石ころ・ころころ

石や地図・子育ての話など

押ヶ峠断層その1

2008-04-24 | 石・地図

去年の今頃,押ヶ峠断層を見に行きました。最初のうちにアップしようと思っていたのに,すっかり忘れていました…。まとめていたら長くなったので,その1:現地の様子,その2:解説,その3:地質の3回シリーズでお話します。

 

場所は,広島県山県郡安芸太田町の押ヶ峠(おしがたお,おしがとう)。県北西部にある山間地です。10kmほど北には,三段峡があります。

 

断層は地層が切断されているところ。地質学では露頭(岩石や地層などがあらわれている場所)での観察が主ですが,ここは地形をみて,断層があると確認できる珍しい場所です。

 

押ヶ峠周辺です。立岩ダムぞいの北東方向に断層があるらしいので,ダムを右手に見ながらへ北へ行くと,小さな看板がありました(地図では,ほぼ中央付近)。

 

宿でもらったこの付近のガイドマップには,確かにこの辺に看板があると書いてあるのに…見落としたかな?と不安になりながらも,やっと発見!

この看板には,こんなことが書いてありました。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

押ヶ峠の断層帯(国天然記念物 昭和40年7月1日指定)

 押ヶ峠の断層帯は,断層地帯としては,日本で初めて,国の天然記念物の指定を受けた学術的価値の高い断層帯です。 断層とは,地盤にストレスが働くと,破壊が起きて地震が発生して現れる,地表のずれのことをいいます。この断層によってできた特殊な丘陵をケルンバットといい,断層線に沿ってできるくぼ地をケルンコルといいます。 押ヶ峠の断層帯は,約2kmにわたり4個の丘陵(ケルンバット)が一直線上にならび,一部に断層破砕帯がみられます。 押ヶ峠の丘陵(ケルンバット)は,世界にもまれな並走地塊群の集合地域とみなされる安芸西部山地や瀬戸内海形成の地殻変動史を物語る貴重な遺物で,学術上重要な文化財です。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

内容は少し難しいので,論より証拠,写真をご覧いただこうと思います。

断層は,写真中央付近のケルンコル(くぼ地)を通っています。

 

看板の解説を読んでそのまま顔を上げると,こんな風景が広がっています。なんてことない山あいの風景なのですが,谷の中にちょこっと顔を出した小さな山(ケルンバット)のお陰で,くぼ地がはっきりしているのがお判りいただけると思います。

 

このケルンコル(くぼ地)とケルンバット(丘陵:小山と言った方がいいようなもの)が並んでいることが重要です。私は,本でしか見たことがなかったので,ちょっと感激。しかも,連続しているとありましたので,さらに探すことに。

 

そのまま車で北東方向に進み,次のカーブから振り返って南西方向(さっきの看板があった場所)。ここも,2つセットでありました♪

 

断層地形には,いくつか特徴がありますが,押ヶ峠ではこのうちの一つ,ケルンコル(くぼ地),ケルンバット(小山のような丘陵)が連続していました。ケルンコル(くぼ地)が一定方向に連続している場合,その方向に断層があると考えられています。

雨が降っていたこともあり,写真が不明瞭ですが,ずっとこの風景が続いていたので,このくぼ地の方向に断層があることがわかりました。何よりケルンコルとケルンバットの本物が見られて感動もの!です。


最新の画像もっと見る