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桐野夏生の『女神記』を読みました。

2012-09-30 11:47:29 | 読書(か)

桐野夏生の『女神記』を読みました。

  

久しぶりの桐野夏生さんの未読本です。
桐野さん、かなり大物になってしまったのは良いのですが、なかなか新刊が出ないのと、
新刊が出てもなかなか百円で出てこないのが難ですね。
まぁどこも面白いから、人気があるのもしょうがないですけどね。

遥か昔の遥か南の島に巫女の家に生まれた娘が、いろいろな経緯を経て、黄泉の国で
イザナミの侍女になって過ごすという話です。

イザナミとは、あの古事記に出てくるイザナギとイザナミの、イザナミです。
というわけで、オンナという性がどれだけ虐げられているのか?それでも
オトコとオンナが存在することは不可欠であるとはアタマでは分かってはいるのですが、
それでも本当に必要なのか?という問いかけが絶え間なく行われております。

主人公の娘は、差別を受けている家のオトコに恋をしたため、禁忌を破って、大巫女
だけに与えられる食事を与え、闇の巫女に就任した後は自分の身体を与え、二人で逃げた
ときに出産した娘までも奪われ、最後にはオトコに殺されて黄泉の国に行くことになります。

一方オトコはというと、生まれた娘を自分の母親が生んだことにして、差別を解消し、
更に大巫女である娘の姉と結婚して、幸せな生活を送ることになります。

一方イザナミは、神話通り、国土や様々な神々を生んだ後、最後に火の神を生んだことで
局部に大火傷を負ったことが原因で亡くなってしまいます。

その結果黄泉の国に行くことになってしまいますが、イザナミを忘れられないイザナギは
イザナミを取り戻そうと、黄泉の国に赴くのですが、最後の最後で約束を破ってイザナミを
見てしまい、逃げ出してしまいます。
そして黄泉の国と現世との間に大岩を置いて出て来れないようにした挙句、イザナミとの
絶縁を宣言します。

その後イザナギは、イザナミ抜きで次々に神々を生み出し続け、最後にはアマテラスを
生むに至ります。

その後、人間界に降りて、不老不死の存在として、人間界の女性たちに次々と子供を
生ませ続けます。

イザナミは離縁されるとき『毎日千人の人間を殺す』と宣言したのですが、それに対して
『毎日千五百人の人間を産ませる』と、イザナギは宣言しております。
約束通り、イザナミは毎日千人の人間を殺し続け、イザナギはその記憶を失っている
のですが、次々に美しい娘たちに子供を産ませ続けます。

かなりドロドロとした話となっております。
でもイザナミと主人公の娘では全く迫力が違います。
イザナミの一番の苦しみは『女神であること』と即答するように、毎日千人を殺さなければ
ならない定めを持っておりますが、一方娘は自分の復讐を成し遂げただけで、心が折れて
しまいます。

それでもイザナミは黄泉の国で女神として存在し続け、娘は侍女として存在し続けます。
イザナギは無事、消滅することが出来たのにも関わらず、依然として女神なのです。

黄泉の国に、このような方々が存在しているって考えただけで、なんか死んだ後も怖いなぁ
と思ってしまうのは私だけでしょうか??

それが永遠に変わらず、存在し続けると考えると…。
読後に、非常に怖くなってしまいました。。。


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