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地方自治のイノベーション

2010年07月19日 | マニフェスト
 前回からの続きです。

 地方自治体は、区域内の全ての住民が構成員となり、地方公共団体がその自治権を行使するものとして存在しています。
 ここで問題となるのが、自治体の構成員である市民と、地方公共団体(地方政府)との関係です。
 
 この2つの主体の関係は、同列に並べられるものではありません。何故なら、地方公共団体は、市民がいわばオーナーであり執行権者でもあり、かつ最も重要なステークホルダーでもあるからです。

 その制度としては、地方公共団体を市民の意志に基づき(個人ではなく総意に基づき)適正に執行するために、首長や議員の直接選挙によって選出すると共に、条例の制定・改廃の請求、事務監査の請求、議会の解散請求、長や議員等の解職請求(リコール)といった直接請求権が保証されています。

 「主権者市民」は自然人である個人のことを指しますが、地方公共団体の執行権は市民から選ばれた首長が地方自治体を統括・代表し、また、事務を管理し執行します。
 具体的には、予算案の策定や執行、条例の制定・改廃の提案及等の議案提出、更には一定の範囲で専決処分の権限が与えられています。

 また、最近では試行錯誤の状態ではありますがマニフェストを通じて首長がどのように執行権を行使するか市民が選択し決めることができるようになってきました。更に当まちづくり本舗の活動では、マニフェストのPDCAサイクルを形成しそのすべてのプロセスに市民が直接関与するしくみをつくろうとしています。

 では、このような制度的な保証や動きがある中で、今、何故自治基本条例が必要なのでしょうか?
  
 これまで地方自治の原則は謳われていたものの、事実上「官治・集権」で三割自治と言われる状態が続きました。参考HP
 しかし、90年のバブル経済の崩壊とともに高度経済成長の神話が崩れ、また東西冷戦の世界構造が変化し新たなガバナンスが求められるようになりました。
 こうした中で、国と地方のこれまでの上下関係を対等・協力の関係に改め,地方自治の活性化を図ることを目的として2000年4月に地方分権一括法が施行されました。これを契機に分権改革は市民参加を重視した総合計画の策定や独自のローカルルール、自治基本条例策定の動きが活発になってきました。

 一方で、2004年年度からの三位一体改革では、地方の財政的自立にはほど遠い結果になっています。また、鳩山前内閣では地域主権改革が「一丁目一番地の改革」と位置づけられましたが、具体的な取り組みはこれからという段階です。
 現状の市民が直接関与するしくみについても、行政が主体となって実施するアンケートやパブリックコメント、市民会議などといった手法はありますが、実際上は形式的で帳面を消すためのものになりがちです。更に、複雑化する社会状況や少子高齢化をはじめとした課題に対応するために「新たな公共」を誰がどのように担うのかが課題となってきました。

 そこで、自治基本条例は主権者たる市民が様々な方法で関与することを通じて、間接民主主義の限界や官僚的で非効率的なものを是正しより良い市政運営に資することを目的として制定されるものです。

 別の言い方をすれば、自治基本条例(策定過程も含めて)を通じて住民自治の仕組みやその質を変え、ローカルガバナンスのイノベーションを促進することが最も大切な意義だといえるのではないでしょうか。

 だからこそ、自治基本条例では市民が行政に関与するしくみやそれを保証する制度(情報公開等)を明記し、実際に機能させていく方法がしっかりと示されるべきだと思います。

 そうしたことをイメージ図で示すとなると、どういうふうになるのかなぁ? 
 この件と、前回課題として掲げた「協働」については、もう少し考えてみたいと思います。

【追記】
 マニフェストでは21年3月までに制定することになっていましたが、より良いものとするためとの理由?で期限が延びています。
 だとすると、延期となっている説明責任を果たすためにも、策定スケジュールや進捗状況をしっかりと公開することが求められます。
 またより良いものとするためには、広く市民に意見を求める工夫も必要ではないでしょうか。
 具体的には、自治基本条例の専用サイト(コーナー)をつくって、議事の公開や解説、事例紹介、更には、市民とのコラボレーションシステムの構築や大和市のようなキャラバン隊やワークショップ実施など・・・。

 (つづく)
 

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