さよなら、クロ
2003
松岡錠司
大好物の犬映画です。
序盤、やたらと台詞回しが鬱陶しく、芝居もイマイチ。カットもぬるい。時代考証も押しつけがましい。
どうしてそういうシーンなのかの伏線も無く、しかもそれが狙っている効果を箇条書きで説明しているような展開。
暴力的に「イイ話」を見せられている気分に。
クロも多分良くできた撮影犬(そう言う言い方があるのか知りませんけど)。そこに犬がいても「犬がいる」というシズルがそこに無い。
先日観たいぬのえいがの「ねぇ、マリモ」は、殆ど犬が出てこないにもかかわらず、犬飼の心情がもの凄く丁寧に描かれていました。
そのシーンにいないものを演者さんがどれだけ機微で表現できるか、にその作品の深みが因ってくるのかもしれません。
本作は実話を元にしたお話で、決して嫌いではない話なんですけど、もう少し上手くできたんはずです。
多分、制作サイドの想いが先行してしまって「いい話ありき」になってしまったんでしょうね。もったいない。
ハブとして居続けるクロ(犬)と接することで、取り巻く人間の成長を描いていく物語ですが、その割に最後が恋愛映画にオチるのには驚愕しました。そこかよ!
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