腕時計の時間を確かめる。
今は夜の10時。
僕らは肝試しをする為に夜の校舎に集まっていた。
学校で肝試しをしようと皆で話し合ったのが昨日。
20年も前に自殺した女生徒が遺書を持ったまま追いかけてくるという眉唾物の怪談がこの学校にはあった。
その話を聞いて、そんな莫迦な話があるものか。と僕が反論したことで、蛙鳴蝉噪の議論百出のこの小田原評定を中断し、実際に真実を確かめてみることになった。
夜の後者で追いかけてくる人というのは怪談にはありがちで、この高度情報化社会の中では都市伝説や面白半分に垂れ流される噂としての情報は、曖昧模糊な物が多く眉に何回も唾を付けて聞き流すのが常になっている。
だからこの日の肝試しも、大山鳴動して鼠一匹のような展開になると思っていた。いや、ネズミ1匹でも真実は真実か。
順番は1人ずつ、この場に居るのは5人。僕は1番最後に校舎を1周することになった。
4人目が戻ってきて、僕の順番がやってきた。
しかし、4人とも何も見ていないと言うので「ああ、やっぱり幽霊なんて居ないんだ」などと思い校舎の巡回を始めることにした。
まずは1階、ここは誰も居ない。2階も誰も居なかった。
3階に到着したとき、生暖かい風と、後ろから妙な気配を感じた。
後ろを見ると、風もないのに黒い長髪をなびかせながら色白の少女が微笑んでいた。
「あの、これを……」
そう言いながら"遺書"を差し出した少女を見て、僕は背中に寒気を感じ、体中に鳥肌がたった。
あまりの恐怖に僕は逃げ出した。
気がついたら屋上に逃げていた。
こんな所に逃げたら逃げ場が無いじゃないかと自分の莫迦さ加減に、意気消沈した。
そして少女も屋上まで追いかけてきたので、僕は逃げることを諦めた。
何故追いかけてくるのかわからない、怖いけど聞くことにした。
「君は、なぜ僕を追いかけてくるんだい?」
もじもじしながら少女は答えた。
「あの、この手紙をある人に渡して欲しくて」
手紙?遺書じゃないの?
彼女は屋上から飛び降りたはず、ならば遺書じゃなきゃ何なのか?
彼女の話はこうだ。
ユウ君に渡す為に書いた手紙をどうやって渡すかヒロ君に相談した。そしたら、ヒロ君は俺が渡すと言って手紙をひったくった。それを心の準備が出来てない彼女が取り戻そうと揉み合いになって気がついたら彼女は屋上から転落していたとのことだ。
そして、校舎で人を見つけると手紙を渡して欲しいとお願いする為に出没するようになったと。
まったく人騒がせな話だ。
僕が手紙を受け取る事にした。
受取人の名前を見て驚いたのは、僕の父の名前が書いてあったからだ。
その日、今度は僕の話を作り話だと笑い飛ばされて終わったのだった。
家に帰り父に手紙を渡すと、暫く黙って読んでいた。なんでこの手紙を? と父は驚いていたが、僕は図書室で見つけたと嘘をついてごまかした。
後で話を聞くと、父の好きだった娘が、父に当てたラブレターだと言っていた。
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1,192文字、スペース込みで1,200文字。
やっと規格内に収まった作品。
怪談話と言えば、定番のお話になってしまいました。
ここでは、自分の発想力の貧困さに絶望した!
そして無駄に難しい四字熟語や、ことわざを盛り込んでしまう中二病発症。
途中で先が読めてしまうほどの文章力の低さが露呈しました。
書いている途中で、自分でも先が読めてしまいそうだなーと。
あとは、ライトノベル風味のつもりが会話のやりとりが殆ど無く、描写が多くなっています。
投稿日時 2010年06月03日 17:16
レス番号 538