アメリカに暮らす

アメリカのTV番組や日常生活等について綴ります。ニュースのネタバレ度は弱~中、エピガイのネタバレ度は強です。

帰ってきたぞ 帰ってきたぞ スーパーマ~ン♪

2006年07月11日 | 映画
『Superman Returns (スーパーマン リターンズ)』(ブライアン・シンガー監督、PG-13指定、2006年6月28日全米公開)を見た。映画本編の前に出るWBのロゴのBGMがジョン・ウィリアムズ作曲のテーマ曲風にちょこっとだけアレンジされてるのにニヤリとさせられた。

『Superman Returns』の制作が正式に始まるまで、配役や脚本や監督が何度も代わるという紆余曲折があった。一時期はJ・J・エイブラムズだって脚本を書いていたのである。それがようやく完成して嬉しい。出来もなかなか良いと思う。私は妻と息子(約11歳)と一緒に見たが、3人ともエンジョイできた。ブライアン・シンガー監督、力作をありがとう。(ただし、評論化筋のレビューはイマイチらしい。)

この映画は2時間半と長丁場だが、その割には展開が早く、次々といろいろな事件が起こる。しかも、全体の話がちゃんと繋がっている。特撮やアクションも見応えがある。

PG-13指定になってるのは過激な暴力シーンがあるため。ヒーロー物に暴力シーンは付き物だが、この映画の場合はちょっと行き過ぎな気もする。性行為を暗示するセリフも2~3あるが、映像的にはゼロ。あと(アメリカの場合)、本作の前座で流れる『Lady in the Water』(M・ナイト・シャマラン監督の新作映画)の予告編は結構怖いので、ホラー系が苦手な方はご注意を…。

「スーパーマンことクラーク・ケントの生い立ちを今さら描く必要はないだろう」(ブライアン・シンガー監督のインタビューより)ということで、少年時代の回想(クラークが自分の飛行能力に気付いた日)が1シーン入るだけだ。これは嬉しい配慮である。クラーク少年がコーン畑を駆け抜ける様子は『Smallville (ヤングスーパーマン)』(The WB系列)を彷彿とさせるが、それが意図的かどうかは不明。

また、シンガー監督(ストーリー作成にも参加)によれば、「『Superman Returns』は映画版『スーパーマン2』の続編」的な位置付けだという。クリストファー・リーヴ主演の映画版は第1&2作が同時撮影されており、いわば前編&後編だともいえる。第1作はクラーク・ケントを初めとするキャストの紹介で、本格的な冒険&活躍は第2作以降で描かれる…という、ちょうど映画版『Xメン』シリーズと似たような構成だ。ちなみに、『スーパーマン3』と『スーパーマン4』は駄作なので、「それは無かったことにしよう」ということだろうか?

実はシンガー監督は昔からスーパーマンの大ファンで、あの映画版『Xメン』シリーズ(第1&2作)を撮る際にもクリストファー・リーヴ主演の映画シリーズをお手本にしたのだという。昔のTVシリーズ(ジョージ・リーヴズ主演 = アメリカでは1952~1958年放送)のキャッチフレーズだった「鳥だ!飛行機だ!…」を使ったお遊びシーン等もあって楽しい。

なお、『Superman Returns』は故・クリストファー&デイナ・リーヴ夫妻に捧げられた作品で、エンドロールにもそう書かれている。

今回の音楽担当はジョン・オットマン(『X2』、『Fantastic Four』)だが、メインテーマはクリストファー・リーヴ版で使用されたジョン・ウィリアムズ作曲のもの(微妙にアレンジされてる?)。また、やはりジョン・ウィリアムズが作曲した愛のテーマの基本メロディを含めた新BGMも使用されている。


※以下、ネタバレあり。


冒頭では文字による簡単な状況説明が出る。「天文学者たちがクリプトン星の残骸らしきものを発見した直後、スーパーマンが姿を消した」というものだ。本編はその5年後という設定で、スーパーマンが地球に還るのと前後してレックス・ルーサーが出所する。「終身刑x2」という判決を受けたはずのレックスがたった5年で出られたのは控訴審の証人として喚問したスーパーマンが出廷しなかったからだという。

出所したレックス・ルーサーが向かったのは北極にあるスーパーマンの「孤独の要塞」だった。レックスは地球より数千年進んでいたクリプトン星の技術を利用して世界を征服しようと企んだのである。

ところで、細かい設定がこれまでの映画版や『Smallville』と微妙に矛盾するのには目をつぶるしかないだろう。

『Smallville』のクラーク(高校~大学生)は眼鏡をかけない。しかも、ロイス・レインが最近はレギュラーで出ている。「それなのに、どうして『Superman Returns』のロイスはスーパーマンとクラークが同一人物だと気付かないのか?」なんて訊くのは野暮である。

ブランドン・ルース(スーパーマン/クラーク・ケント)はピッタリの配役だと思う。クラークのドジ加減もクリストファー・リーヴによって確立されたイメージそのままだ。(『Smallville』のクラークはドジじゃないんだけれど…。)

また、最近は『Smallville』の影響でシリアスなレックス・ルーサーにすっかり慣れてしまったが、『Superman Returns』のレックス(ケヴィン・スペイシー)はかつてジーン・ハックマンが演じたコミカルなレックスを彷彿とさせてくれて楽しい。

ジョー・エル役はクリストファー・リーヴ版と同じマーロン・ブランドー。もちろん、彼は故人なので、残っている映像をデジタル処理してある。

ケイト・ボズワース(ロイス・レイン)はちょっとイメージが違うかな?私は『Lois & Clark: The New Adventures of Superman (新スーパーマン)』のロイス(テリィ・ハッチャー)が一番好きなのだが、彼女が必ずしも「これぞロイス」という配役ではなかったかもしれない。ちなみに、私は映画版第1~4作のロイス(マーゴット・キダー)はあまり好きになれなかった。世界中の老若男女のファンがそれぞれのイメージを持ってるだろうから、この映画の配役はやはり難業だったに違いない。

それはともかく、ケイト・ボズワースはこれまでの「可愛い」(某化粧品メーカーの広告ではまるでお人形さんみたい!)イメージから一歩先に進んだ、聡明さと精神的なタフさを兼ね備えたキャラを上手く演じている。今回はなんと、子ども(4歳のジェイソン)までいるのである。

そう、スーパーマンが行方をくらましてる間にロイスは出産していたのだ。しかも、その子どもの父親だというリチャード(デイリープラネットのペリー・ホワイト編集長の甥)と同居している。ジミー・オルセン(この配役はハズしてる?)いわく、ロイスがリチャードとの結婚に踏み切れないのは「まだスーパーマンのことを愛してるから」だということだが…?ちなみに、本作でのロイスはクラーク・ケントがスーパーマンだということを知らないので、クラークはどちらにしろ相手にしてもらえない。

リチャード役を演じるのは『Xメン』のサイクロプスことジェイムズ・マーズデンだ(ジェイムズ・マースターズぢゃないよ)。この人、もしかしたら、ブライアン・シンガー監督のご用達になりそう?リチャードは本作で初登場のキャラだが、「好男子」を絵に描いたような男性で、ロイスの「理性」が選んだ理想の男性なのだろう。ただ、彼女の「感情」はやはりスーパーマンに心を奪われたままなのだ。

ストーリー面では序盤の「スペースシャトルをジェット機に乗せて高空まで運び、そこから打ち上げる」というのが映画版『サンダーバード』(昔の人形劇のやつね)みたいで、「いかにもトラブルが起こりそう」なお約束ネタだ。しかも、そのジェット機にはロイスが取材のために乗っている。「スーパーマン帰還」のお膳立てとして申し分ないではないか。

さらに、そのトラブルの原因がレックスによる実験だったりするのである。わざとやったわけではないのだが、これが後の「クリプトン鉱石で出来た新大陸を誕生させる」という悪企みに発展して行く…という上手い構成だ。

ロイスの子どものジェイソンについてはピンと来る人は来ると思うので、敢えて説明しない。ただ、こういう設定にしちゃって良いのかなあ?


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
父から子へ・・・。 (Ageha)
2006-08-10 10:59:07
ロンリーな気分で地球へ戻り、

スーパーマンは必要ない・・・で

彼女はピューリッツァー賞をもらってる。

・・でも実は・・というラブストーリーが

どちらかというとメインでしたね。



いつの間に・・・(笑)



原作ではそういうのないはずなんですけど?



あまりにもクリストファーリーブに似てて

20年の時を越えて復活・・と言う意味では

とてもとてもうれしいのだけど、

「コレしか出来ないやろ」というのは老婆心?
返信する