世界の中の極々小さな断片

田舎暮らしの日常と地元を走るローカル線を短いエッセイと写真で綴る。
※ブログのタイトルが変わりました。

灯火

2017-01-05 07:41:58 | 日記



































































































































降り続いた雨も夕刻にはあがり

雲の切れ間から射す日の光が

早い雲の流れに押されるように

北から東へと移ってゆく。



小寒を向えるこの時期としては

寒さをさほど感じない

しかし、手袋もなしに持つカメラは

今が一番寒い時を知らせる様に

無機質の機械の冷たさを伝えていた。



冬のこの時間の光量の無さに

撮影の設定に思案するうちに

列車は不意に現れた。

暗い空と僅かに残る雪の間からのぞく黒い地膚の

荒涼とした空気の冷たさの中を縫って

列車は車窓から溢れる「灯り」と共に通りすぎた。



カメラ同様に機械であるはずの無機質の存在が

あの「灯り」を見た、あの瞬間なぜだかとても暖かく感じられた。




人は光りを感じたとき

温かさという幸福を感じる。

遠く瞬く家々の小さな灯りに目をやりながら

あの家々にもそれぞれの幸せが

灯っていることを願った。










Posted by I.Tachi at January 5, 2017
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