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Laura Lee Guhrke. 2007. And Then He Kissed Her. Avon Historical Romance.
オススメです
Story:
Dialogue:
Hero:
Heroine:
Sensuality:
ビクトリア後期を舞台にしたお話で、電話・電報や汽車(電気機関車?)なども出てきてなんだかいつもとちょっと違う雰囲気も新鮮でいいです。
30歳でスピンスターのMiss. Emma DoveはMarlowe子爵所有の出版社で彼の秘書として働いてかれこれ5年。
その間、自分が書いた職業婦人や婦人一般のためのエチケット本の出版を夢見て着々と原稿を書いていました。
何度子爵に見せても却下となったけど、それでもがんばって書き直して機会があるたびに原稿を渡していました。
が、実は子爵はきちんと読んでもいなかったことが分かり、Emmaは予告もなしに会社を辞めてしまいます。
この時のEmmaの様子・気持ち、泣けましたヨ
秘書として文句一つ言わず病気もせずがんばってきたのに、自分の努力の成果は「当然」のようにあしらわれ認めてもらえず、自分は透明人間だったのかと思ったときのくやしさ。会社やボスに対する忠誠心は一体なんだったのか?
ちょっと時間を割いて、部下が書いた原稿に目を通してくれるどころか、読んだふりをしてウソのコメントをくれてただなんて!
一方、ハンサムで女たらしのMarlowe子爵は、有能でロボットのように働いていた秘書が急に辞めてしまった後の大混乱の会社へ戻ってきてびっくり。
彼女を取り戻そうと彼女の家へ行きますが、すでにEmmaはライバル会社で採用が決定となっていました。
さらにMarloweのびっくりしたことには、もう部下としての立場でなくなったEmmaは、はっきりと自分の意見を言える快活な女性だとわかったこと。
全くロボットなんかではなく、魅力的で情熱的な女性としてのEmmaを発見して、Marloweの空想は広がります・・・。
前半はこうやって、MarloweがEmmaの本当の姿に気づくまでの過程なので、最初からロマンチックでセクシャルテンションが高いお話かというと、そうではありません。
あと、個人的に、主人公二人の過去の心の傷をつらつらと話してばかりのくら~いお話は嫌いなんです。(いい年してんだからもういいじゃない、っていうのが多いと思う。)
だからこのお話もちょこっとそんな雰囲気があったので、ハートマークは4つ半になりました。
でも、Marloweの不幸せだった過去の結婚生活と家族にまで汚名をきせた離婚とそのトラウマや、Emmaのつらい生い立ちなど、それぞれのキャラクターにどんな影響を与えたかや、その後二人がどうやってその心の痛手を乗り越えて関係を築いていくかが主人公二人を印象的なものにしてました。
後半、Emmaの気持ちが現代の女性にも通じるものがあって切なかったです。
別の記事のコメント内で書いたのですが、最近ロマンチック・サスペンスのサスペンスの部分にはちょっと飽き気味のK。ロマンスをたっぷり堪能できるものが読みたかったんです。
これ、期待を裏切られませんでした。Guhrkeの他の作品でレビューしたものは、これとプロットがよく似たお話"Guilty Pleasures"とそのシリーズ3作目の"She's No Princess"。
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