Asian Cars通信 ~since 2005~

日本とアジア各国の車の紹介と国内・海外の車にまつわる取材記。きっと、新しいアジアカーの時代が来る!!

トヨタSAIに試乗して

2009年12月26日 | 試乗記


 カタログを見て、ショールームで座ってみる限りでは、なぜこの車が300万円以上するのか理解できなかった。フロントは至って平凡な感じだし、インパネも大きなマウスみたいな装置が居座っている以外はとてもシンプル。 従来のトヨタヒエラルキーでいえば、ビスタクラスの車である。それがハイブリッドだからといって、少々高すぎやしないかというのが試乗前の感想であった。
 セールスの説明を聞き、室内を手で触れて、少しずつ印象が変わっていった。
 まず、ドアトリムに使われている布地の手触りが良い。ステアリングも太目の革巻きで高級感がある。センターコンソールのひじあても若干ソフトになっている。
 インパネのマウスみたいなモノ(リモートタッチというらしい)は、慣れれば使いやすくなるだろうが、たとえばナビ作動中に足元だけ暖房を入れたいという場合、複数のアクションが必要となる。マニュアルエアコンのダイヤル式レバーなら一発なのに、わざわざ面倒にしているなぁと思う。
 それはともかく、室内は広々としているし、内装の色調や素材の選択が良く、シンプルな中に高級感が感じられた。これには大変満足。あとはエアコンのリア吹出し口があれば。
 走りは、ハイブリッドだからと特に気を使うことなく、普通の車として運転できる。上り坂などで余裕があり、内装の高級感とあいまって、いい車に乗っているという実感がある。反面、Sの16インチタイヤでも、やや路面の凹凸を拾う印象があった。
 トヨタは、SAIを出す一方でFRセダンのマークXをデビューさせた。マークXとSAIはサイズこそ近いが、コンセプトが全く違う。完成度でいえばマークXに軍配が上がる。FRの6気筒セダンとして世界に誇れる実力があると思う。
 一方SAIは、これからのトヨタ車の中核を担っていく車だと思う。乗員優先のパッケージングというのは、1982年の初代ビスタ/カムリから引き継がれた伝統である。SAIは、ハイブリッドによる低燃費、そして内装の質感に磨きをかけ、これからのセダンの基準を問いかけた。
 最終型ビスタ、先代アベンシス、SAIはいずれもホイールベースが同じである。これは、長い時間をかけ、トヨタがこのクラスでいかにいい車を作ろうとしているか、苦労の様子がうかがえる。
 乗ると中身の濃さを感じるセダンは本当に久しぶり。SAIは好きな車になった。
 ライバルは、日産ティアナあたりかも。 
 (写真は、お菓子の詰め合わせが入っていた紙の箱)


新型マークXに試乗して

2009年12月11日 | 試乗記
 新型マークXに試乗した。
 グレードは、250G Sパッケージ、16インチのノーマルタイヤ仕様であった。
 数キロの試乗コースを走った限りでは、CクラスやEクラス、3シリーズとの歴然とした差は見つからなかった。
 乗り心地は締まっているが決して不快ではないし、ペダル類も踏み応えがしっかりしている。パドルシフトは操作性もレスポンスも良い。
 あとは、内外装のデザインが気に入るかどうかだと思う。
 トヨタでは、同クラスのレクサスISの方が内外装ともシンプルで、かつ高級感がある(値は高いが)。また、マークXとプラットホームを一にするクラウンは、日本人の求める「いいクルマ」の価値観にしっかり沿ってデザインされている。 
 これに対しマークXは、先代からスタイリングが無国籍的で、マークⅡ時代(~100系)の華やかさがない。インパネは、豪華さとスポーティさを狙っているものの、センターコンソール両端のメッキ飾りが雰囲気に合っていない感じがする。内装も、黒一色のSは気にならないがノーマルのGは生地が安っぽい。ベロア地のシートは「プレミアム」のみの設定で3.5Lだけ…(そのうち、250G”プレミアム”という特別仕様車が出るとは思うが)。ついでに言うと、"X"というエンブレムも"バツ"に見えてしまってどうもネ~
 もっと、セダン好きの心に訴える見栄えの良さがあればなと思う。かつてのマークⅡはそうした点に抜かりがなく、普通でありながらいいクルマの定番だった。マークXもそうあって欲しい。(写真は東京モーターショーで撮ったもの)