*** june typhoon tokyo ***

BONNIE PINK@Zepp DiverCity Tokyo




 BONNIE PINK流の大人への旅立ち。
 
 11月の間の東京、大阪、札幌、福岡、広島、金沢、名古屋、仙台までの9公演と12月の東京でのオールスタンディングによるスペシャルライヴ1公演を合わせたBONNIE PINKのツアー〈TOUR 2014“Almost 20”& FINAL“Still 19”〉がスタート。その初日となる東京・Zepp DiverCity Tokyo公演を観賞してきた。

 来年でデビュー20周年を迎えるということで、これまでライヴで演奏してこなかった楽曲やそれほど披露してこなかった楽曲などを中心に楽曲を構成。特に、1995年9月リリースのデビュー・アルバム『Blue Jam』(クレジットはまだ本名の浅田香織名義だった)の収録曲をファンにその場でルーレットで選んでもらって披露するという企画を設けているように、彼女いわく“若気の至り”だった当時の自分の楽曲と向き合ってから20周年を迎えようという成人への決意が窺えるツアーになる。

 そのツアーの初日となる東京公演1日目。彼女は自身でも「最後の頃になるとようやく調子が良くなり、これからって時にツアーが終わってしまう」と話してきたとおり、ツアー初日の出来にも関心があったが、アルバムも2012年7月の『Chasing Hope』以来リリースがないなかで、どのような選曲や構成をしてくるのかにも興味があった。

 ちなみに、これまでのBONNIE PINK公演記録は次のとおり。

2005/10/24 BONNIE PINK@東京厚生年金会館
2006/09/28 BONNIE PINK@東京厚生年金会館
2006/10/05 BONNIE PINK@渋谷公会堂
2007/10/26 BONNIE PINK@日本武道館
2008/09/26 BONNIE PINK@NHKホール
2009/07/31 BONNIE PINK@赤坂BLITZ
2011/11/27 BONNIE PINK@日本橋三井ホール
2012/10/08 BONNIE PINK@日本橋三井ホール
※(昨年の“BONNIE PINK Coin Toss Tour”「HEADS」&「TAILS」は不参加)


 暗転直後、「Is This Love?」のフレーズがBGMとして流れるとともに色鮮やかなスポットライトが彩りを替えながらステージを照らすと、しばらくしてメンバーが登場。その後、BONNIE PINKがステージ中央へ歩を進めると明転、イントロダクションの流れのまま「Is This Love?」からツアーが幕を開けた。

 メンバーは近年お馴染みの盟友たちが中心となって支える。BONNIE PINKの向かって右にバンマスでベースの鈴木正人、左にギターの八橋義幸を従え、左奥にはキーボードの奥野真哉。メンバーのうち今回初参加となる伊藤大地(SAKEROCK)を右奥に据えた布陣だ。

 活動20年という“成人”を目の前にし、これまでの自身の楽曲群ともう一度向かい合おうと決意した彼女。若さのまま突っ走ってしまったようなヒリヒリした感情や生みの苦しみを伴ったものなど、さまざまな想いが楽曲それぞれにあるだろうが、良くも悪くも私の分身たち。その清濁を全て飲み込んで、楽しくパフォーマンスしようという気概が、彼女の表情からも存分に窺えた。

 序盤から“楽しい”を連発するほど弾けていたボニー。MCでも彼女の素の言葉がポンポン飛び出し、実に自然体な姿が見て取れた。“女の子はゆらめく生き物、好き、嫌い、好き、嫌い、嫌い、スキKILLER”のフレーズが楽しい「スキKILLER」では、鈴木と八橋とともに3人でサイドにステップを踏みながら演奏したり、デビュー・アルバム『Blue Jam』の楽曲を観客にルーレットで選んでもらうコーナーでは、ルーレット登場時に『ドラえもん』の“ひみつ道具”を出す時のBGMが流れるなかでドラえもん(初代)のモノマネをしたり。さらには、MCで「アルバムも作ってるので待っていてください」の言葉に観客が「いつ出る?」の問いかけをしたところ、「生きてる?」と聞き間違えて「生きてる? 生きてるかー?」と観客にレスポンスを求めてしまったりという天然っぷりも。そんな、観客とともに“ハタチ前の最後のお祝いをしよう”という和やかで愉快な雰囲気がフロアに充満していた。

 とはいえ、演奏にもその和やかさがそのまま乗り移ったかというと、そこは異なる。そこは信頼を寄せているバックを従えていることもあって、ひとたび音が鳴らされるとその楽曲が包含する感情が自身の演奏に、声に表われてくる。初参加の伊藤大地と馴染みのバンド・メンバーたちとの相性もなかなか良い感じで、演奏も高いレヴェルで安定。今後ツアーを回るなかでさらに熟していくような気がした。
 それにしても、彼女の歌唱は年々“程よい艶と少女性”を増していると実感。いつぞやの記事でも書いたとは思うが、ロックにそれほど強い思い入れがない自分にとって、出自がロックと思われる彼女の楽曲やライヴをこれまで長く聴いているのは、ひとえに彼女のヴォーカルに尽きる。使っていくうちに何とも言えないツヤが出るようなヴィンテージ感覚といつまでも消えずに時折覗かせてくるピュアな少女性が、いっそう溶け合ってきているようだ。

 来年の20周年はいやが上にもアニヴァーサリーなムードで包まれること必至だろう。その前に気の置けない人たち(=ファン)とリラックスして前祝いという主旨も彼女らしい。ツアーをこなして成熟度を上げ、ラストで迎えるスペシャルライヴではオールスタンディングらしい、また違った形でのステージを披露して、ハタチという“大人”への階段を上ってもらいたい。






◇◇◇

<SET LIST>
00 INTRODUCTION(Phrase of“Is This Love”)
01 Is This Love?
02 再生
03 Busy-Busy-Bee
04 Rise and Shine
05 スキKILLER
06 Evil and Flowers
07 Building A Castle
08 Only For Him
09 Curious Baby(Selection of song from album『Blue Jam』)
10 オレンジ(Selection of song from album『Blue Jam』)
11 Grow
12 Home Sweet Home
13 Fish
14 Call My Name
15 Heaven's Kitchen
16 Private Laughter
≪ENCORE≫
17 Tonight, the Night
18 Last Kiss

<MEMBER>
BONNIE PINK(vo,g)

鈴木正人(b)(ex. LITTLE CREATURES)
奥野真哉(key)(ex. SOUL FLOWER UNION)
八橋義幸(g)(ex. The Uranus)
伊藤大地(ds)(ex. SAKEROCK)


◇◇◇




BONNIE PINK - Tonight, the Night


BONNIE PINK - Last Kiss








にほんブログ村 音楽ブログ ライブ・コンサートへ

ランキングに参加中。クリックして応援お願いします!

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「ライヴ」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事