*** june typhoon tokyo ***

Especia@前橋DYVER

 ファイナルへ向け、さらに気力という“ギア”を上げたステージ。

 先週の熊谷・HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1での埼玉公演に引き続き、大阪・堀江系ガールズ・グループ、Especiaの全国ツアー〈“Estrella”Tour 2015 〉の群馬公演へ。会場の前橋DYVERはHEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1よりもこじんまりとしていて、キャパシティは入っても200名くらいか。7、80名ほどの集客だったと思うが、それほど広くない空間のために密度は高かった。

 この日の注目点は何といっても新曲「interstellar」を披露したこと。MCでは「BPM 180の疾走感たっぷりの宇宙な曲」との説明があったが、サウンドとしてはドラムンベースとスカ調のホーンが絡み合ったこれまでのEspeciaにはない斬新な高速トラックという印象を多くが持ったのではないだろうか。ただ、ステージでの小刻みにステップを刻むダンスなどから見ても、単にドラムンベースというよりはもう一つ踏み込んだ、近年再注目されている“ジューク/フットワーク”の要素を意図的に組み込んだものではないかと感じた。さらには、たとえば、サーラー・クリエイティブ・パートナーズ周辺のスペイシーなフューチャリスティック・ヒップホップ・ソウル、コズミック・ファンクといったあたりまでも包含した、“楽曲派”でもほとんど手をつけていないサウンドといえそうだ。
 「interstellar」は“星と星の間、惑星間”という意味だが、仮にこのツアーに“未知なる宇宙を旅するEspeciaが星たちを巡る航海中に新たな発見に出会う”というテーマが隠されていたとしたら、ツアー終盤にこの新たなサウンドを披露したというのも、なかなかストーリー性があっていい。

 ちなみに、この日ファンクラブ会員に配布された特典の缶バッジは“シリウス”。冬の大三角形、冬のダイヤモンドを形成する、太陽以外で地球上から見える最も明るい1等星だ。ギリシア語で“光り輝くもの”を意味するシリウスのように、ツアーファイナルやニュー・アルバム・リリースへ向けて新たな“輝き”をツアー終盤で冬の季節の群馬公演に投下してきたとしたら、ロマンティックな計らいではないか、と考えるのはやや妄想過ぎるか。
 初めて披露したこととBPM 180という高速ビートゆえ、パフォーマンスとしての完成度はまだ高くなかったが、今後のEspeciaの“起爆剤”になりそうな資質を持った楽曲であることは間違いなさそうだ。

 もう一つの注目点は本編終盤の曲構成。フロアの熱気を一気に高めるキラー・チューン「No1 Sweeper(nueva cocina)」が霞むほどといったら語弊があるかもしれないが、「Boogie Aroma」と「ミッドナイトConfusion」のオリジナルとリミックスとを連発した爆発力の高いものに。アフタービートのダンスを得意とする三ノ宮ちかならではのグルーヴ密度の濃いセット・リストで、ステージ天井から水が滴ってくるほどのヒートアップをフロアに充溢させていた。

 その充溢という意味では、彼女ら自身も同様。歌い踊る表情にもはっきりと表われていて、まずは四の五の言わずにステージを楽しむことを実践していた。自分たちが楽しめないものをファンが楽しめる訳がない……言葉にはしなかったが、パフォーマンスやダンスのなかにも“楽しんで楽しませたい”という気概が伝わってきた。ピッチをはじめとするヴォーカルワークはもちろん、ダンスのシンクロ性やそれぞれの精度など発展途上なところは承知している。ただ、そのなかにも目配せや目線などで表情を彩ったり、メンバーとのアイコンタクトでのアドリブを採り入れるなど、楽曲を、パフォーマンスを向上させようという気持ちに満ちていた。

 12月28日には〈Hotel Estrella〉なるバンドを引き連れてのツアーファイナルプレイヴェントの発表もあった。全国各地を巡るなかでのさまざまな試行錯誤が一回りも二回りも成長する糧になる。そんな宇宙航行〈“Estrella”Tour 2015 〉もあと僅か。どうやら“帰還”となるファイナルへのエネルギーは満タンのようだ。だが、順風満帆なようでも宇宙では少しの油断が命取りになるように、地道な鍛錬を怠ればクオリティもファンの熱意もあっという間に失ってしまう。地球“帰還”となるファイナルまであと1ヵ月。クオリティを高めることといかに認知されるかという課題を胸にまい進するのみだ。特効薬はない。だが、ひたむきにステージで歌い舞った経験は何物にも代えがたい意志の強さをもたらしてくれるに違いない。

 次に彼女らを観るのはおそらくファイナル。その成長と充実の集大成のステージを期待して待ちたい。

◇◇◇
 
<SET LIST>
00 INTRODUCTION(SE:Theme of Star Blazers/INTRO from“GUSTO”)
01 We are Especia~泣きながらダンシング~(First half)
02 interstellar(New Song)
03 Aviator
04 YA・ME・TE!(sax ver.2)
05 オレンジ・ファストレーン
06 アビス
07 サタデーナイト
08 ステレオ・ハイウェイ
09 X・O
10 Bay Blues
11 Sweet Tactics
12 West Philly
13 Security Lucy(Insecure Booty Mix)
14 パーラメント(Vinyl Extended)
15 No1 Sweeper(nueva cocina)
16 Boogie Aroma
17 Boogie Aroma(PellyColo Remix(仮))
18 ミッドナイトConfusion
19 ミッドナイトConfusion(Pureness Waterman Edit)
≪ENCORE≫
20 不機嫌ランデブー(PellyColo Remix)
21 アバンチュールは銀色に
22 We are Especia~泣きながらダンシング~(Second half)

<MEMBER>
Especia are:
冨永悠香/Haruka Tominaga
三ノ宮ちか/Chika Sannomiya
三瀬ちひろ/Chihiro Mise
脇田もなり/Monari Wakita
森絵莉加/Erika Mori

◇◇◇




















◇◇◇

相変わらずカメラワークが最悪ですが(ピント合ってないし)、雰囲気だけでも。




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