KAMAKURA☆CHAMPROO

見る前に跳べ!「無計画に走るのは世の常」が座右の銘

月刊漫画ガロINDEX 1966年12月号(通巻28)

2006-12-17 01:45:25 | COMIC
石子順造「庶民という匿名の存在」(評論)
水木しげる「怪奇死人帳」
上野昂志「目安箱」第21回 ノッペラポーについて
勝又進「作品集」第7回
つげ義春「手錠」
楠勝平「おせん」
つりたくにこ「こんな話」
白土三平「戦争」
 第一話 金髪のジェシカ
 第二話 時限バクダン
 第三話 偏食


この号は白土三平が急病のため「カムイ伝」は休載とのこと。

石子順造「庶民という匿名の存在」
巻頭が水木しげるだからでしょうか、「親愛なるミスター・カルダンへ」という副題の「ねずみ男」へのオマージュが表2に掲載されています。石子順造氏はもうなくなって久しいですが、優れた漫画評論を残した信頼のできる評論家でした。

水木しげる「怪奇死人帳」



たまたま古本屋で「死人帳」を手に入れた主人公が死の世界を垣間見てしまうという話。江戸時代が舞台で、主人公は名門武家の子弟。登場人物は皆シリアスなキャラで背景も細密に書き込まれています。98ページの大作です。

つげ義春「手錠」



六年前に書いた作品だとの作者の注釈が表紙に記載されています。ということは'60年作品で、いわゆる貸本向け作品ということでしょう。内容は刑事と強盗犯人のサスペンスもの。貸本漫画の雰囲気がわかる作品です。

楠勝平「おせん」



こちらも江戸時代が舞台。貧しいけれど元気で働き者のおせんに偶然出会った大工の棟梁の息子・安。おせんの働く姿を見ていつしか心を寄せるようになる。

叔父に紹介するが、叔父の家にある五両の花瓶を誤って割ってしまう。おせんの顔から普段の快活な表情が消え、割ったのは安のせいだとののしる。

それを見た安はおせんに幻滅する。何不自由なく育った安には貧乏が骨の髄までしみこんだおせんの悲しい反応が理解できなった。土砂降りの中泣き崩れるおせん。

おせんという健気な女性を描き出し、その短い恋と破局を抑え目に語ります。何度読んでも味わい深い作品。

つりたくにこ「こんな話」



つりたさんのペーソスのある短編。'60年代のほのぼのとした雰囲気を感じさせる作品。

白土三平「戦争」



「ボーイズライフ」掲載作品の再録。3つの短編で戦争の悲惨さを描く。第1話はドイツ軍への恐怖と大人への恐怖の区別がつかず、解放軍に銃を向ける少女ジェシカの話。第2話はドイツ軍の爆弾に砂をつめるレジスタンスの話。第3話は戦場で餓え、仲間の死体を食べてしまった男が、戦後、平穏な家庭を築いたもののトラウマを引きずり肉が食えなくなってしまうという話。白土氏の現代ものは珍しいと思いました。

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