エンディア・ダヴェンポートが復帰して、久々のオリジナル・メンバーでのツアー〈LOOP 11th Anniversary Presents“The Brand New Heavies Japan Tour '06”@LAFORET MUSEUM ROPPONGI〉へ参戦。会場はラフォーレ・ミュージアム六本木。ハイソでセレブな街中に佇んでいるオサレなイヴェント・スペースだ。地下鉄南北線の六本木一丁目から徒歩3分くらい。
仕事を片付け、19時過ぎに到着。ごった返すロビー。自分と同世代近辺の男性多し。その男性がちょっと若いレディを連れてくる図式多し。また、外国人も。オープニングアクトはDJ MOCHIZUKIのプレイだったようだが、クロークに上着を預けるのに長蛇の列で、かなり時間がかかった(しかもクローク預けるのに500円とられるっていう…( ゜Д゜)ナンダト!!)せいでライヴ・フロアを眺めていると、ライヴ後に青山LOOPでアンドリューらがDJプレイするっていうポスターを発見。明日が休みだったらオールで参戦するんだけどなぁと思いながら、今度はドリンクの長蛇の列にいると、急にロビーにいた人たちがライヴスペースへ。その時はライヴスペース入り口のドアは開け放してあって、ステージが見えたのだが、タンバリンを鳴らしながら早速小躍りしている黒人女性が……って、エンディアじゃないですか。って感じで、ドリンク待ちしながらスタートを迎えてしまった(苦笑)。
前回観に行った時は、2003年のLIQUIDROOM(新宿)かCLUB QUATTROかどっちかだったんだけど、cのリリース後で(結局このアルバムは日本盤のみになってしまった)、ツアー・ヴォーカリストとして美人白人ヴォーカリスト、ニコール・ルッソが務めた時だった。それ以来のBNHとなる。
今回は、エンディア・ダヴェンポートが復帰してのアルバム『Get Used To It』を引っ提げてのツアーで、旧来のファンは以前のヒット・ナンバーを求めるんだろうなぁと思いながらいたのだが、その予想が案の定的中。『Brother Sister』を中心としたセット・リストとなった。もちろん、それはそれで大歓迎なのだが、個人的には新作『Get Used To It』のナンバーをもう少々やって欲しかった気がする。このユニットの方向性を再確認するためにも。
というのも、このユニットはサイモン・バーソロミュー、アンドリュー・レヴィ、ヤン・キンケイドという3人に女性ヴォーカリストを加えた4人編成というスタイルを貫いてきているが、その女性ヴォーカリストがコロコロと代わるので、多分に不安定な要素を持っているからだ。もちろん、その要素以上に確立されたファンク・サウンド、そして刺激があることは言うまでもないのだが(同じアシッド・ジャズでは、インコグニートもそう)。
このユニットの女性ヴォーカリストの変遷を軽くおさらいしてみると、1stメジャー・アルバム『The Brand New Heavies』ではリンダ・ミュリエルがヴォーカルだったが、US盤(米西海岸のインディ・レーベル“デリシャス・ヴァイナル”から)のリリースに際して、アトランタ出身のエンディア・ダヴェンポートにヴォーカルが差し替えられた。UKユニットのUS進出成功の例としては、“グラウンド・ビート”ブームを創出したSOUL II SOUL以来だったと思われるが、このUS盤から多くのヒット曲が生まれたことによって、ブランニューヘヴィーズのオリジナル・ヴォーカリスト=エンディアの図式が出来たといえる。インコグニートのオリジナル・ヴォーカリスト=メイサ・リークというのと同じように(そういえば、メイサも確かアトランタ出身)。当時は、ファンク、グルーヴ・ミュージックにおけるUKバンドのサウンドは、USに劣っているものではなかったが、ヴォーカリストの迫力や醸し出すオーラのようなものは、どうしてもアメリカの黒人ヴォーカリストに頼らざるを得ないという実状があったのかもしれない。
エンディアのソロ・ワークへの移行で、『SHELTER』(1997)では、サイーダ・ギャレットを起用。マイケル・ジャクソンと「I Just Can't Stop Loving You」でデュエットしたクインシー・ジョーンズの秘蔵っ子だ。その後、『Trunk Funk Best Of TBNH』(1999)で、元ヤング・ディサイプルズのカーリーン・アンダーソンが参加し、今後は彼女でいくのかと思われたが、これも新曲3曲を収録したのみで終わってしまった。
そして、サイ・スミスを中心に、ジーナ・ロリングを起用した『We Won’t Stop』をリリースするのだが、ここでエンディアが1曲参加しているので、復帰か?という予兆はなくはなかった。このアルバム・ツアーで、ニコール・ルッソがヴォーカリストとして帯同し、そのまま彼女をヴォーカリストとして『All About The Funk』をリリース。白人らしからぬタイトでハスキーなヴォイスに美貌という刺激的な要素を多く持ったヴォーカリストを得たのだが、モデルもこなす彼女とメンバーの蜜月はそれほど長くなかったようだ。そして、エンディアが『Brother Sister』以来の復帰となるのである。
これらのことからも、オリジナル・ヴォーカリストで今後も続くのだろうか、という不安要素を払拭するためにも、新作からの曲がどうフィットしているのかを、多くの時間体感したかったのだ。とはいえ、ヒット曲を連ねたライヴに結局は満足してしまう……というのが、ファン心理であり、自分もそのうちの一人に違いなかったのだが。
それはさておき、ライヴである。
以前よりは、ちょっと体格がよくなったかな(笑)という、エンディアのパフォーマンスはやはり圧巻。小柄な身体ながら、全身で漲るグルーヴを放出する、パワフルなアクトで魅了する。アンドリュー、サイモンもやはりエンディアというヴォーカリストに全幅の信頼を置いているのか、自らが楽しむという姿勢が随所に見てとれた。アンドリューがサイモンに駆け寄って寄り添い、ベースとギターでセッションをみせれば、サイモンはオーディエンスをコールで煽る。それらの舵取りを上段からヤンが見守るというスタイルは、まさに長年築き上げてきた信頼感に満たされたステージであったといえる。
さらに、ホーン・セクションとバック・ヴォーカル、ハニー・ラロシェル。このハニーがなかなか優れたヴォーカルを披露してくれていた。そして、ホーン・セクション。これらがあるのとないのとでは、やはりサウンドの厚みというか奥行きが違う。マシュー・スティールのキーボード・プレイも的確。大地にしっかり根付いている……そういう表現がピッタリの安定感。それでいながら自由自在に“ファンク”を操るグルーヴ感。オリジナル・ヴォーカリストを得て、水を得た魚のように心地よくグルーヴする彼らは、過去のバンドではなく、今が旬のバンドといっても過言ではない若々しさと先取の精神が感じられた。
どの楽曲でもグルーヴィな世界へかっ飛ばしてくれたのだが、終盤の「Let's Do It Again」から「Spend Some Time」「Stay This Way」へと流れるくだりは、活き活きとしたダンサブルなグルーヴ・ミュージックの魅力を存分に体感させ、彼らの真骨頂が具現した瞬間であり、たまらないものとなった(シャウト&グルーヴさせていただきました)。
今後は、この1作ではなく、このスタンスで維持していけるかが課題だが、今夜のステージを見る限り心配はないだろう。
アンコールを終え、ステージ・アウトする際、エンディアが「Come Back to TOKYO 2007!」と発言。リップ・サーヴィスではなく、必ず実現して、また練りこまれたファンクネスを披露して欲しいものだ。
「Funky Tokyo!」というエンディアのコールがまだ頭に残る師走のひと時であった。
◇◇◇
終演後、ロビーでクロークに預けた衣服やバッグを取るのに、またまた長蛇の列。20時ちょい前にスタートし、21時くらいに終わったライヴだったが、長蛇の列がなくなるまで、ロビーでまったり待つことに。結局22時前になってやっと受け取ることが出来た。この会場は、交通の便も悪くないしオサレだと思うけど、もうちょっとスタッフ人員を増やして、クローク受付箇所を増やすとかすればいいのにと思った。
それと、非常に魅力的なTシャツがあったのだが、Mサイズは既に完売。Sはちょい小さいし、Lはでかかった。Sは入らなくもなさそうだったんだけど、4500円だったので、泣く泣く見送り。なんてこともあったけど、ロビーでのDJがなかなかいい曲を流していたので、よしとするか。
終演後、クローク待ちの時、「You Are The Universe」が流れた時にはロビー内に「オオ!」って声があがってたなぁ。マイケル・ジャクソンやD-Influence、SOUL II SOULなども流れて、ヘヴィーズ周辺好きの自分らにピンポイントなセレクトだったし。
あー、LOOP行きたかったな。というか、明日休みをとって、名古屋に参戦したかった。ま、それはエンディアの言葉を信じて、来年のお楽しみってことで。
以下、セットリストなどなど。
◇◇◇
<SET LIST>
01 Intro
02 Right On
03 Dream On Dreamer
04 Day Break
05 Fake
06 7 Nation Army
07 Brother Sister
08 Gimme One Of Those
09 I Don't Know Why(I Love You)
10 Back To Love
11 Sex God
12 Let's Do It Again
13 Spend Some Time
14 Stay This Way
15 Never Stop
≪ENCORE≫
16 Forever
17 Dream Come True
<MEMBER>
Simon Bartholomew James(G)
Andrew Love Levy(B)
Jan Kincaid(D,Vo)
N'dea Davenport(Vo)
Honey Larochelle(Back Vo)
Matthew Steele(Key)
Will Miller(Trumpet)
Gilad Ronen(Tenor Sax)
<OTHERS>
DJ MOCHIZUKI (in the mix / MOL)
VJ MASA
Lounge Live:Miso Soup
Lounge DJ:KAY SUZUKI, TAKERU OTOGURO
HIPHOPBAKA, KEY-M, AROOP ROY
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