--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

リターナブルパレット

2007-01-03 | 南極だより・作業
(ただいま、家に戻ってきてます。)
19時のニュースを見ていたら、毛利さん、今井さん、立松さんの3氏が昭和基地を訪れるために日本を発ったことが伝えられていました。アサヒコムの記事
ケープタウンから国際共同チャーター便(ドロンニングモードランド航空網計画)で、昭和基地に入るということでした。
そういう時期だったのですね。
なんだか、毎日着々と進む作業に気を取られて忘れていました。
このニュースを一緒に見ていた友人は「何でこの3人が行くことになったの?」と。
うーん、それは私にも分からないです・・。
それでは、渡井さんからの南極だよりです。
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2007年1月2日(火)快晴 リターナブルパレット

元旦の翌日、今日から通常の作業に戻る。
なんだかまったりしているのは性に合わないらしく、適度に作業している方が心地よい。

午前中は迷子沢や2廃の前にあるリターナブルパレットを、見晴らしの陸揚げ場までの輸送を行った。
本日夜間に行われる氷上輸送に備えてである。

47次隊の重要な任務の一つに廃棄物の回収がある。
長年放っておかれた廃棄物は朽ちて錆び、ばらばらになっているものが多い。
細々した廃棄物を一つ一つ運んでいては大変なので、リターナブルパレットにまとめるのである。
これより大きい廃棄物はそのままの形で輸送し、これより小さければスチールコンテナ(=スチコン)に詰める。
リターナブルパレットの重量は廃棄物が詰まった状態で1個1トン強。
中には2トンに達するものもある。
47次で持ち帰る廃棄物の量は約200トン。
リターナブルパレットおおよそ200個の計算だ。
これらは秤で軽量して、きちんと輸送ナンバーも振る。

廃棄物を回収しパレットに詰める作業は機械隊員や支援メンバーの協力もあったが、ほとんどの作業は安藤(浩)さん、永木さん@環境保全によって行われた。
これだけの作業、さぞかし大変だったことと思う。
ごくろうさまです。


#リターナブルパレットに収納された残置廃棄物

#近づいてみると、錆びたドラム缶をつぶした物や、鉄板、木枠ほかいろいろな物が入っています。

-----1月2日本日の作業など-----
・リターナブルパレットの運搬
 2廃>見晴らし
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック
・CO2計10日メンテナンス&報告
・CH4計15日メンテナンス&報告
・O3計1ヶ月報告
・氷上輸送(SM413で見晴らし<>しらせ)

<日の出日の入>
日の出 なし  
日の入  なし  
<気象情報>
平均気温-1.4℃
最高気温2.6℃(1536) 最低気温-5.7℃(0537)
平均風速2.7m/s
最大平均風速5.3m/s風向SSE(2130) 最大瞬間風速7.0m/s風向SW(2156)
日照時間 23.9時間

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更新されていないブログを見ながら、きっととっても忙しいのだろうなと思っていたのですが、廃棄物の積み込み準備をしていたのですね。
今までに、夏時期の一斉清掃、越冬時期に取り組んだアンテナ島の廃棄物回収や11倉庫の整理、それ以外にもたくさんの廃棄物を集めていたようでしたので、それを梱包して持ち帰るというのは並大抵のことではないのだと思います。
この廃棄物というのは、使い終わった燃料ドラム缶やプロパンガスのシリンダなどの47次隊で使ったものではなく、50年の間に積もり積もった廃棄物ということなのですよね?
南極展でも、ずいぶん昔の物と思われる醤油の缶やたばこの缶などが展示されていましたが、それは昨春に持ち帰った物だということでした。
50年分のゴミが昭和基地周辺にはあるということなのだとはじめて実感した瞬間でした。
南極というところで、環境保全に力を入れるようになったのは、1998年(第38次隊)だと聞いています。
かつては南極で生活するということが今よりもずっと厳しかったころは、人間が帰ることが精一杯で、持ってきた物を回収して帰るということに疎い時代だったのだと思います。
50年前といえば高度経済成長のまっただ中で、日本国内でも汚染物質は川や海にそのまま流されていたし、ゴミの処理も今とは比べものにならないくらい手が入っていなかったのですから、極地であればなおさらだろうというのは想像に難くありません。
南極の環境とゴミのことについては、もっと詳しく分かりたいし書きたいのですが、書き終わらなくなりそうなので、リターナブルパレットのことに話を戻すことにします。

よく見ると、このリターナブルパレットの重量は1400kg(サイズは230cm×164cm×120cm=1.20m3)となっています。
私の車が1140kgだから、それよりも重いということです。
このようなリターナブルパレットが200個(この中には雪上車や他の大物廃棄物も含まれている?)持ち帰りの準備をする労力というのはとても想像がつかないです。
この作業を手伝いがありながらもほとんどお二人でやられたということ。
南極での作業は今までそれだけ手伝いに行きたいと思ったかしれません。
でも、さすがにそれはどうにもならないので、隊員さんたちの努力が実って、きれいな南極が取り戻せることを願っています。


#スチコン

環境保全の取り組みについての詳しいことは「地球の未来を見つめる大陸からのメッセージ」の書き記事をご覧ください。
第12回 昭和基地をきれいに!~環境保全の取組み(1)
第13回 昭和基地をきれいに!~環境保全の取組み(2)

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