長尾景虎の戯言

読んだり聞いたりして面白かった物語やお噺等についてや感じたこと等を、その折々の気分で口調を変えて語っています。

東野圭吾著【放課後】

2017-10-11 15:49:56 | 本と雑誌

第31回江戸川乱歩賞受賞作にて、大ベストセラー作家のデビュー作。
何故か私はまだ読んでいなかった、他の作品を多く読んでいるのに…。
同じく江戸川乱歩賞受賞作の小峰元著「アルキメデスは手を汚さない」に感動し、小説を書こうとした著者。
アルキメデスよりずっと秀作である。
その後の作家としての活躍ぶりが、顕著にそれを顕しているだろう。
さて主人公前島は、本来地元の国立大学の工学部の情報工学科を卒業し、エンジニアの道を歩もうとしていたが、東北に転勤辞令が出て、これには親の反対もあり、数学教師の資格を取得していたのこともあり、こねで私立清華女子高等学校とういう名門の女子高に職場を得た。
彼は「マシン」とあだ名されていた、つまり数学をかってに教えかってに終わらせる授業内容だった。
決して教師として、優秀でもなんでもなかったが、そもそも数学の授業を熱心に聞く生徒は少数派であった。
その前島が、最近だれかに何故か命を狙われていた。
ホームから突き落とされそうになったり、感電させられそうになったり、頭上から鉢植えが落ちてきたり…。
そんな中、校内更衣室で生活指導の教師が密室状態の中、青酸中毒で死んだ…。
教師を二人だけの旅行に誘う問題児、頭脳明晰の美少女で剣道部の主将、先生をナンパするアーチェリー部の主将。
犯人と思しき生徒は次から次へと現れる。
そして、運動会の仮想行列で、皆の目の前で第二の殺人が…。
最後まで息が抜けないミステリー、著者の原点の作品として、多大に評価する。