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(読書)新しい公共性

2005年03月16日 | 読書感想
 NHKの2005年度予算案の国会審議が、初めて生中継されました。
 これは、民主党から「NHKに対する不信感が広がり、受信料支払い拒否件数が1月末で約40万件近くに達していることなどから、テレビで生中継し、国民に広く審議の内容を聞いてもらうべきだ」との提案によって実現したものだそうです。
 
 私は深夜の再放送を見ましたが、率直に言って「これでは何も変わらない」という感想を持ちました。
 NHKにとっては、信頼回復をどのように図っていくのかを国民にアピールする最高の舞台だったと思いますが、自己弁護に終始し、改革に取り組む熱意や気概や真剣さは何も伝わってきません。
 全会一致での承認が慣例となっていたNHK予算案に対して、野党各党がそろって反対する異例の結果になったのもうなずけます。

 そうした中で、公共放送とは何かを問い直すために「新しい公共性」と題した本を読みました。

 ▲書籍紹介HP▲ 
 

 この本の主題は、官による公共の独占が揺らぐ一方で市民的公共性もなお未成熟な中で、新しい公共性はいかなる内容・手続きで形成されるべきかを明らかにすることが目的とされています。

 序章「新しい公共性を求めて」で、山口定氏は公共性の判定基準について次のように示しています。

 まず、社会的有用性(社会的必要性)があり社会的共同性が伴っているかどうか、また公開性や人権の保障に基づいているかどうかが問われるとしています。さらに、国際社会で形成されている共通の価値から見た妥当性である「自由」「人権」「デモクラシー」「寛容」「持続可能性」と言ったものや「地球環境問題」「テロリズム」といった新しい普遍的価値や諸問題との関係、さらには、手続きにおける民主性が問われるとし、そこにおける民主性は議会制民主主義における議決というだけではなく、説明責任、情報公開、市民参加によって形成されることも重要だと示されています。

 本書には「メディア政策と公共性」「放送メディアの公共性と市民アクセス」と題した章もあり、NHKやフジテレビに関する動きを考える上で参考になりました。

 以下メモ

(放送の公共性)

 誰もが平等に受信できること
 放送内容が公正・公平であること
 多様性が保障されていること

(放送事業のしくみ)

 放送制度が多元的であること
 経営が民主的であること
 
電波資源の有限性や影響力の大きさを考慮し、自社のことだけでなく、社会全体の利益を優先すること。

今、メディアの規範性や公共性の再定義が求められている! 
→ 人々の表現の自由や公正
→ パブリックアクセス


 詳細は紹介できませんが、公共放送のありようを考える上で、今回の「事前説明」「番組改ざん」問題といったNHKによる逸脱した動きだけでなく、本来のありようについてより多元的にとらえていく必要があることが本書を読むと分かると思います。

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