読んだ文庫をつらつらと…

備忘録として、6(5+1)段階評価で

佳代のキッチン

2013年09月25日 | ★★★★☆☆(お勧め)
原宏一(祥伝社)

十五年前に失踪した両親を捜すため、持ち込まれた食材で料理を作る「移動調理屋」を始めた佳代。キッチンワゴンで両親ゆかりの地を巡るうち、一風変わった注文やちょっとした事件も舞い込むように。「ふわたま」「鮨天」「魚介めし」──もつれた謎と、人々の心を解くヒントは料理の中に? そして、徐々に明らかになる両親の秘密を追い、佳代が辿り着いた場所とは?

雑司ヶ谷R.I.P.

2013年09月20日 | ★★★☆☆☆(満足)
樋口毅宏(新潮文庫)

“雑司ヶ谷の妖怪”こと、泰幸会教祖・大河内泰が死んだ。享年102。葬儀に参列するため中国から帰国した俺を待っていたのは、ババアが書き残した謎の遺書。教祖のイスと莫大な財産は俺の父親に譲るというが、親父ならとっくに死んでいる。ババアの魂胆は何か? 初代教祖の戦前戦後の過去と、二代目就任をめぐる抗争劇の現代が交錯する、衝撃の問題作「雑司ヶ谷」シリーズ第二弾。

包帯クラブ

2013年09月13日 | ★★★☆☆☆(満足)
天童荒太(ちくま文庫)

関東のはずれの町に暮らす高校生、ワラ、ディノ、タンシオ、ギモ、テンポ、リスキ……傷ついた少年少女たちは、戦わない形で、自分たちの大切なものを守ることにした……。いまの社会をいきがたいと感じているすべての人に語りかける長編小説。2003年発表、映画化もされた話題作を、文庫化に際し、全ページにわたり加筆、作品としての密度をさらに増した。画・五十嵐大介

青天の霹靂

2013年09月04日 | ★★★☆☆☆(満足)
劇団ひとり(幻冬舎文庫)

学歴もなければ、金もなく、恋人もいない三十五歳の晴夫。一流マジシャンを目指したはずが、十七年間場末のマジックバーから抜け出すことができない。そんなある日、テレビ番組のオーディションではじめて将来への希望を抱く。だが、警察からの思いもかけない電話で、晴夫の運命が、突如、大きく舵を切る──。人生の奇跡を瑞々しく描く長編小説。

オー!ファーザー

2013年09月02日 | ★★★★☆☆(お勧め)
伊坂幸太郎(新潮文庫)

父親が四人いる!? 高校生の由紀夫を守る四銃士は、ギャンブル好きに女好き、博学卓識、スポーツ万能。個性溢れる父× 4に囲まれ、息子が遭遇するは、事件、事件、事件──。知事選挙、不登校の野球部員、盗まれた鞄と心中の遺体。多声的な会話、思想、行動が一つの像を結ぶとき、思いもよらぬ物語が、あなたの眼前に姿を現す。伊坂ワールド第一期を締め括る、面白さ400%の長篇小説。