蓄音機&写真 気ままなBlog

気ままに更新してます

信託と住民自治

2010年07月19日 | マニフェスト
 金融広報中央委員会ってご存知ですか?
 実は「信託」という言葉の意味を知るために調べていて初めて知ったのですが、都道府県金融広報委員会、政府、日本銀行、地方公共団体、民間団体等と協力して、中立・公正な立場から、暮らしに身近な金融に関する幅広い広報活動を行っているところです。

 この金融広報中央委員会のホームーページに「信託」の意味について説明されています。参考HPへ

 信託とは、委託者が信託行為(例えば、信託契約、遺言)によってその信頼できる人(受託者)に対してお金や土地、建物などの財産を移転し、受託者は委託者が設定した信託目的に従って受益者のためにその財産(信託財産)の管理・処分などをする制度だそうです。

 「信託」の意味を調べた理由は、7月15日付けの草津市広報に自治体基本条例の記事が掲載されていて、条例のイメージを示した図でこの言葉が出てきたからです。

 

 先ほどの「信託」に関する説明と対比して考えると、委託者(=市民)が信頼できる受託者(=行政や議会)に対してお金や土地、建物などの財産(=税金や資産)を移転し、受託者(=行政や議会)は、委託者(=市民)が設定した信託目的に従って受益者(=市民など)のためにその財産を管理・処分するということを示していると思うのですが、どうも腑に落ちません。



 国政の場合は、憲法前文で「国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」と書かれていますので、同じような使われ方をしているのかもしれません。
 しかし、地方自治の場合は憲法92条で「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」と書いてあり、この「地方自治の本旨」とは「団体自治」と「住民自治」のふたつの原理を意味します。
 (「団体自治」は、国から独立した法人格をもつ地域的統治団体がその地域社会の公的事務を自己の責任において処理することで、「住民自治」は、一定の地域社会の公的事務を住民みずからの意思に基づいて自主的に処理することです。)

 特に「住民自治」という自治基本条例で最も大切な要素を、「信託」という言葉から連想することは容易ではありません。

 「信託」は要するに「信用して託す」ことですので、「選挙で選んだらあとは任せる」というふうに理解されると困ります。また「常にチェックして確認し、口を出して修正を求める」ということをしていこうとすると、この言葉では限界がでてきます。(「信託」を監視・監督権まで含めて理解している場合は別ですが・・・)
 
 しかも「ちゃんとやるからあとはまかせてね」という行政の思いがこめられていると邪推する人がいると、きっと本意ではないと思います。


 また、「行政」は憲法でいう「国政」=国家の行う政治のことと対比されている言葉だと思いますが、別の角度から見ると行政とは自治権を行使する地方自治体という法人のことを指しています。
 もし、地方自治体のことを指しているとすると、市民が直接選挙で選出しているのは法人としての自治体の執行権を持った首長と議員(議会)ですから、拡大解釈で行政機関の従業員である行政職員も含めて市民が直接信託しているというイメージとして理解されてしまうと、ちょっとおかしくなってしまう気がします。

 他市の自治基本条例の中で「信託に基づく市政」が原則であることが明記されているものも多いので「信託」という言葉そのものを否定することはできませんが、たとえば「協働」という言葉が理解のされ方によって全く違ったものになってしまうのと同じようなパターンではないかと思います。参考HPへ

 ※次の機会に、「協働」について考えてみたいと思います。


 以上、自治基本条例の議論を深めていくための問題提起とさせていただきます。(つづく)

  草津市の自治基本条例に関する参考記事


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。