ある朝スウプは】
2004
高橋泉
2004PFFグランプリの本作。
そして海外の映画祭でも数々の賞を獲得。
自主制作だけあって、何を描きたいかだけ、ホントにそれだけを描いたソリッドな映画でした。
もの凄く好き嫌いがはっきり分かれそうですね。
ちなみに、私はダメ。
物語としては「凄いな」と思うし、監督にもゴリゴリに才能を感じます。でも、これを好んで観ません。
PFFは、新しい才能を発掘するのが目的であって、売れる作品を発掘するのとは趣旨が違うので、PFFでグランプリを獲った作品に対して観客としての意見を言うのは筋違いなんでしょうね。すみません。
こういうプロットに対してどうストーリーを付けてくるか、が映画を観る者としてとても楽しみな部分なのです。
やっぱり、映画は観てある種の驚きと、楽しみが無ければな、と思うのです。個人的に、です。
あまりにも突っ走り過ぎて閉じてしまったものは受け手をくたくたにしてしまう。「ジョン・レノンのアルバムは好きだけどオノ・ヨーコ名義のアルバムはサスガにキツイな」という感じと似ています。
それでも良いものはいくつかあります。それらはやはり名作と呼ばれていて、そこまでドップリ漬かっていないユーザーにも届きます。「分からなくても良い」というのは逃げでしかない。
本作は逃げてはいない。
馴れ合いでなんとなくつきあって暮らしている(と見られる)男女。男が宗教にハマルのを救おうとする女。崩壊。
このモチーフに対する本作の描き方をして純愛とは思えません。この男女がをつなぎ止めている「何か」が分からない。解き明かされもしない。何故離れられないのかが分からない。ブサイクだし、キャラ付ける前に壊れてるし、部屋も汚いし。最後まで二十代中盤独特の弱すぎる二人の馴れ合いにしか見えない。これをリアルな日常だとするのであればつまらない世の中です。日常はもっと楽しい。「楽しい」をそぎ落とすとこういう事なのかもしれない。
閉ざされた世界を純愛というのであれば、なんと不潔なものか。
正直、ここまで素直に感想が出てくる映画は珍しいです。やっぱり凄いな。
劇場公開を念頭に置いた高橋監督の作品を見てみたいです。
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