*** june typhoon tokyo ***

ERIC BENET@Billboard Live TOKYO

Eric_benet

 ビルボードライブ東京でミルウォーキーの平井堅エリック・ベネイのライヴを観賞。2ndショウ。
バンド・メンバーは、左からキーボードのデモンテ・ポージー、中央にドラムのジョン・マクヴィッガー、右にベースのグレッグ・コリアーの3名。デモンテがラップトップ(マッキントッシュ)も扱い、トラックを流してそこへ各メンバーの楽器を被せるという最近のR&Bのライヴ手法。ということで、コーラス隊もなく、彼の持ち味の一つであるデュエット・ソング(新作でいえば、「エヴァーラヴ」や「アイムインラヴウィズユー」とか)はセット・リストになさそうだな、と思いながらスタンバイ。まぁ、テリー・デクスターなんかが同行していたら、「エヴァーラヴ」はもちろんのこと、「スペンド・マイ・ライフ・ウィズ・ユー」(「Spend My Life With You」)が披露されることは確定なわけで、それだったらギターもホーン・セクションとかも連れて来いと要求が高まるばかりになってしまいそうですが。(苦笑)
 とはいえ、エリックの盟友ともいうべきデモンテ・ポージーがバックにいることはステージを安定させるのに充分で、ベースのグレッグはアンコールでのメンバー・ソロの時にスウィートなファルセット・ヴォーカルで沸かせるなど、スキルには問題ない面子。そのデモンテ・ポージーとジョージ・ナッシュJr.の“ジョージィ・ポージー”コンビは、新作『愛すること、生きること』で多くの曲制作に参加(全12曲中、エリック&デモンテで9曲、エリック&デモンテ&ジョージで2曲)しており、その一人がステージでどっしりと構えていることは、エリックが伸び伸びと歌える下地になったのではないか。

 ところで、最新アルバム『愛すること、生きること』(原題『Love & Life』)はグラミーのR&Bアルバム部門にノミネートされるなど、久々に好調といった様子。前作『ハリケーン』は個人的には良作だと思うが、本来のR&Bやソウルといった佇まいよりも、フュージョン・ポップやAORといった趣向が強かったことは否めなかったので、本来エリックが奏でてきた“ソウル”が新作で戻ってきたことは、ファンには嬉しかったのではないだろうか。もちろん個人的にも同じで、グラミー部門賞は獲得出来なかったものの、全米チャートでは「君こそすべて」が20位以内、「ザ・ハンガー」が50位以内、「チョコレート・レッグス」(キース・クラウチとジョン・スミスの共同制作曲)も初登場が80位台となかなかのヒットを見せていることは、今作が評価に値するアルバムということの証明の一つになったといえる。

 今回のセット・リストは、そのアルバムからの曲を中心にセレクト。これは凄くいいことだ。旧来のファンはやはり『トゥルー・トゥ・マイセルフ』や『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』の楽曲をより多く……という声を挙げたくなるところだろうが、多くが知っているヒット曲中心の、ややもするとマンネリ化してしまうセット・リストを組むよりは(そもそも最近にリリースがないアーティストやかなり久しぶりあるいは初来日するアーティストならともかく)、現在進行形の楽曲を演奏してもらった方が若々しさが失われずにいて良い。そこには、現在の名曲が詰め込まれているのだから。
 今ステージでもラテン調(エリックはサルサとR&Bの要素を組み込んだ曲とMCしていたが)を採り入れた「スパニッシュ・フライ」や清々しい広がりを感じさせる上モノに綴っていくヒップホップ・ソウル調の「ドント・レット・ゴー」(この曲ではコール&レスポンスも披露)など、従来のエリックにはそれほど見られなかったタイプの楽曲をステージでチャレンジしている姿に、ワクワクとしたものを覚えた。

 中盤では、エリックが敬愛しているデヴィッド・フォスターの楽曲を掻い摘んで披露。多くの名曲を遺し、数多くの賞を獲っているデヴィッド・フォスターの楽曲のうちアースもの(「イン・ザ・ストーン」ではなく)、「アフター・ザ・ラヴ・ハズ・ゴーン」と「セプテンバー」の2曲。さすがに「セプテンバー」は盛り上がる。
 本編で一番盛り上がったのは、ライトなグルーヴ感が心地よい「ウィークエンド・ガール」か。エリックもかなりノッていたようで、ステージを所狭しと動き、女性と握手したり、見つめあいながら歌ったり、ハグしたりとご機嫌。それを見ながら演奏しているバックの微笑ましい姿も。
 本編ラストはシルキーなヴォーカルが漂う「君こそすべて」。やはりこういったソウルフルな楽曲は白眉で、突き抜けるハイトーンとたゆたうファルセットのコンビネーションがスッと沁み込んで来る具合がたまらない。バンド演奏途中でエリックはステージ・アウト。

 万雷の拍手のなか、エリックが再登場するとアンコールはおなじみ「ジョージィ・ポージー」。エリックはステージを降り、2階へ上がると、カウンター席の上を歌いながら渡り歩く。手を差し出す女性はもちろんのこと、その光景に驚きつつ座って見ていた紳士たちには自らシェイク・ハンドするサーヴィスぶり。そして2階席カウンター中央でサビ・フレーズの“Georgy Porgy puddin' pie / Kissed the girls and made them cry”で拳を突き上げてのコール&レスポンスでヴォルテージは最高潮となった。やはりこの曲は(TOTOのカヴァーながら)、エリックズ・クラシックスと呼べるファンキー・チューンだ。

 MCでは気さくにいろいろ話していたが、印象に残ったのは、“3つの願い”について。
まず、自分自身を愛すること、次に分け隔てなく多くの人を愛すること。そして最後に、子供を愛すること。自分の子供だけじゃなくて、世界中の子供たち全てを愛すること。これらを大切にして欲しいと述べていた。ハル・ベリーとの離婚、愛娘のインディア(その名は前作『ハリケーン』収録曲のタイトルにもなっている)の親権問題などなど、自身が体験してきた苦難から得た、真の願いがそこにはあった。

 コーラス隊がいたら、ホーン・セクションがあったら、など望みは尽きないものの、ようやく歌うことに身が入ったことが窺えるステージだった。といいながらも、やはり彼の真骨頂である美メロ・バラードでは、コーラス隊あるいはデュエット相手は欲しいなぁ、とは思うのだが。(苦笑)


◇◇◇

<SET LIST>

00 BAND INTRO
01 When You Think of Me **
02 What You Won't Do For Love (Original by Bobby Caldwell)
03 Love of My Own **
04 Chocolate Legs ****
05 Spanish Fly ****
06 Don't Let Go ****
07 Snippets of David Foster Songs
~ After The Love Has Gone (Original by Earth, Wind & Fire)
~ September (Original by Earth, Wind & Fire)
08 The Last Time ***
09 Weekend Girl ****
10 The Hunger ****
11 You're The Only One (邦題「君こそすべて」) ****
≪ENCORE≫
12 Georgy Porgy (Including band member's solo) (Original by TOTO) **

** From Album 『A Day in the Life』
*** From Album 『Hurricane』
**** From Album 『Love & Life』


<MEMBER>

Eric Benét (Vocals)
DeMonte Posey (Keyboards)
Greg Collier (Bass)
John McVicker (Drums)

◇◇◇

 ライヴ終了後はサイン会でスタンバイするエリックの姿を間近でガン見。いやぁ、このルックスなら女性たちの目がハートになるのも解かりますな。フェロモンとかセクシーさとか、オレが持っていないものばっかり持っていやがりました。(爆)
 そういえば、EXILEの新加入した方のヴォーカリストが観に来てたような気が。

冒頭で、ミルウォーキーの平井堅とか書いてしまいましたが、実際はところどころ久保田利伸とリンクするようなところがあって、そういう意味では、久保田ってソウル&ファンキーなんだな、と再確認してみたりしながら、帰宅しました。

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