Mary Balogh. 2008. Simply Perfect. Delacorte Press.
あ~、読み終わっちゃった。
Perfectな最終回だったけど、このシリーズが終わっちゃうのは寂しいデス。
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality:
現われるだけで生徒達がシンと静まるほどの威厳を持ち合わせる女学校の校長Miss Claudia Martinと、黒い髪と真っ青な目と笑顔が印象的でよく気が利き誰からも好かれる公爵家の跡継ぎAttingsborough侯爵が出会い、二人の人生はがらりと変わります。
とっても忙しかった一日の終わりにClaudiaは、予告無しに現われた人というのが忌み嫌う貴族 ‐しかも侯爵‐ が待っていると聞いてムシャクシャした気持ちに。
友人の手紙を届けに来てくれたAttingsborough侯爵(Joseph Fawcitt)はとってもフレンドリーで、なんだか余計に腹が立ちます。
そして驚いたことに学校を案内して欲しいと言うので、断る理由もなかったClaudiaはしぶしぶ案内をします。貴族は嫌いだしJosephの人の良さもなんだか薄っぺらに見えてイライラするのに、彼の笑顔や男性としての魅力を無視することができない自分にもさらにイライラがつのります。
Josephが学校に興味を示したのには彼なりの理由があったのですが、彼女の背筋をピンと伸ばした姿と校長としての表情がなんだか忘れられなくなります。
2日後、JosephはClaudiaと彼女の学校の卒業生2人をロンドンへ送り届けますが、そこから二人の人生が複雑に交錯していきます。
でも、二人の絆が深まれば深まっていくほど、Josephの家族が決めた結婚の話が進み、Claudiaの過去の男性も現われたり、上流社会が驚愕するスキャンダルも明らかになったりと、JosephとClaudiaの将来に希望はなくなっていきます…。
Bedwynシリーズ"Slightly Dangerous"のWulfとChristineの立場・キャラを逆にしたようだというコメントをアマゾンで見て、読む前に今回のH/Hのキャラのイメージがなんとなく出来上がってしまってたのですが、読んでみたら今回のH/Hもそれぞれ独特で印象深い人物像が出来上がっていたように思います。
Slightly DangerousのWulfはとっても厳格で冷酷。
実際Christineに心を開いてからも彼の態度は表向きはそんなに変わりません。
家族を思う長兄としてのプライベートの自分も、公爵としての立場と義務を果たす自分(この部分が「冷酷」と勘違いされやすい)もきっぱりと区別がつかないけど全てそれも自分のアイデンティティーの一部なんだ、兄であり公爵なんだということをChristineに理解してもらいたいという部分が印象に残っています。
一方、Wulfの女性版に例えられた威厳のある校長Claudiaですが、私の中ではほとんどイメージは重なりませんでした。
Claudiaが自立したビジネスマン兼教師として過去13年間成功してきた努力の裏には、「女性らしさ」を捨てなければいけなかったんだと告白している場面があります。Josephに何度も「彼女も自分のように実は孤独なんじゃないか」と感じさせたのは、Claudiaは自分のアイデンティティーの一部、女性である部分を押し殺してこなければいけなかったことにあるんです。
そして、Josephとの出会いと彼と過ごした"Simply Perfect"な時間により、女性として愛する人に愛情を注いで愛を育むことが可能な自分をもう一度思い出し取り戻すんです。
Claudiaのお話は、今までのBaloghのヒロインの中で一番共感しました。
教師という立場が重なるせいか、彼女の一言一言から学べることがたくさん。
彼女の人生観や生徒を思う気持ち、そして教育信念などは、昔は教師であり経験豊かなバログの信念や人生観を垣間見ることでもあるんですよね。
それにしても今回のClaudiaの言葉には感動するものがたくさんあったので、ハートマークをもう一つ二つ増やしたいところです。
自分自身が教師としてやっていることや思っていることを振り返ると、バログかClaudiaの爪のあかをいただかねば、ですよ。
他にも、婚外子に対する世間の偏見などが『母子家庭育ち』という世間の偏見を常に意識していた私の子供時代を思い起こさせたのですが、それに対するClaudiaの賢い言葉の数々が枯渇した土地に水が吸収されるような勢いで私の胸にしみました。どうしてこんな人が私のまわりにもいなかったんだろうとClaudiaの生徒達にちょっとジェラシーでしたよ。
このシリーズでは、個人的には1作目Simply Unforgettableのほうがロマンチック要素が強い印象があるので、このSimply Perfectは最初はハートマーク4つ半にしようと思ったんです。
でも、これはこれで、人生経験豊かなH/Hと静寂さと強さを持ち合わせた二人の愛情が築かれる、Baloghならではの苦境を乗り切る底力を見せつける純愛のお話で、終わりを飾るのにふさわしいんじゃないでしょうか。
ということで満点にしました
>>Spotlight on Mary Balogh
>>Spotlight on Mary Balogh2 (Simplyシリーズのレビューのリンクも含む)
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