函館 不思議街路

函館の街、元町界隈は不思議な雰囲気を隠した街です。その街から生まれた作品、写真エッセイ、歌謡詞、猫グッズを発信。

なかなか進まない準備状況です。

2010年09月15日 | 日記
とても大きな抱負で登録・開設したブログですが、なかなか準備が進みません。
使用写真・文章などのストックの制作は進んでいるのですが、アップするに至りません。いま暫くお待ちください。
で、今回は函館の魅力について、少し書こうかなとおもいます。
僕が函館に移住したのが、30年も前です。まだ函館の観光状況も本格化しておらず、今日知られる観光スポットも、グルメスポットもありませんでした。
「赤煉瓦倉庫群」も本当に現役の倉庫で、元町も湾岸も全体に灰色にくすんだ色彩でした。
ただ、その分、戦前・戦後の街区はすべて残り、民家もタイムスリップして昭和初期とかに迷い込んだかと思えるほど見事に残っていました。
本州では見かけない家屋デザインの長屋が多かったのです。
木造の擬洋風の民家の群れの間には路地・小路が、細い生活のための階段がたくさん存在しました。
文字通り、夢幻の街路を歩くような気分で連日この不思議な雰囲気に満ちた場所を散策しました。
長屋の入り口はいましも陰鬱な表情の若き啄木が、歩き出して来そうでした。
坂道も道路の舗装されていない所が多く、移住者である僕には、街路のすべてが
不思議探訪の対象でした。
初めての街なのに、なぜか郷愁を抱かせる雰囲気もありました。
また同様に、初めてなのに、なぜか昔語りに聞いたような、子供向けの絵本や書物で読んだ物語りの街が出現したような、そんな気分にもなりました。
当時の広告など描かれていない路面電車も、さほど丁寧な修理もされていない石畳も、古錆びたままの家々も、なにもかもが現実でありながら、夢幻のたまもののようでもありました。
倉庫の想い鉄扉や、その金具、洋風民家の窓と、ある時代でないとなかった外の景色が歪んで見える安く薄い硝子、古い煉瓦塀の中に独立して寄り集まった家々などは、上海や大連の街角かとも思えた様相でした。
さて、今日、すべては明るく、華やかな観光開発の産物になってしまいました。
僕が目撃した、あの物語りの書物のような街区と家並の大半は消失したと言っても過言ではありません。
それでも、なお、函館の街路の片隅、煉瓦の建物の陰、路地の片隅に、この街の不思議を伝える妖精たちが、ひっそりと息づいています。
そっと歩き、寄り添うような視線で見つめれば、その街の物語を伝える妖精のつぶやきを聞けるかも知れません。
僕の「函館・不思議街路」はそんな想いで始めようと思ったものです。
 なるべく早く、写真と文章、そして、この街だから生み出せた作品などもご覧頂きたいと思っています。
いま暫く、お待ち下さいね。