体の外へ押し出すポンプの役割をする射精器官(ゼンカー器)だ。

 研究チームの一員で滋賀県にある琵琶湖博物館のロビン・スミス氏は、「この射精器官を持っているのは、巨大精子を生成する貝虫類に限られる」と話す。さらに、同じ堆積層から発見された2匹のメスの化石標本には、巨大な生殖腔(せいしょくこう)が備わっていた。

 研究チームのリーダーでドイツのミュンヘンにあるルートヴィヒ・マクシミリアン大学(通称ミュンヘン大学)のレナーテ・マツケ・カラズ氏は、「このような精子受容器は、精子を抱えているときにしか膨張しない。つまり、この2匹のメスは死ぬほんの直前に交尾を行っていたはずだ」と話す。

 巨大精子の役割については、おそらくクジャクの尾と同じもので、メスを引き付けるための手段だと研究チームは結論付けている。

 その巨大さにはメスの生殖腔に“栓をする”効果もあったようで、ほかのオスと交尾できないようにするための意味もあったという。子どもを育てるための栄養源だった可能性もある。

 巨大精子が効果的な適応戦略であるなら、ほかの動物の中にも同じ戦略で進化したものがいるはずだと思うかもしれない。その通り、実際にいるのだ。カエルや巻貝、昆虫の中には、貝虫類と同様に並外れて巨大な精子を持つ種がある。

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