そっとのばした小さな手

つくりばなしや遊戯王やポケモンばなしなど諸々

突如思いついた赤ずきん

2016-08-05 | 突如思いついたシリーズ
「赤ずきんや」 「何?母さん」 「すまないけれどお婆ちゃんのところにこれを届けてくれないか」 その言葉と同時に差し出されたかごの中には、魔実【失楽園】が入っていた。 私のお婆ちゃんは世界で唯一、【永遠の夜明け】という秘薬を作ることができる人間で、そこに材料であるリンゴに似た果実、【失楽園】を届けることが私の役割。 なので、いつも通り母さんからかごを受け取る。 しかし、私が受け取った後に . . . 本文を読む

突如思いついた東京の交通事情

2016-07-07 | 突如思いついたシリーズ
「実はね美樹ちゃん」 「なにさるーあん」 「聞いて驚くなよん」 「るーあんがそう言って実際に驚いたためしないんだけど」 「……まあそうなんだけど、これは本当に驚くよ」 「ほんと?」 「うん」 「なにさ」 「実はね私」 「うんうん」 「この前…東京に行ってきたんだ」 「やっぱり大したことじゃな…東京!?」 「うん」 「東京ってあの東京!?」 「そ、あの東京」 「欲望渦巻 . . . 本文を読む

突如思いついた北風と太陽

2015-11-26 | 突如思いついたシリーズ
北風と太陽は競争が大好き。 いつもちいさなことで比べあいっこをしています。 そんな北風と太陽が話していると、一人の旅人がやって来ました。 「ひとつ競争しようじゃないか太陽さん」 「なんだね北風さん」 「あそこに旅人がいるだろう どちらが早くあの旅人の着ている上着を脱がせるか勝負だ」 「いいだろう」 「先攻は貰った」 北風はそう言うと、旅人に向かって風を吹きかけました。 風で服を吹 . . . 本文を読む

突如思いついた月が綺麗ですね

2015-11-07 | 突如思いついたシリーズ
「月が綺麗だな」 「そうね」 夜空を見上げながら、私は同意する。 今日は雲一つなく、さらにスーパームーンというやつで、実に綺麗なお月様が見える。 「確かにきれいな月だ、けどね」 そういって彼は私に視線を向ける。 なんだかじっと見つめられてどきどきする。 「けれどもあの月よりも、」 彼が私に微笑みかける。 「君の方がずっと丸いよ」 「って彼が言うのよ!?酷くない!?」 と不 . . . 本文を読む

突如思いついた雪女

2015-05-05 | 突如思いついたシリーズ
「突然だけど後輩君」 「何ですか先輩」 「実は私、雪女なの」 「……は?」 僕は反射的に先輩の顔を見る。 息をのむほど美人、というわけではないが整った顔を見ていると、先輩が涼しげな無表情を一切崩さずに再び口を開く。 「今まで隠していたけど、私はいわゆる雪女なの」 「はぁ……そうですか……」 僕は特に何かを思うことなくその言葉を受け止める。 「変わったお名前ですね」 「名前じゃなくて分類みた . . . 本文を読む