*** june typhoon tokyo ***

久保田利伸@NHKホール(1)

■ 久保田利伸@NHKホール

Kubotatoshinobu_goldskool

 25年の積み重ね。圧巻のファンキー・グルーヴ。

 久保田利伸の25周年記念となるツアー<25th Anniversary TOSHINOBU KUBOTA CONCERT TOUR”Gold Skool”>のNHKホール公演を観賞。その一日目。
 ツアーは昨年の“Timeless Fly”ツアー(その時の記事はこちら)以来となるから、久保田にしては珍しく(?)連続してのツアーとなった。もちろん25周年をいう節目もあるが、それだけ制作意欲や活動に充実している証拠でもあるのだろう。

 アルバム『Gold Skool』も好調(オリコンチャート月間アルバムでトップ10以内にランクイン)のさなかでの全国ツアーも終盤に入った。NHKホールの天井にはミラーボールが輝き、開演時間からDJ MASSによるDJが始まる。DJ MASSが出てくる前からも会場にBGMが流れていたが、DJ MASSがコスる音も同様にダンスクラシックス。ザップ&ロジャー「ダンスフロア」(Zapp & Roger“Dance Floor”)、カール・カールトン「バッド・ママ・ジャマ」(Carl Carlton“She's a Bad Mama Jama”)、レイ・パーカーJr.「パーティ・ナウ」(Ray Paker Jr. & Raydio“It's Time To Party Now”)、シック「グッド・タイム」(chic“Good Time”)など、フロアを揺らせてきたナンバーでホールの空気を徐々に熱していく。

 メンバーは左後段にフィリップ・ウーとDJ MASS、左前段にコーラスの3人、グラミーにノミネートされたタイ・スティーヴンス、フェリックスことフェリシア・グラハム、そしてCDデビューが決まったYURI。右上段にはNYブルックリンからきた辣腕ドラマー(ナイル・ロジャース、シックなどのドラマー)のラルフ・ロール、その右隣にキーボード&トークボックスの盟友・柿崎洋一郎、右下段にはベースの鈴木渉、ギターのオオニシユウスケという布陣。そこに、ミホ・ブラウン、カエ、リッキーの3人のダンサーが加わる。

 オープニングは『Gold Skool』のオープナー「Jungle Love」から。新作『Gold Skool』の冠がついたツアーではあるが、25周年の集大成のツアーとしての側面もあり、本人いわく悩みに悩んだ結果の選曲という。まさに今の久保田利伸とこれまでの軌跡を融合させた、オールドスクールだけでも、ニュースクールだけでも、コンテンポラリーだけでもない、時代を重ねても変わらない久保田の時流=“ゴールドスクール”な構成となった。

 その構成であるが、詰め掛けたファン層をうかがうと初期からのファンが多くようで、2曲目となった「北風と太陽」など初期の楽曲のイントロが流れると、会場がドッと沸く。特にフラッシュを浴びせたかのようなライティングで始まった「流星のサドル」はアッパーな勢いも手伝って、大きな歓声を巻き起こしていた。アンコール明けの「TIMEシャワーに射たれて」のスローな冒頭からラップ・パートへと畳み掛ける展開、フルコーラスではなかったが25周年の軌跡を掻い摘んで届けた曲のなかでも「一途な夜 無傷な朝」といった近年ではなかなかステージでは耳に出来なかったナンバーのセレクトは、ファンには嬉しいものとなった。
 近年なかなか耳に出来ないという意味では、中盤で真っ赤な太陽と炎の揺らぎの映像をバックにした「MAMA UDONGO~まぶたの中に~」もそう。久保田のルーツでもあるアフリカをモチーフにした曲で、発表当時はその先進性に途惑ったファンもいたような記憶があるが(『BONGA WANGA』『KUBOJAH』あたりはそのような記憶がある)、これも久保田のミュージック・ルーツになくてはならない楽曲。野性味溢れるダンサーたちの踊りとともに、雄大と悠久を示したパフォーマンスだった。

 もちろん定番の「LA LA LA LOVE SONG」も組み込み、25周年の軌跡を自身の楽曲タイトルやフレーズを盛り込んで振り返った「流れ星と恋の雨」からドラマ・タイアップとなったアル・クーパー「ジョリー」を思わせる温かいオルガンのフレーズが印象的なヒット「LOVE RAIN~恋の雨~」へ繋がる展開は、ソウルやファンクといった濃い要素の音楽を日本人の歌謡性に落としこめたジャパニーズR&Bのパイオニアとしての矜持とその魅力を充分に湛えたものだったに違いない。

 真摯にブラック・ミュージックに向き合いながら、根本として「楽しむ」ということを忘れないエンターテインメント性をしっかりと包含したステージ。彼が紆余曲折しながら突き進んできた道は決して間違いではなかったことが、25年の節目でも証明されたといえる。それは、3階席の後ろまで埋まった観客のほとんどがスタンディングして、それぞれのグルーヴで歌い、踊り、手を振っていた光景からも明確であった。

◇◇◇

<SET LIST>
00 Introduction
01 Jungle Love
02 北風と太陽
03 Winds

~Flashback 25Years~(Short ver. Medley)
04 Candy Rain
05 雨音
06 一途な夜 無傷な朝
07 夜に抱かれて~A Night in Afro Blue~
08 the Sound of Carnival
(MC)
失意のダウンタウン(Only Intro)
Indigo Waltz(Short ver.)

09 Wednesday Lounge
10 MAMA UDONGO~まぶたの中に~

~Singers Show Section~
11 Mercy Mercy Me(Main Vo. Ty Stevens)(Original by Marvin Gaye)
12 Square Biz(Main Vo. Fenix)(Original by Teena Marie)
13 Mercy Mercy Me(Including phrase of“What's Goin' On”)

14 Missing
15 ~Flashback 25Years DJ MIX by DJ MASS~
  Never Turn Back
  Breaking Through 
  Sunshine Moonlight
  Messenger's Rhyme-Rakushow, it's your show!-
  Soul Mate~君がいるから~
  Give Your My Love
  Dance If You Want It
  AHHHHH!
  SOUL BANGIN'
16 流星のサドル
17 just the two of us(Duet with YURI)
18 Rn'B Healing
19 夢 with you
20 声にできない(Japanese ver.)
21 LA LA LA LOVE SONG
22 流れ星と恋の雨
23 LOVE RAIN~恋の雨~
≪ENCORE≫
24 Singers's Intro
25 TIMEシャワーに射たれて~TAWAWA ヒットパレード(Including“Toshi Kubota 25th Anniversary Special Magic Show”;BGM“El Bimbo”by Paul Mauriat)
26 Tomorrow Waltz


<MEMBER>
久保田利伸(vo)

柿崎洋一郎(key/talkbox)
Philip Woo(key)
Ralph Rolle(ds)
大西雄介(g)
鈴木渉(b)
DJ MASS(turntable)

Ty Stevens(vo)
Fenix a.k.a.Felicia Graham(vo)
YURI(vo)

MIHO BROWN(dancer)
Kae(dancer)
Ricky(dancer)

◇◇◇


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