*** june typhoon tokyo ***

ANTHONY HAMILTON@Billboard Live

Anthony_hamilton

 ソウル・ジェントルマンここにあり。

 ビルボードライブ東京にてアンソニー・ハミルトンのライヴ。2ndショウ。
初めてアンソニーのライヴを観賞したのだが、もっと沁みるようなムードかと思ったら、陽気なサザン・ソウルというか、教会風音楽というか、そういう南部系のムードをプンプンと匂わせた土臭くも軽快なサウンドを連発。クラップ、コール&レスポンスを矢継ぎ早に繰り出しながら、あっという間にオーディエンスを熱狂の渦へと取り込んでいく。一方で、メロウなナンバーでは、じっくりと濃密な空間を堪能させる。実にプロフェッショナルだ。

 ステージは左奥から右へキーボード、ギター、ドラム、ベース(キーボード兼任)、キーボード。左前に男性コーラス隊2人といった布陣。中央にはスタンドマイクと椅子。そして四角い箱型のものが置かれてあった(あとでアンソニーが持ってきたステッキ入れだということが判明)。開演前のBGMはジル・スコットが流されていた。終演後はアンジー・ストーンが。ここらへんが、自分にとっては物凄く好みだ。(笑)
 開演前にフロアを見渡すと、いつも以上に外国人占有率が高い。しかも黒人の多いこと、多いこと。集客は7~8割程度だったと思うが、彼らの熱気がこの後、素晴らしい空間を生み出すことになった。

 メンバーがステージ・インしてコーラス隊の呼び込みに応えてアンソニーが登場。スーツ・スタイルで白い縁のハットと左手にステッキを持って登場。先日のラファエル・サディークの公演でもラファエルはスーツだったが、ラファエルがシックでスタイリッシュという感じなら、アンソニーは粋なジェントルマンという佇まい。ソウル・ジェントルマンだ。

 一気に観客を乗せまくったかと思うとミディアム~ミディアム・スローの楽曲を適宜に挟んだりして緩急をつけるのだが、その流れが非常にスムース。メロウなナンバーでは立っていた客が座ることもあったが、それも自然で、流れるようにじっくり聴くモードへと移るので、ステージから目を離す隙間は与えない。

 ステージ中盤の白眉は、アンソニーが“マイ・ワイフ”といって呼び込んだ、奥方のターシャ・マクミリアン・ハミルトンとのデュエットだ。ターシャはアンソニーのアルバム『エイント・ノーバディ・ウォーリン』(Ain't Nobody Worryin')の「Preacher's Daughter」でフィーチャーされていた人。序盤はやや抑え目だったが、中盤からクライマックスに進むにつれ本領を発揮。キリッとした聡明さがありながらも、やはりパワフルなシャウト・ヴォーカルを披露すると、会場は大喝采。あまりの喝采に、ターシャがステージ・アウトした後、「オレの仕事をとるなよ(笑)」みたいなことをアンソニーが言うほどだった。
 それに発奮したのか、アンソニーはその後客席に飛び込み、また中二階にまで上がっていって観客からのハグ&ハイタッチを受けてステージへ戻るパフォーマンス。K-Ciの肩車で一周とまではいかないが(苦笑)、デュエットでの劣勢(とまでは言わないけれど…笑)を大いに挽回した形だ。
 ラストは最新アルバム『ポイント・オブ・イット・オール』から南部的な陽気で大らかなナンバー「クール」を。大いに観客を煽って、感謝を述べてステージ・アウト。バンド演奏が終わるとすぐに会場内にBGMが流れ始めるが、拍手はいっこうに鳴り止まない。しばらくスタンディングオベーションでアンコールを催促するも、この日は出てこずに終了。後ろ髪を引かれる思い出会場をあとにしたのだった。

 メリハリがよく、しかもスムースな構成と、かなり練られた、ヴェテランの力量が随所に発揮されたステージ。年に数回、チケット代にみ合う公演と思えるステージに出くわすが、今回の公演はまさにそれといっても過言ではないものだった。楽曲を知らない人でも飽きさせないプロフェッショナルなパフォーマンスだった。
 それを可能にさせたひとつとして、優れたバック・バンドの存在がある。アンソニーが信頼しているメンバーのようで、その相性もいい。メンバー紹介時のソロでは、愛着ある笑顔を見せていた。また、コーラス隊との掛け合いも楽しげでエンターテインメントをしっかり見せてくれていた。ライヴの純粋な部分、音楽で一体感を味わうこと、音楽の楽しさを共有することをソウル・ミュージックから体感出来た一夜だった。


◇◇◇


<SET LIST>

00 INTRODUCTION
01 Cornbread, Fish & Collard Greens
02 FALLIN' IN LOVE
03 Comin' From Where I'm From
04 THE POINT OF IT ALL
05 Can't Let Go
06 Sista Big Bones
07 HER HEART
08 Silence Kills Duet with Tarsha McMillian Hamilton (From Album 『The McMillian Story』)
09 PRAYIN' FOR YOU
10 Charlene
11 COOL


<MEMBER>

Anthony Hamilton (Vo)
Jack King (Back Vo)
Bryan Sledge (Back Vo)
Kenneth Leonard Jr (Key)
Justin Gilbert (Key)
Joe Lindsay (G)
Henry McCain (B)
John Roberts (Ds)

Special Guest: Tarsha McMillian Hamilton (Vo)

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コメント一覧

野球狂。
小梅さん、はじめまして。ご訪問&コメントありが...
http://jtt.blogzine.jp/jtt/
小梅さん、はじめまして。ご訪問&コメントありがとうございます! コメントしていただけるなら、とんでもない時間に訪問されても歓迎ですよ。(笑)

それにしても、アンソニー・ハミルトン良かったですよね!最終日はほぼ満員でしたか。あー、その日にすればよかったかなぁ。(笑)
そして、サイン&写真撮影!! サインはしてくれても写真はなかなか(アーティストサイドが)許してくれないことが多いなかで、それは貴重ですよ、きっと。羨ましいです。

ラファエル・サディークもよかったし、今年のライヴは当たりが多い気がします。

またご遠慮なくコメントしてくださいね。
小梅
初めまして。小梅といいます。
初めまして。小梅といいます。
Ryan ShawやRaphaelなど自分も行ったライヴ評や、最近聴き込んでるC.Micheleのジャケットが貼られているのがきっかけで、何度かこちらを拝見していました。
そしてもしやと思いおじゃましたらやはり、A.Hamilton!私は25日2nd行きました。
最終日とあってかほぼ満席に近く、大変な盛り上がりでした。
ライヴ後はサイン会に話しもかわし、写真撮影までしてくれるサービスぶりで(本人さすがに疲れていただろうに)、きっといい人なんだろうなぁと感激しきり。
本人と奥様と自分という信じられないスリーショット写真をながめつつCDを聴いていると、なかなかライヴ後の興奮がまだ抜けなくて、こんなとんでもない深い時間にコメントしてしまいました。失礼しました。
またぜひ来てほしいと心から思えるいいライヴでしたねぇ。
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