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世界農業遺産

2014-02-20 | カミオ周辺情報
昨年末のエコプロダクツ2013会場で手にした世界農業遺産の冊子を見ていたら、なんと、カミオ周辺のお茶畑が2013年5月に世界農業遺産に認定されているではありませんか。

世界農業遺産って何なのでしょうか? 以下、冊子より適宜抜粋します。
 世界農業遺産(Globally Important Agricultural Heritage System :GIAHS)は、グローバル化、環境悪化、人口増加の影響により衰退の途にある伝統的な農業や文化、土地景観の保全と持続的な利用を図ることを目的に、国際連合食料農業機関(FAO)が2002年に開始したプロジェクトです。
 伝統的な農業や土地利用のみならず、生態系や土地景観、習慣、伝統文化など農業に関連する文化的な要素も含め、世界的に重要な農業地域を次世代へ継承していくことを目指すもので、「過去の遺産」ではなく、様々な環境の変化に適応しながら進化を続ける「生きている遺産」と言われています。
 世界農業遺産は、世界で11カ国25地域が認定され、日本では、2011年6月に新潟県佐渡市の「トキと共生する佐渡の里山」、石川県の「能登の里山里海」、2013年5月に静岡県の「静岡の茶草場農法」、熊本県の「阿蘇の草原の維持と持続的農業」、大分県の「クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の農林水産循環」の5地域が認定されています。
 世界遺産との違いは何かと言うと、、、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)が推進する世界遺産は、遺跡や歴史的建造物、自然など「不動産」を登録して保護するのに対し、世界農業遺産は、次世代に継承すべき伝統的な農業の「システム」を認定し、その保全と持続的な利用を図るものです。

それでは、「静岡の茶草場農法」について見てみましょう。またまた冊子より抜粋です。


静岡の茶草場農法
静岡県<掛川市/菊川市/島田市/牧之原市/川根本町>
 静岡の特徴的な農業の風景である茶畑では、希少種を含む多くの植物を見ることができます。茶生産が近代化される中、農家がひと手間かけて高品質なお茶生産に励んできた営みが豊かな生物多様性を育み、守り続けています。

環境と共生する伝統農法「茶草場農法」
 茶草場とは、茶園に有機物として投入するススキやササなどの草を刈り取るため、茶農家によって維持管理された半自然草地のことです。その茶草場の草を秋から冬に刈り取り、乾かした後、細かく刻んで茶園の畝間に敷く伝統的な農法が「茶草場農法」で、茶草によって茶の味や香りがよくなると言われています。
 かつては、茶草場のような草地は日本各地で見られましたが、農業や生活様式の近代化とともに放置されるようになり、その草地をすみかとしていた動植物の中には、絶滅の危機に瀕している種類もあります。
 しかし、静岡では古くから良質な茶の栽培を目的に、農家が手間ひまかけて草を刈り、草を敷く茶草場農法を行ってきました。こうしたお茶づくりにこだわる思いが、日本から失われつつある里山の草地の環境を守り続けてきたのです。

茶草場農法が育む生物多様性
 茶草葉の草を刈らずに放っておくと、生存競争に強い植物が生い茂るため、生息できる植物の種類は少なくなります。一方、定期的に草を刈り取ることで、大きな植物が生い茂ることなく、地面まで日光が当たるので、生存競争に弱い小さな植物も生息することができます。そのため、毎年の草刈りによって、様々な植物が生息する特別な場所となり、豊かな生物多様性を保全しているのです。
 茶草葉では300種類以上の草地性植物が観察され、富士山の名前を冠した「フジタイゲキ」などの地域の固有種や、他の地域では絶滅が危惧されている「ササユリ」なども確認されています。
 良いお茶づくりにひたむきに取り組む農家の長年の営みや努力が、自然と共生しながら生物多様性をつくりあげています。

いかがでしたでしょうか。人間の営みが豊かな環境づくりに寄与しているんですね。このような持続可能な環境づくりを大切にしてゆきたいと思います。
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