ISAO&KOUのどうなる日本2005

日本現在と過去・未来を鋭く斬る裏情報・身勝手Blog!真実かはたまた推測か・・・。

入社誓約書提出後に内定辞退は出来るか?損害賠償請求は本当に出来るか?

2005年04月10日 16時16分12秒 | 就職活動
ある会社から採用内定をもらい誓約書を出してしまいましたが, その後, 第一志望の会社から採用内定通知が届きました。第一志望の会社に就職したいのですが, 誓約書を出してしまった後で採用内定を辞退することはできるのでしょうか?
 このような悩みをもたれる方は新卒・中途問わずに多いと思います。前回は企業側の内定取り消しを扱いましたので、今回は辞退についての回答です。
 結論から言うと、 内定者は自由に採用内定を辞退することができます。ただし, 著しく信義を欠く内定辞退については, 損害賠償責任を問われる可能性がありますので注意してください。
四年制大学の学生は3年生の秋から就職活動を始め, 翌年3月から5月に集中する選考を経て, 遅くとも7月頃までに採用内定をもらうのが一般的です。学生は複数の志望企業の採用試験を同時並行的に受けながら, 最終的には, 採用内定通知をもらった1社あるいは数社の内から, 1社に対して入社の誓約書を提出することになります。しかし, このような就職活動においては, 学生は, 本命企業の結果が出る前に他社からの採用内定にレスポンスしなければなりませんし, 一方, 企業にとっては, 採用活動に多額の費用を費やして学生を獲得したのに電話やメールだけで採用内定を辞退されてしまうという, 双方にとって悩ましい問題がついてまわります。「誓約書提出後の採用内定辞退」がここでの問題です。

 この問題を考える前提として, そもそも採用内定はどのような性格をもっているのでしょうか。前回もお話をしたように、採用内定は法的には, 「始期付解約権留保付労働契約」であると解されています(大日本印刷事件・最高裁第2小法廷昭54.7.20判決・最高裁判所民事裁判例集33巻5号582頁, 労働判例323号19頁)。これは, 採用内定によって会社と学生に労働契約が成立するものの, 労働契約の現実の開始時期は翌年の4月であるため, その間は互いに解除(内定取消し・内定辞退)をすることは可能であるというものです。中途採用者はこの限りではありませんので、様々な法解釈が存在します。

 すなわち, 会社に誓約書を提出することによって労働契約が成立しますので, 内定を辞退することは辞職, つまり労働契約の解約となります。企業側が労働者に内定取り消しをするためには、きちんとした法律上の手続きが必要です。しかし、労働者からの労働契約の解約には, 合理的な事由は必要ありませんが, 民法627条は, 期間の定めのない労働契約の解約には2週間の予告期間が必要であるとしています。したがって, 学生は2週間前に内定を辞退する意思表示をすれば, 法的な責任を問われることはありません。反対に, 何らの内定辞退の意思表示もせずに入社日に出社しないという場合には, 使用者側から損害賠償を請求されることも考えられますので, 適切な時期に意思表示すべきでしょう。中途入社の場合も入社予定日の2週間前には意思表示を終えていないと話になりません。
 問題は大手企業はこうした常識に従って手続きをしてくれますが、中小企業はそうはいきません。トラブルになる前に、誠意をもって対応をしましょう。もめるようでしたら、きちんと弁護士に相談をすべきです。最近は訴訟の増加で気軽に弁護士事務所でも法律相談にのってもらえます。だいたい、1時間10000円から20000円が相場です。

1 コメント

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突然失礼します。 (sugi)
2005-04-11 04:31:45
現在就職活動中の大学4年生の男です。

素朴に感じていた事や、驚かされる事ばっかりですね。

今食品メーカーの内定をもらっているのですが、そこには行くつもりはなく、証券会社に行ければと思っています。本命は航空なのですが目のトラブルによって少し自信がないので…

断わる時は適当に電話で言ってもいいと思ってましたが、それは間違いのようですね。ありがとうございます!これで訴訟は免れましたw

もしよければ私のブログを覗いてみてください!

それでは失礼します!