ヒストリカルロマンスアワー

Historical Romance Hour

Simply Magic

2007年04月01日 | B

Mary Balogh. 2007. Simply Magic. Delacorte Press.

Simplyシリーズ3作目、"Simply Magic"です。先の2作に比べると、おとなしめ。
2作目のSydnamのお話が激しかっただけに…。

Story:       
Dialogue:  
Hero:        
Heroine:    
Sensuality: 

Miss. Susanna Osbourneは、1作目のヒロインで今はEdgecombe伯爵夫人となったFrancesに招待されてSummerset(だったかな?)に遊びにきていました。

そして、伯爵邸の付近にある別の邸宅に遊びに来ていたWhitleaf子爵と出会います。

Peter Edgeworth、Whitleaf子爵は、ハンサムでとてもやさしくて気が利くばかりでなくリップサービスも極上 誰も彼の言う甘い言葉は本気だとは思ってなくても、どんな年齢の女性も彼女が一番大事だと思わせる彼はモテモテです。

Susannaは一目見た瞬間からそんな浮ついたような子爵が好きになれませんでしたが、それよりなにより、Whitleafという名前を聞いた瞬間、彼女が女学校に行き着いたきっかけになった過去の暗い記憶が蘇ります。

そんなSusannaの気持ちなど知る由もなく、Peterは彼女を一目見た瞬間、
"There she is"
と、ピンときます。美しいばかりでなく、彼女が自分にはなびかずキツイ言葉で返してくるのもなんだか魅力的。

お互いそれぞれの場所に帰るまでの2週間、Peterは彼女の友達になりたいと申し出、徐々にSusannaもうちとけていきます。

二人は2週間目最後の日に忘れられない午後を過ごし、別々に人生に戻り、その後偶然が重なり何度か再会するのは、最近のBaloghのパターンですが、別にうんざりはしませんでした。
会話は楽しめたし、Peterの自分探しとSusannaの暗い過去がかしこく絡んでいたと思います。
でも、今回は特にこれといってインパクトのあるお話ではないし、前半、二人が仲良くなっていくまでがナカナカ遅々として進みません。

でも私は、自身の個人的な経験から、全くSusannaの状況と私の人生は違うけど、BaloghのSusannaの心理描写には泣けました。
ええ、ええ。今回も泣けるお話ですよ
今回は、二人の恋が切ないからというわけではなく、Susannaの過去に泣けました。

Amazon.comのレビューアーでSusannaの心の傷のことを真剣に捉えてないコメントがありますが(「セラピーが必要なんじゃないの!?」)、心の傷をネタにした三文小説ならアメリカ人作家によるもののほうが多く、そういうのを好きなのは北米人読者のほうが多いように思うのは私だけでしょうか。
それに、セラピストが必要だなんて…。
どんなコメントや。

浮ついたようなPeterも実はすごくいい人柄。やさしくて誠実で、他人を本当にその人が「一番大事だ」と思わせることができる人。私はこういう人、惚れるかも
実は、もう大人なんだから子爵としてきちんとそれらしくなり、土地の人たちと触れ合い、充実した日々を送りたいという夢を抱いていますが、彼も過去にあったことにケジメをつけなければいけません・・・。

設定が2作目のお話と時間がかなりかぶっているので、「あら、こっちではこんなことになってたのね」と思わせるシーンもありました。

私は充分楽しめた一冊。でもPBや翻訳を待っても損はしないと思います。

バログの他の作品は、>>Spotlight on Mary Baloghからどうぞ
字数制限のため、Simplyシリーズだけ>>Spotlight on Mary BaloghⅡに移動です。



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