イスラームとキリスト教

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13億人の新経済圏

2008-01-16 10:30:13 | イスラーム世界-キリスト教世界

 

 13億人の新経済圏

 イスラムが世界で存在感を増している。石油収入の増大で各国経済が高成長軌道に乗り、国際社会での発言力も強まっている。今後20年で世界人口の3分の1がイスラム教徒になるとの予測もある。一方、米同時テロやイラク戦争を経験し教徒たちは宗教意識を高めている。膨張するイスラムとどう向き合うか、世界は難しい課題を突きつけられている。

 宗教の連帯感原動力

 インドネシアに次ぐイスラム大国のパキスタン。その商都カラチ沖で前代未聞の大事業が動き出す。アラブ首長国連邦 (UAE) の不動産開発会社エマールプロパティーズが沖合いの二島約50平方キロメートルをパキスタン政府から買い取り、13年かけて高級住宅地や大型ショッピングモールを抱える新都市を建設する。投資額は430億ドル (約5兆2000億円) と、同国国内総生産 (GDP) 約1000億ドルの4割に相当するけた違いの規模だ。

石油マネー動く

 人口の65%がイスラム教徒のマレーシアでは、金融再編の目玉とされた地場銀号RHBの出資に、ペルシャ湾岸を基盤にするクウェート・ファイナンス・ハウスが名乗りを上げた。地元金融機関でも欧米銀でもない意外なプレーヤーの登場に、地元経済界からは驚きの声が上がった。エジプトの通信会社オラスコム・テレコムは、欧米勢が進出をちゅうちょするバングラデシュで貧困層を対象にした携帯電話事業に乗り出した。

 中東諸国が過去3年で積み上げた7000億ドルを超すオイルマネー。それが新たな成長を求めてアジアのイスラム国に向かう。中東とアジアの貿易額は2500億ドルを突破し、5年で倍増した。

 人の往来も増えている。2000年に5万3000人だった中東からマレーシアへの訪問者は06年1-9月で15万6000人。首都クアラルンプールの国際空港では英語、中国語と並んでアラビア語によるアナウンスが最近、始まった。今月16日にはUAEの航空会社エティハードが週6便の定期運航に乗り出した。

 北アフリカから中東を経て東南アジアに至る一帯には13億人のイスラム教徒が住む。原油高をきっかけにカネ、モノ、人の動きが活発になり、「緩やかな結びつきながら、事実上の『イスラム経済圏』ができあがりつつある」 (トルコ・ドウシュ大学のギュルソユ教授)。国家間の自由貿易協定 (FTA) や、世界貿易機関 (WTO) が主導する貿易交渉とは無関係。同じ宗教を背景にする連帯感が原動力だ。

 「繁栄の弧」へ

 経済の拡大ペースは速い。イスラム国家で構成するイスラム諸国会議機構 (OIC) 加盟国の06年の域内総生産 (GDP) は合わせて推計5兆8000億ドル。6%前後の成長を続けており、伸び率は北米自由貿易協定 (NAFTA) 、欧州連合 (EU) を上回る。

 「通貨は不当に安すぎる」。昨年末、米政権内でこんな議論が浮上した。標的は米ドルにペッグ (連動) した湾岸産油国通貨だ。OICの貿易黒字は中国の3倍に相当する4000億ドル弱に上る。米国の経常赤字の膨張が関心を集めるなか、急浮上した新経済圏の存在は無視できない。

 ブラジル、ロシア、インド、中国のBRICsに続く有望国として株式市場で注目を集める 「ネクスト・イレブン」。十一カ国のうちインドネシア、バングラデシュ、パキスタン、イラン、トルコ、エジプト、ナイジェリアの七カ国をイスラム国が占める。

 昨年11月、パキスタンの首都イスラマバードで開かれた 「世界イスラム経済フォーラム」でアブドラ・マレーシア首相は 「同胞として協力を深めるべきだ」と訴えた。中東からアジアにかけた一帯は地政学の専門家の間で 「不安定の弧」と呼ばれる。イラクの混乱やイランの核問題など地政学的リスクをはらみながらも、「繁栄の弧」への道を歩み始めた。

 

イスラム教徒の分布

イスラムはアラビア語で帰依、服従を意味する。その教えは宗教にとどまらず、生活全般にかかわる行動規範となる。教徒はアフリカ、中東、アジアに多い。1971年創設のイスラム諸国会議機構 (OIC) には57カ国・地域が加盟。人口が多い順にインドネシア (2億2000万人) 、パキスタン (1億6000万人) 、バングラデシュ (1億4000万人) 。インドはOIC非加盟だが人口の13%にあたる1億4000万人がいる。イスラム教徒は一般に出生率が高く、人口増が経済の活力につながっている面もある。

(イスラム取材班)


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