(み)生活

ネットで調べてもいまいち自分にフィットしないあんなこと、こんなこと
浅く広く掘っていったらいろいろ出てきました

ep第11.03話(支線)【架空の話】49巻以降の話、想像してみた【勝手な話】

2015-02-27 18:34:36 | ガラスの・・・Fiction
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ep第11.03話 あの日、あの時のあなたの理由
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「あの日・・・」
「え?」
「初めて私がここに来た日、月がきれいに輝いていた・・」
「ああ、そうだったな。」
真澄に促されて車に乗り込もうとしたマヤは、ふと左手を頭上の青空に掲げた。
その小指には、昨夜真澄からもらった指輪が輝いている。
「あの時は紫のバラの人があなただって、分かっていたけどその真実に向かい合う勇気が持てなくて。
 速水さんに会いたい、会いたい、それだったら紫のバラの人にあえばいいんだって!単純に・・・・」
そう言って顔を真っ赤に染める。
「でも、太陽もきれい・・・・」
かざした左手に輝く紫の石は、陽の光を受けてキラキラと輝いている。
「これからは、どんな時も一緒だ・・・」
太陽が明るく照らす春の日も、
波が激しく打ち寄せる夏の日も、
月が優しく輝く秋の日も、
雨が冷たく降りしきる冬の日も、
「君の手は、俺が導く。だから君の手は、俺を支えてくれ。」
これからずっと・・・・

**
「あれはやっぱり計算だったんですか?」
東京へ戻る車中、唐突にマヤが尋ねた。
「ん?あれとは?」
「あれですよ!あの、“来い、ジェーン!!!”」
そういうとマヤは助手席で狼少女よろしく、唸り声をあげた。
「ああ、あれか。そうだな、もちろん計算さ。しかし半ば自暴自棄の気持ちもあったかもしれん。」
確実に君に嫌われる、そう思ったからな。
「たしかに、恨みました・・・・」
でも、あの一件がなければ、きっと私は今こうして紅天女を演れていない。
「黒沼組が厳しい状況に追いやられているのは報告を見ても明らかだったからな。
 俺の立場としてできることは、ほとんどない。相対する立場にあると言ってもよかったからな、
 当時は。」
「や、でした?」
小さくマヤがつぶやくように聞いてきた。
「・・・・いやだったさ。君に嫌われるのは慣れていたが、決定打を自分で打つのはそれでも堪える」
「あの時思いっきりかみついて、ごめんなさい。」
ちょっと傷が残ってるの、昨日見つけたんです、そういってマヤは信号待ちで停まっていた真澄の手を
ギュッと握った。
“あなたの心の海は、とっても広いのね・・・”

**
「君の方こそ、どうしてずっと黙っていたんだ?」
あの時どうして?あの日何故?
私より速水さんの方がずっと隠し事が多いと言いながら
マヤの質問攻めが止まらないのに辟易した真澄は、反対に尋ねた。
「え?何ですか?」
「紫のバラ。今にして思えば確かに『忘れられた荒野』以降の君の言動は
 不自然なことが多かった。何度も聞こうとしたんじゃないのか?」
あの時、聞かれたなら、もしかしたら・・・。
「もし・・・なんてのはないんだけどな。」
自嘲気味につぶやいた真澄の横顔を見て、マヤは言葉を発した。
「速水さんの方こそ、どうしてずっと黙っていたんですか?」
「俺か?俺は・・・・」
君とのつながりを持っていたかった。
たとえこの世で結ばれなくとも、紫のバラを介してだけは、
ずっとそばに居られる、そう思っていたかった。

**
「どうでした?私の演技・・・あの時・・・」
そう言ってマヤは少し頬を赤くした。
「演技?いつのことだ?」
「阿古夜の・・、あの時、あの、船の上で・・・朝焼けを見ながら・・・」
薔薇色の朝焼け、今のマヤはそれ以上に赤い顔をしている。
「・・・・俺は今まで・・・」
真澄はハンドルを一瞬ギュッと握ると、スマートな目線でサイドミラーを確認しながら
車線を変更した。
マヤはずっと俺を憎んでいると思っていた。
俺の思いが、かなうことなどない、マヤがいつか振り向くことなどありえないと思っていた。
マヤへの深い深い思いが反対に真澄の心をかたくなにおしこめ、真澄は、
普通なら気づいていたであろうマヤから発せられる信号の色の変化を見落としていたのだ。
「あの日、君の演技を見た時、なぜだろうか、君の思いが素直に伝わってくる気がした。
 その・・・・阿古夜の思いは君の思い、一真を思う気持ちは、俺を思う気持ちなのではないか、
 不思議と素直にそう思えた。」
そうなれば、もう気持ちを抑えておくことなどできない。
「あの日、もうすぐ結婚しちゃうあなたに、せめて気持ちを伝えたくて、
 私は一生懸命演じました。速水さん、あなたに分かってほしくて。」
私の気持ちを・・・・
「もうだめだ・・・」
「え?」
「いや、そう思ったんだよ。もう、自分の気持ちに嘘をつくことなど、できないとね。」
「・・・あの時、速水さんに抱きしめられて、本当にびっくりしました。」
「俺の方こそびっくりしたさ。君がまさか、俺に・・・・俺の事をなんて、想像もしていなかったからな。」
あそこでもし、それでも俺が我慢をできていたのなら・・・
「今の幸せはないってことか・・・」
「え?」
薄く開けた車の窓ガラスから流れ込む風の音で、真澄の声はマヤまで届かなかったようだ。
「あの時、あの後本当に大丈夫だったんですかね、あの、その噂に・・・・」
マヤと真澄が固く抱きしめあっている様子は、同乗客数人に目撃されている。
その中には恐らく、二人の素性に気付いている者もいただろう。
「ふふふ、君は俺を誰だと思っているんだ?」
「・・・速水さん、大都芸能の(冷血)速水社長・・・・」
いわずもがな、不利になる情報をやすやすと表に出すことはしない。
「さすが敏腕若社長(仕事の鬼)ですね・・・」
「ふ、君の言葉の裏に、何か見え隠れするようだが、まあいい。
 少なくとも君はその、冷血鬼社長に女優人生を託しているんだからな、それをお忘れなく」
「すごい、人の心の中を読むなんて・・」
「・・・・やっぱりそう思っていたんだな、マヤ。」
「あ。」

**
「あの日は本当にすまなかったな。」
「え?」
「あの日、船を下りた後、君が大都芸能まで会いに来てくれた日、
 俺は君にひどい言葉をかけた。」
ーーーいい暇つぶしになったーーー
「ああ、あの事ならもう・・」
「言い訳をするつもりはないが、これだけは言わせてくれ。
 あれは決して本心ではなかった。」
「・・・・ええ、分かってます。大丈夫です。」
もっともあの時はひどく取り乱してしまったけれど・・・。
「あの後水城君からもこっぴどく言われたよ。」
「あの・・・、私、あの時は本当にショックで、どうしていいか分からないまま
 水城さんに助けてもらったんです。それでもあの船での出来事が嘘だったなんて
 信じられなくて、信じたくなくて、もうどうしていいか分からなくなって・・・」
「・・・・」
「・・・それで、月影先生に相談に行きました。」
「月影先生に?」
「はい。そしたら先生、本当の魂の片割れなら、私がつらい時は相手はもっとつらい思いを
 しているって。
 私、その言葉で速水さんを信じることが出来た。」
「・・・・ありがとう」
自分の気持ちを捨てるため、拒絶され傷つくことから逃げるため、一体どれほど
マヤにひどい事を、言葉をかけてきたのだろう。
真澄の心に改めてマヤへの思いがこみ上げる。
「幸せになりたいと、思ったんだ。」
「え?」
「これまで俺の人生は、復讐だけが目的だった。義父に、そして紅天女に、
 自分から平凡だけどささやかに守ってきた幸せを奪ったものに復讐する、
 そのことだけを支えに、仕事の鬼として生きることは自分にとってなんの疑問もない人生だった。
 それがマヤ、君に会って変わった・・・。」
幸せになりたい、君と一緒にいる時の、沸き立つような心の高揚感を
ずっと感じていたいと・・・・。
「私、幸せです。」
「・・・そうか?」
「はい。何より演じることが大好きな私が、演劇の世界でこうして生きることが出来る。
 紅天女という、すごく大きな舞台にも立つ事ができてそしてーーーー」
魂の片割れにも出会えた・・・。
「正直、これ以上の幸せなんて、ないかもしれない。」
「そうか・・・」
「速水さん、速水さんの幸せってなんですか?」
「え?」
「私は、言った通り、演じることが出来れば、そして速水さんの側にいられればもうこれ以上の
 幸せはありません。じゃあ速水さんは?」
「俺も同じだよ。」
マヤの演じる姿が見られれば、そして、マヤがずっと自分の側に居てくれれば・・・・
「他に何もいらない・・・」
「・・・・・」
窓から吹き込む風はまだ冷たくて、ほてったマヤの、そして真澄の頬を優しく冷ます。

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~~~~解説・言い訳~~~~~~~~
伊豆の別荘からおうちに帰る道すがらのとりとめのない
車中トーク、オムニバス。
もっといろいろ話続けたかったのですが、間をおきすぎて、
ちょっと整合性とるのが大変になってきたのでえいやっと
これでUPします。
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2 コメント

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面白くて止まらず~(≧∇≦) (ゆう)
2015-05-29 02:06:41
一昨日、夜明けまで読んでしまってました!
ガラスの仮面のマヤと真澄です~U+203CU+FE0E
しおりさんも!
素晴らしいそのつづきに感動です。
今日見たらまたまた新作!これがまたいいですね~うるうる来ましたU+1F493
コンコンとわくあなたのパロの泉でのどを潤さして頂きまーす!
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まさか・・・ ((み))
2015-05-29 12:09:52
まさかコメント付くとは思わず2度見してしまいました。
ありがとうございます・・・わざわざ。。
会話ばっかで続くの冗長ですよね。
もう少し情景描写増やします、本線では。
しかしながら、書いてる間に出てほしい50巻。
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