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いよかん定食

創作小説のお部屋。

中国高速鉄道脱線衝突 埋めた事故車両で肢体発見

2011年07月26日 | 日記
中国高速鉄道脱線衝突 埋めた事故車両で肢体発見


酷すぎて言葉もない……

三題噺9 謎の少女 「白木の杭」「一目惚れ」「白いワンピース」

2011年04月01日 | 日記
 ひらひらと舞う白い布きれが視界に入ったので視線を少し上に向けると、そこにはワンピースを着た少女が僕の顔を覗き込んできた。長い黒髪、黒い瞳。ましゅまろのような頬と、白磁のような肌。身長は150cmばかりか。
そんな彼女に見とれていると「ここで何してるの?」と鈴を転がしたような声で少女は訊いてきた。
「空を見てた」
「そう、こんな所に居ると危ないよ?」
「えっ?」
 その直後、空が真っ赤に染まり木立が風でざわめき、寒気を覚えた。ぼんやりと黒い影が少女の前に現れたかと思うと、それは人型になった。黒いシルクハット、蝶ネクタイ、燕尾服、白い手袋、口元の髭、ステッキとまるでマジシャンの出で立ちだ。
「こんな所で人間の男と会話してるなんざ余裕だね、お姫様」とマジシャンのような男が言うと少女は舌打ちをした。少女の姿はさっきまでとは違い、目は赤くなり髪が光る。おまけに口元には牙が。そしてその両手にはさっきまで無かった半円状の刃物が握られている。
 お姫様? こいつらは何を言ってるんだ? この二人は何者なんだ? と考えているうちにわけが解らなくった。
「避けて!」と「邪魔だ!」と言う声が同時に聞こえると、少女は僕を突き飛ばした。さっきまで僕が居た場所にステッキが刺さる。しかもステッキの先が刃物に変化していた。両手に刃物を握り少女はその男に飛び込んでいった。両手で繰り出す半円状の刃をステッキ一つで受けて、いなし、その隙を突いて攻撃を出す男。その攻撃を避け、次の攻撃のタイミングを伺う少女。互角の剣戟が続いていた。
 恐怖心よりも、なぜ目の前の少女が戦わなければならないのかが解らない。この二人がどんな理由で戦っているのか。彼女を助けたい。その一心で僕は武器になりそうな物を探した。怖いという感情より彼女を助けたいという気持ちになった。手頃な刃物を探すが見当たらなかった。周囲を見渡すと民家の庭に白木の杭が大量に積んであったので、急いで取りに行く。意外と長い・・・。たった数百メートルの距離が長く感じる。杭を手に取ると激しい剣戟を繰り返している二人の元へと近づく。男からは死角になる場所から近づこうとすると「こっちに来るな」という目で睨まれた。それでもなるべく気配を殺し近づく。近くで杭を構えるとステッキの柄に近い方で杭を弾かれた。
「邪魔気づかないとでも思ったか、小僧」というと、ステッキの先の刃物が僕をめがけてくる。視界の端で少女が白木の杭を手に握るのが見えた気がしたが、あまりの恐怖に目を閉じると、砂が崩れるような音がした。
「大丈夫?」と訪ねられた。どうやら彼女が男に杭を打ち込んだらしい。
わけの解らないまま「これは一体」と言うと「あなたは知らなくて良いのよ」と言い彼女は去った。
何故僕は彼女を助けたのだろう? としばらく考えてみたがしっくりこなかった。
一時間ぐらい考えてやっと出た答えが
「もしかして、一目惚れ? まさかね……」

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文字数1197文字
投稿日2011年04月01日 12:28
レス番92

三題噺8 夢飛翔「涙」「指導」「夢」

2010年07月07日 | 短編小説

 涙というのは感情が高まったときに、人が体内から流すモノだ。
それは喜びであったり悲しみであったり、人の悲喜こもごもを表現している。
当然それだけではなく、表情筋を使って様々な表情を作ることが可能だ。
 私は人よりも出来が悪く、部活やバイトなどで失敗して強い口調で指導されたりもする。
強い口調で指導されたら「何で私はこんな事も出来ないのだろう」と、すぐに涙が出てしまう。
それを見て、周りは「このぐらいで泣くな」と良い、気勢が削がれてしまうようだ。
私だって別に好きで泣いている訳じゃない。ただ人より涙腺が弱いだけなのだ。
 その日もレジ打ちのバイトで五千円札を受け取っておきながら、千円をもらった時と同額のお釣りをお客様に返してしまった。私がそれに気づいたのはレジの千円札を入れる場所に五千円札が混ざっていたからだ。見つけたときは退勤まで時間が有ったので、入れ間違えただけだろうと思っていた。
レジの引き継ぎの際にレジに入っているお金を計算していたら、四千五百円も誤差が出ていた。
私は「あの時には既に間違えて居たんだ」と理解した。
 その後は店長にこっぴどく叱られた。私が一生懸命やっていても「やる気がない」ように見えるそうだ。「ボーっとしてるから誤差が出るんよ」とか言われたが、「レジが混でいて頭が追いつかなかったんだ」と反論出来なかった。
それが悔しくて私は泣いてしまった。それを見た店長は呆れた口調で「今日はもう良いから帰りなさい、始末書は渡すから」と、一枚の紙を渡してくれた。似たような理由で始末書を書くのは今回で三度目だったので「次は無いよ」と言われた。私は悔しくて家に着くまで涙を流していた。
 こんな調子じゃ「おしゃれな雑貨屋さん」を経営したいという私の夢は一生叶わない気がしてきた。
「夢が叶わないなら生きていても意味がないんじゃないか」と思うと、私は近所のビルの屋上に出た。
綺麗な夕陽だなと思うと同時に、この空を飛んでこの気持ちを鎮めたいと思った。
私は……跳んだ。
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文字数832文字
投稿日2010年07月02日 10:45
レス番573

三題噺7 誘拐 「ビル」「刀」「スーツ」

2010年06月23日 | 短編小説
 駐車場内を猛スピードで黒塗りの車が駆けていく。ドイツ製の高級車だろうか。駐車場の料金所でチケットを受け取らなかったのか、監視員が追いかけていると、目の前で人を轢きながら車は暴走している。その後ろから、もう一台車が追いかけている。こちらはスピードこそ出ている物の、周囲に注意を払って丁寧な運転をしているのが解る。
 物凄い衝撃音がしたので、その方向に目を向けると、先に人を跳ね飛ばしながら走っていた車が停止している車に衝突し、エアバッグが開いていた。男は助手席から女の子を抱えて車を降りた。
もう一台の車からは、スーツ姿の男が現れた。
「綾野様を返してもらおうか」と、男は言った。
「そうはいかないさ、こちらも上の命令で動いてるのでね」
「お前は任務だからといって無関係の人間を殺すのか?」と、男は先ほどの駐車場で人を轢いたことについて質問した。
「ああ、そうだ。それが任務の障害になるならな」
ただ駐車場内を移動していただけで邪魔はしていないはずなのだが、いかにも悪役っぽい男には邪魔に見えたらしい。
「そうか、なおさら許せんな」
そう言うと、スーツの男は車の中から二尺ほどの日本刀を取り出した。
ちっ、と悪役風の男が舌打ちをすると、綾野を黒塗り車のボンネットに乗せ懐からサバイバルナイフを取り出した。
日本刀とサバイバルナイフで殺陣をはじめた。日本刀にサバイバルナイフで応戦する方は、どこかの映画のように海老反りになったりして日本刀の攻撃を躱している。恐るべき身体能力だが、あれだと次の攻撃は防げないと思うが、人間とは思えない身のこなしで姿勢を立て直し、次の攻撃を躱す。
だが、瞬発力と俊敏さは優れていても持久力はないようで、だんだんと刀を持つ男の方が優勢になっていった。
体力の限界が来たのか男は倒れ、刀による攻撃で男の手からサバイバルナイフが落ちる。
その瞬間に手を切ったらしく、男の手から血が流れていた。
倒れている男の腹に強烈な蹴りを数回見舞うと、男は気絶した。
男は黒塗りの車に乗せられている少女の元へと向かった。
「大丈夫ですか、綾野様」
呼びかけても反応がないので、軽く頬を叩くと反応を返した。
「あれ、ここはどこ? どうして昭夫は汗だくになってるの?」
「綾野様は誘拐されてたのです」
「その相手は?」
「そこで気絶してます」
「そう……。助けてくれてありがとう……」
そう言うと、綾野は悲壮な表情をした。
「もう大丈夫ですよ。さあ、ここを離れましょう」
「ええ、そうね。これからはあまり無理はしないでね」
「善処いたします」
男は綾野を車に乗せると、どこかに電話をした後に自分も車に乗り込んだ。
綾野を乗せた車は駐車場を出ると、どこかに向かった。
数分後、ビル街の真ん中にある駐車場までサイレンを鳴らしながらパトカーと救急車が何台も集まっていた。

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文字数  1154
投稿日時 2010年06月23日 11:07
レス番号 569

三題噺6 不可思議天使ちゃん 「天使」「爆弾」「時計」

2010年06月09日 | 短編小説
「私は天使です」
突然目の前に現れた彼女は、そんな爆弾発言をした。
「嘘をつけ、羽根なんて生えてないじゃないか」
「それは、精霊のイメージと混同されてしまった結果です。本当の天使には羽根はありません」
「そうなんだ。で、その天使さまが何のご用でしょうか」と、あえて慇懃無礼な態度で返してみる。
いきなり現れて、何か変なモノを受信しているような発言をする人物を無警戒で信用できるだろうか? いくら可愛くてもそれは否だ。
「すこしドジをしてしまって、行き場所がないんです。しばらく泊めてくれませんか?」
「却下」
「おねがいじまず、だずげでくだざい」と涙の量を増やしながらお願いしてきた。まるで俺が泣かしたみたいじゃねえか。しかも、俺を指さしてひそひそと井戸端会議をしているおばちゃん連中まで居る。
はっきり言って居心地が悪い。
「あー、仕方ねえなぁ」
「ありがとうございます。なんでもお手伝いしますから」
 などと、何を勘違いしたのかそんなことをのたまいやがった。話ぐらいは聞いてやろうと思って言ったのだが勘違いしたようだ。
「いや、そういう意味じゃ…」とまで言ったところで「男に二言はないですよね?」と可愛い顔をしてえげつない追い打ちをかけてきやがった。「勘弁してくれ」と声に出そうなのをぐっと堪えた。
 仕方ないので、家事全般を押しつけることにした。メイドを雇ったと思えばいいだろう。などとタカをくくってしまったのがそもそもの間違いだった。
 洗濯をすれば、洗濯機に爆弾でも仕込んだのか洗濯物が爆発し、野菜を洗剤で洗ったあげく水で洗剤を落とさず、野菜の姿煮を作るつもりだったのかそのまま鍋に放り込む。当然、台所は泡だらけになり頭痛を覚えた。
 これから毎日こんな日が続くのかと思うと、胃まで痛くなってくる。
先に風呂から上がり、部屋に戻る。
「お風呂入るか?」と言うと、風呂とは何かと逆に質問をされたので、軽く説明する。説明が終わり、風呂に案内して部屋でまったりしていると、一糸まとわぬ姿でビショ濡れになった天使が出てきた。
「体ぐらい拭けよ、しかも服ぐらい着ろ」
「体がびしょ濡れだから、気持ち悪くて服が着られない」
思わずつっこんでしまった。バスタオルの事を説明しておらず、服も洗濯した後だった。
「着替えは?」
「持ってない」
「とりあえず、俺のシャツでも着とけ」と自分のワイシャツを彼女に手渡した。
目のやり場に困るのでトランクスも渡したが、尻にも引っかからず地面へと落ちた。
「とりあえず、今日は泊めるけど明日からは他を探してくれ」と言うと泣き出してしまった。めんどくせえ。
「わかったから、しばらく泊めてやるよ」
「ほんと? ありがとう」と満面の笑みをくれやがった。嘘泣きかよっ!

――もし、今日という日をやり直せるなら。
――もし、時計の針と一緒に時間を戻せるなら。

俺は今日という日の時計を逆に回して、一日をやり直したいと思った。




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文字数  1193文字
投稿日時 2010年06月09日 21:29
レス番号 554

三題噺5 にゃんこの恩返し 「アルバイト」「猫」「余命」

2010年06月07日 | 短編小説
スレに投下する前に文字数チェックに引っかかったので添削した。
こちらではノーカットでお届けします。
文字数 1200
レス番 550
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 気がつけば、いつも僕の後ろをついてくる一匹の野良猫が居た。
最初は気にしていなかったが、毎日つけ回してくるので次第に気にするようになった。
 その日は見かけなかったのでストーキングにも飽きたんだなと思った翌日、他の猫に襲われ傷ついてボロボロになっているソイツがいた。いつも僕の後ろをついてきてた野良猫だ。
 頼りない足取りで必死に僕の後をつけ回してくるが可哀想だとかは思わなかった。
冷たいようだが「こいつはこういう運命だったんだ」と思うことにした。
 家に帰って、店の手伝いをした。うちの店は常連さんも減ってきて、夕食時でもテーブルが空くようになった。いつ潰れてもおかしくない食堂だなと思う。
いつもの野良猫が気になって仕事中も上の空で失敗も連発してしまった。
 その翌日は更に衰弱していて、もう助からないんじゃないかと思った。
「ここでいつもみたいに無視」をすると仕事に支障が出そうな気がしたので、野良を抱きかかえ、近所の獣医の元へ駆け込んだ。
獣医の話では傷口が化膿しており、なんでもっと早く連れてこなかったのかと叱られた。なんで「いつもストーキングしてくるヤツを助けたのに僕が叱られなくちゃいけないんだ」と思うと同時に、罪悪感で胸が押し潰されそうになった。
 二、三日通院してみたが、結局は化膿した場所から体内に侵入した雑菌が暴れ回ったらしく、野良猫はそのままタンパク質の塊になった。
近所の公園に穴を掘り、手頃な医師で墓標を仕立てた。

――数日後
 猫耳を付けた可愛らしい少女にストーキングされるようになった。
短い黒髪、切れ長の瞳、痩せ形で背丈は140cmぐらい。よく見れば、凄く可愛いのだが怪しい行動を取る不思議ちゃんだった。
たとえば、俺が突然後ろを振り向いて目が合うとニコリと微笑んだり、あるときは後ろを見たとたん電柱の影に隠れたり。また、ある時は匍匐前進していたりと何がしたいのかわからなかった。
 僕は思い切って声を掛けてみることにした。
「あの、僕に何か用ですか?」
「私、あなたの役に立ちたいんです」
「へ? どこかで会いましたっけ?」と素っ頓狂な返事を返してしまった。
「私の事を助けようとしてくれました」
全く身に覚えのないことを言われて戸惑う。
「あの、誰かと勘違いしていませんか?」
「怪我をしている私を病院に連れて行ってくれましたよね? 私が猫だったときに」
……とんでもない電波を受信されておりました。確かに数日前に猫を助けた。そして、前世は猫だという。どこで調べたかは知らないが趣味が悪すぎる。お引き取り願おう。
「あなたの家って食堂ですよね?」
「はい」と答えることしか出来なかった。さすがストーカー様の情報網。……怖すぎる。
「私を働かせて下さい」
「えーと、俺の一存じゃどうも出来ないんだけど」と、さりげなく断ろうとしたが次の一言で考えることを放置した。
「いいから、私をあんたの家で働かせなさいっ! 私に恩返しさせろって言ってんの!!」な? まじめに考えるのがアホらしくなるだろ?
 彼女が働いてくれるようになって、店が繁盛するようになった。だが最初に出会ったときの小動物のような可愛さはなくなり、俺の部屋に泊まり込むことになった。
両親曰く、「私たちの部屋だと教育に悪いから」という事らしい。ちょっとは自重しろと言いたい。
……どうなるんだろう、俺のこれからの人生は。

三題噺4 愛憎劇 「ポニーテール」「球技」「ラーメンセット」

2010年06月06日 | 短編小説
 ポニーテールの日と言うのをご存じだろうか。
なんでも織姫様の髪型がポニーテールだった事から、制定されたらしい。
織姫様と言えば七夕だが、元々中国の伝統行事が奈良時代に日本に伝わったらしい。
その際に日本に元々あった棚機津女(たなばたつめ)の伝説とミックスされた日本の二次創作なのだそうだ。
―― きっと元の話はこうだ

 ある日、夏彦(彦星)はとても機織りが上手で美しい顔をした織姫に一目惚れをし、告白した。
織姫もまた、働き者の夏彦に恋をして二人は付き合いだしました。
何度も逢瀬を繰り返しているうちに、二人でラーメンセットを食べに行くほどの仲良しになっていきました。
働き者の夏彦を見て、帝である織姫の父は二人の結婚を認めました。
その頃から、夏彦と織姫は更に愛を深め働かなくなり、ニートカップルに成り下がっていました。
それを見た皇帝は激怒し、二人が会えないように大きな川の対岸に夏彦を追いやりました。
織姫は夏彦と引き離されたことに大層悲しみ、1ヶ月以上も泣き続けました。
あまりにも泣き続けるので帝は一年に一度、七月七日にのみ夏彦との逢瀬を許可しました。
 そして、待ちに待ったデートの日、夏彦は一時間も遅刻してしまいました。
腹を立てた織姫は「一年に一度の逢瀬なのに信じらんない! そもそもあんたが働かなくなったから引き離されて私が寂しい思いをしなきゃいけなくなったんじゃないっ」と理不尽なことを言うと、足下にあった丸い石を全力投球で夏彦にぶつけました。
 そこからはさあ大変。夏彦は石を投げられたことに腹を立て、その丸い石を投げ返しました。
石をぶつけられた織姫は更に怒りゲージを振り切ってしまい、また投げ返して夏彦にぶつけました。
それはもう、端から見れば砲丸でドッジボールをしているようでした。
最終的には二人とも血まみれで、致死量に近い流血をしながら一命を取り留めました。
 夏彦は遅れてきたことと、石をぶつけたことに謝罪をし、「来年も遭おう」と言いました。
しかし、織姫の方は美しい顔に石をぶつけられた事だけは許せず「来年はもっと酷いから」と言い残し、二人は別れました。
 それから、毎年流血沙汰の砲丸ドッジボールが行われるようになり、七夕に雨が降るときは二人の戦いがいつも以上にヒートアップして血の量が多いことにちなみ「流血雨」と呼ばれるようになりました。

めでたしめでた……し…? と言えるかどうかは二人次第にございます。

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文字数 993文字
投稿日時 2010年06月06日 10:54
レス番号 546

三題噺3 遺書と幽霊 「怪談」「腕時計」「ラブレター」

2010年06月03日 | 短編小説
 腕時計の時間を確かめる。
今は夜の10時。
僕らは肝試しをする為に夜の校舎に集まっていた。
 学校で肝試しをしようと皆で話し合ったのが昨日。
20年も前に自殺した女生徒が遺書を持ったまま追いかけてくるという眉唾物の怪談がこの学校にはあった。
その話を聞いて、そんな莫迦な話があるものか。と僕が反論したことで、蛙鳴蝉噪の議論百出のこの小田原評定を中断し、実際に真実を確かめてみることになった。
 夜の後者で追いかけてくる人というのは怪談にはありがちで、この高度情報化社会の中では都市伝説や面白半分に垂れ流される噂としての情報は、曖昧模糊な物が多く眉に何回も唾を付けて聞き流すのが常になっている。
 だからこの日の肝試しも、大山鳴動して鼠一匹のような展開になると思っていた。いや、ネズミ1匹でも真実は真実か。
順番は1人ずつ、この場に居るのは5人。僕は1番最後に校舎を1周することになった。
4人目が戻ってきて、僕の順番がやってきた。
しかし、4人とも何も見ていないと言うので「ああ、やっぱり幽霊なんて居ないんだ」などと思い校舎の巡回を始めることにした。
まずは1階、ここは誰も居ない。2階も誰も居なかった。
3階に到着したとき、生暖かい風と、後ろから妙な気配を感じた。
後ろを見ると、風もないのに黒い長髪をなびかせながら色白の少女が微笑んでいた。
「あの、これを……」
そう言いながら"遺書"を差し出した少女を見て、僕は背中に寒気を感じ、体中に鳥肌がたった。
あまりの恐怖に僕は逃げ出した。
気がついたら屋上に逃げていた。
こんな所に逃げたら逃げ場が無いじゃないかと自分の莫迦さ加減に、意気消沈した。
 そして少女も屋上まで追いかけてきたので、僕は逃げることを諦めた。
何故追いかけてくるのかわからない、怖いけど聞くことにした。
「君は、なぜ僕を追いかけてくるんだい?」
もじもじしながら少女は答えた。
「あの、この手紙をある人に渡して欲しくて」
手紙?遺書じゃないの?
彼女は屋上から飛び降りたはず、ならば遺書じゃなきゃ何なのか?
 彼女の話はこうだ。
ユウ君に渡す為に書いた手紙をどうやって渡すかヒロ君に相談した。そしたら、ヒロ君は俺が渡すと言って手紙をひったくった。それを心の準備が出来てない彼女が取り戻そうと揉み合いになって気がついたら彼女は屋上から転落していたとのことだ。
そして、校舎で人を見つけると手紙を渡して欲しいとお願いする為に出没するようになったと。
まったく人騒がせな話だ。
僕が手紙を受け取る事にした。
受取人の名前を見て驚いたのは、僕の父の名前が書いてあったからだ。
その日、今度は僕の話を作り話だと笑い飛ばされて終わったのだった。
家に帰り父に手紙を渡すと、暫く黙って読んでいた。なんでこの手紙を? と父は驚いていたが、僕は図書室で見つけたと嘘をついてごまかした。
後で話を聞くと、父の好きだった娘が、父に当てたラブレターだと言っていた。
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1,192文字、スペース込みで1,200文字。
やっと規格内に収まった作品。
怪談話と言えば、定番のお話になってしまいました。
ここでは、自分の発想力の貧困さに絶望した!
そして無駄に難しい四字熟語や、ことわざを盛り込んでしまう中二病発症。
途中で先が読めてしまうほどの文章力の低さが露呈しました。
書いている途中で、自分でも先が読めてしまいそうだなーと。
あとは、ライトノベル風味のつもりが会話のやりとりが殆ど無く、描写が多くなっています。

投稿日時 2010年06月03日 17:16
レス番号 538

三題噺2 TelTel 「ランチ」「中学校」「携帯電話」

2010年06月03日 | 短編小説
 ここは、ある都会の中学校。
 僕は悠斗、ここの生徒だ。
 今ここには、ある生き物が居る。
 生き物と言うより、女の子という方が正しいだろう。
 で、この女の子の名前は照子(てるこ)。
 変な名前だとか言わないで欲しい、ボクが名付けたのだ。
 何で僕が名付けるハメになったのかというと、少々長くなる。

 あれは、昨日のことだった。
 いつも通りにかかってきて、それを取ろうとした時に僕は信号を見落としてしまい、運悪く車にはねられた。
 気がついたら頭を柔らかい枕の上にして眠っていて、目を開けたらメイド服姿の美少女が居た。
「おはようございます。ご主人様」
「えっと、君はー……。どこのどちらさん?」
「あなたの所有物です、名前はまだありません」
 長い黒髪と、薄っぺたい胸……、もといスリムな体と白磁のような白い肌、漆黒の瞳をしたメイドさん? を見て尋ねることにした。
「僕の所有物とはどういう事なのかな?」
少々引きつりながら質問すると彼女はこう答えた。
「私はあなたの所有している携帯電話です」
なんと表現すればいいのだろう、突然突飛なことをのたまいやがる少女に鳩が豆鉄砲を食って、なおかつバケツで水を掛けられたような顔をしてしまった。
『言葉にできない』とは、こういう時に使うんだろうなと思った。
「は? 携帯電話? バカにしてるの?」
「バカになどしておりません、私はただ事実を述べたまでです。悠斗様は先ほど車に撥ねられそうになったので私が…」
「ちょっと待て、撥ねられた気がするんだが」
気になったので尋ねることにした。確かに僕ははねられたはずなのだ。
「それは、私が悠斗様を助けたいと願ったら何故か人間のような体になっていたのです。なぜかはわかりませんが」
おーけー、意味はわからないが無理矢理にでも納得しよう。こっちの頭がパンクしそうだ。
「で、人間の姿になった瞬間に僕を助けたってわけでいいのか?」
「ええ、そうです」
「じゃ、なんで俺を助けた後も実体化したままなんだ? 普通なら助けて、はい終わりだろ?」
「はい、それは私が悠斗様のお世話をもっとしたいと思ったからです」
なるほど、まったくわからん。
「なんで僕の世話なんてしたいと思ったんだい?」
「ぴぴぴっぴぴぴっ、悠斗様お電話です。悠斗様お電話です」
突然電話が鳴った(でいいのか?)みたいだけど、どうすれば良いんだろう。
「私のここを押して下さい」
そう言いながら彼女”左の乳首”を指さした。
「マジか」
「マジです、あ、悠斗様がもたもたしていらっしゃるので、切れてしまいました」
「相手は誰だかわかるの?」
「ヒロトさまのようです」
なるほど、確かにこいつは”俺の携帯電話”らしい。
 電話に出てれば良かったなと、名残惜しさを隠した。
 でも、名前が無ければ呼びづらいな。「携帯電話さん」などと人に話しかける光景を想像すると滑稽だった。
なので、「照子」と名前を付けてあげると、それはもう心底嬉しそうな顔でお礼を言ってくれた。
 ふと時計を見ると、夜の8時をまわっていたので料理を作ろうとキッチンに向かう。
「私が準備しますので、ゆっくりくつろいでいて下さい」
そう言われたので、リビングで待機することにした。
……キッチンから削岩機やチェーンソー、重機など音が聞こえたが気にしないことにした。
 待つこと50分。
 そして出された料理は、……カオスだった。もう何も聞かないでくれ。
 それを無理して胃に流し込んで、こう言った。
「ありがとう、おいしかったよ」と、涙を飲んでお世辞を言った。
「そう言えば悠斗様、学校でのランチはどうされていますか?」
「ああ、それは普通に弁当を購買で……」
そこまで言うと、照子は次の台詞をかぶせてきた。
「それでは、明日の朝と昼の弁当(ランチ)は私が作りますね」
俺は心で涙を流しながら懇願した。
「明日から料理は作らないで下さい」

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投稿した後に、文字数が大幅にオーバーしていました。
1547文字、スペースを含めると1568文字。
ということで、スレの趣旨から外れた黒歴史となります。(ぉ
しかも、時間が足らず30分で書き上げました。
だって、思い立ったのがいつも出勤する時間の25分前だったんですもの。
この日は結局、いつもより5分遅れのぎりぎりで出社しました。
駄目だね、言い訳ばっかりで。
というわけで、中盤以降は結構メチャクチャになっていると思います。
盛り込みたい内容が盛り込めず、ここでも自分の実力不足を実感。

投稿日時 2010年05月28日 12:34
レス番号 526

三題噺1 「ユメノアト」  題「夢」「7」「サーカス」

2010年06月03日 | 短編小説
光。
希望。
未来像。
将来の夢。
ゆめがある。
輝く舞台の光。
観客たちの声援。
僕が求めている物。
僕は手に入れたい物。
人々から注目されたい。
そのために頑張っていた。
舞台の中央で視線を集めて。
会場一杯に響き渡るの声援と。
スポットライトを一身に浴びて。
そんな夢を今まで追いかけてきた。
その夢を今は叶えることに成功した。
その事に喜んでいた時に事件にあった。
プロになってから七回目の公演のときに。
僕はおおきな失敗をしてしまったのだった。
空中ブランコの演技中手を滑らせてしまった。
頭の中に今まで見た物がフラッシュバックした。
僕の意識は、激しい痛みとともに闇の中に落ちた。
次に目が覚めたときに僕は病院のベッドの上だった。
トイレに行きたくとも、足が思うように動かなかった。
医者の話だと、もう二度とアシは動かないと言っていた。
脊髄を思い切り損傷し、半身麻痺になってしまったらしい。
何を言われたのかがわからず、一瞬理解に苦しんでしまった。
そして、わかりたくない事がわかってしまい、凄く悲しかった。
そして絶望した。どうあがいても、ボクが大好きだったあの場所。
観客の視線と声援を集めるサーカスの舞台に、二度と立てない事が。


以上、495文字。
レス番517
2010年05月27日 09:43、コミュ投下。

いきなりで、自分に足かせを付けすぎてしまった作品。
大物のあの人の真似をして、このような文章になっています。
真似と言っても、某作品のように炎上するような真似ではなく、形式ですね。
n行=n文字+。 
その方は、1行ごとの文字が1文字ずつ減っていく形式の小説も書いておられました。
誰とは言わない、その作者が好きならば知っているはず。きっと。
限られた文字数の中でこれを書いていて、表現していくことの難しさに改めて気付きました。

心機一転

2010年06月03日 | 日記
 某SNS大手の某コミュニティで、三題噺というのをやっていました。
三題噺とは、落語などで客から3つお題を貰い、そのお題を即興で作ったお話に盛り込み、そのうち1つのお題を落ちに使うという物です。
 これは、文学少女と死にたがりの道化(ピエロ)で主人公が天野遠子からお題を貰い、主人公が400~1,200文字程度の作文(おやつ)を遠子に献上するというのに準えてやっています。

そして、私が書いたものだけをココにも掲載しようというわけ。
食事が終わったらアップします。