--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

CO2計予備機確保成功!

2007-01-24 | 南極だより・観測
南極観測50年の記念硬貨と記念切手ですが、かなり人気だった模様。
都市部?では、硬貨は並んで手に入れなければならなかったと聞きました。
南斗遊星さんのところでは硬貨は余裕で、切手が厳しかったのだそう。
私は仕事で買いに行けないので、ダメで元々と思って、温泉に行っている両親に「帰りに郵便局に寄れるかなぁ?」と発売当日の朝にメールしたら、しばらくして「下部温泉駅前郵便局で切手と硬貨をゲット!」とメールが帰ってきました。
その後も、夕方には「甲府中央郵便局でペンギンの押印ゲット!」そして夜になったら「東京中央郵便局でしらせの押印ゲット!」と。
郵便局の旅になっている・・・しかもむちゃくちゃ精力的。
「代金はもらうけど、労力はあんたの誕生日プレゼントにしてあげるよ」とのこと。
父ちゃん母ちゃん、かなりありがたいです。
それでは、渡井さんからの南極だよりです。
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2007年1月23日(火)晴れ CO2計予備機確保成功!

12月下旬、不手際によりCO2計のデータ取得用LinuxノートPCを壊してしまったことは以前に記した。
その時は昔使っていたノート型PC98システムを倉庫の奥から引っ張り出して、どうにか欠測を最低限に収めることができたのである。

48次隊でLinux予備機を持ってきていたので、一般物資として荷が届いた1月上旬、早速交換した。
国内とはサーバーを介してデータをやりとりしているので、LinuxPCの方が都合が良いのだ。

これでノート型PC98が予備機として確保できるな、と思った矢先、PC98システムのモニタが映らなくなってしまった。
外部モニタにもつなげられないので、これでは使いようがない。
以前から接触が悪くモニタの角度を微妙に調整しないと映らなかったのだが、LinuxPCにバトンを渡した途端完全に壊れてしまったのである。
まさに薄氷を踏む思いだ。

LinuxPCはUPSにも繋ぎ正常に動作しているが、現在、予備機は全くない状態。
これはあまりに危険すぎる。
予備機を確保することは絶対に必要だ。
方法は2つ。
一つはCH4/CO計用に予備として準備された3台のLinuxPCの一部に、CO2計用のプログラムを入れて動かすこと。
もう一つは壊れたPCを再度フォーマットし使えるようにすることだ。

CH4/CO計とCO2計のシステムは大きく異なる。
CH4/CO計がRS232Cでデータをもらっているのに対し、CO2計はGPIBでデータをやりとりしている。
プログラムはもとより、GPIBカードが適応するOSのバージョンも限定されるので、プログラムをインストールするだけでは済まない。

壊れたPCのフォーマットと再インストールも難航を極めた。
壊れた部分だけ除いてフォーマットできるはずなのだが、Linuxのインストールがうまくいかない。
一見影響のないような箇所もダメージを受けているのだろうか?

なんとなく、CH4/CO計の方を優先させたほうが、予備機の確保の点から有用であるような気がしたので、そちらに優先的に取り組む。
日本国内とメールや電話のやりとり、そしてftpでのファイルのやり取りを繰り返し、本日、グラフ表示に若干の問題が残るものの、おおよそ予備機が確保できるめどがついた。
連続観測装置につけて動作させたところ、きちんとデータが取れていることを確認した。

これで一安心。
48次隊には完全な状態で観測装置を引き継ぎたかったので、一つの大きな責任を果たすことができてほっとしている。


-----1月23日本日の作業など-----
・O3計メンテナンス
・観測部会資料提出
・CO2計予備機テストラン
大成功!!
・130kl水槽清掃
130kl水槽は雪入れを目的に作られたため、
オープントップの水槽になっています。
普段は凍らないように発電機の冷却温水を循環させている
清掃手順は先日の100kl水槽と同じ
壁をデッキブラシで洗って、次に床をデッキブラシで洗う
この時残っている水はポンプでくみ出す
くみ出しきれない水はバケツやちりとりでくみ出す
最後はウエスで残った小砂利や泥をふき取る
・持ち帰り一般物資梱包
・生活係連絡会資料提出
・観測棟引継ぎ資料作成
・炭素同位体比分析用大気採取
・温室効果気体濃度分析用大気採取
・二酸化炭素精製
・NOAA温室効果気体濃度分析用大気採取
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック

<日の出日の入>
日の出   01:25
日の入    23:31
<気象情報>
平均気温3.1℃
最高気温6.7℃(1752) 最低気温0.3℃(0444)
平均風速6.0m/s
最大平均風速12.2m/s風向ENE(0250) 最大瞬間風速16.6m/s風向ENE(0245)
日照時間 8.2時間

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「今日は嬉しいことがあったんだー」
ふだんはあまり感情を言葉にしない渡井さんから、珍しくこんな始まりでメールが届きました。
先日壊してしまったCO2連続観測装置の予備機が立ち上がったというのです。
おお、それはLinux PCクラッシュのPCのことですね?
クラッシュしたものは持ち帰りかと思っていました。

先日ノート型PC98をボンベ庫の奥から持ち出して設定したのは、まだ48次で持ち込んだPCが荷下ろしされていなかったからなのですね。
昨年も引き継ぎのときにクラッシュし、予備機がない状態で始まった47次越冬。
「まあ何とかなるだろう」というのは、間違っていなかったけれど、本当に危ない橋を渡ったものだと思います。
今までも何度も書いているように、壊れても足りなくなっても代わりをすぐに持ってくることはできないところでの仕事。
予備機がないということは、PCに何かが起こったら欠測は必至。
欠測になるということは、今まで連続観測を続けてきた南極の大気モニタリングに穴を開けてしまうことになります。
私は1年通して、渡井さんからもいろいろ学んだし、自分でも講演会などを聴きに行ったり書籍を読んだりしてずいぶん学んできて、継続して観測することは、とても地道で地味なことだけれど、どれだけ大切なことなのか、知ることができました。
渡井さんは、1年が予備機のない不安な状態で過ごすことの苦労を知っているから、絶対に予備機を準備して引き継ぎたいという思いが強かったのだと思います。

しかし、クラッシュしたPCって直せるものなのですね。
自宅で使っているPCは今までに4台ありましたが、どれも寿命かな・・という感じで調子が悪くなることはあっても、クラッシュしたことはなかったですし(暴走もフリーズもないのですよね)、職場のPCは、2度ほど飛んだことがありましたが、どちらも復旧せずにお蔵入り(予備機?があったので)でした。
つまり、私はこのPCを直さなければ仕事にならない、という場面に立たされたことがないということなのです。
南極というところはもちろんそれだけの力がなければ務まらないところではあるけれど、つくづく鍛えられる場なのだな、と思いました。

本当によかったです。
これで、安心して48次の担当者に引き継ぐことができますね。
あと、数日ですがなにもないように祈っています。

そうそう、「完全に壊れたノート型PC98」はさすがに帰国するのでしょうか?
ボンベ庫の奥で眠っていたけれど、最後に一花咲かせて役目を降りたのですね。
一番の危機に役立ってくれて、短い間でしたが忘れられない相棒になりましたね。
大事に?持ち帰ってください。

昨日は、130kl水槽の清掃があったようです。
100kl水槽清掃の隣にある大きなオープン水槽で、冬には「雪入れ」もしました。
きれいになった水槽はこちら。

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