お酒と読書とマンガと美味いモノ

好きなモノを好きなときに書いてみようと思います。ver.2

有川浩の『もうひとつのシアター!』を読みました。

2015-06-28 15:20:30 | 読書(あ)

有川浩の『もうひとつのシアター!』を読みました。

   有川浩脚本集 もう一つのシアター! (メディアワークス文庫)の詳細を見る

続けて読んでしまいました。
いつもは続けないのですが、今回は…。

というわけで『もうひとつのシアター』です。
この作品は実際の芝居の台本とト書きです。
シアターを書くために有川さんが取材したのが縁で、シアターの芝居を実際に
演る劇団に、有川さんが台本を書きおろしたモノです。

で、実際に役者が演じるときに、その役者によって付け加えられたセリフや
変更が加えられたセリフをト書きにして追記したものですので、結構臨場感の
ある『作品』に仕上がっております。

でも、これだけ動きが少なくて、更に『劇中劇』なんてモノのある作品を、
良く演じられたなぁ~と感心してしまいます。
特に『劇中劇』なんて、無茶苦茶難しいですからねぇ~。
セットもかなり限られてるし…。

やっぱり頭のなかで、会話を繰り返しているからか、台本の形式になっても
全く違和感がなく物語を進行させていっているのは、ホントさすがだなぁ~
なのでした。

キャラの立ち方も小説とそん色ないし、ストーリーの流れも違和感がありません。

それよりも本編でさらっと流されてしまったエピソードが挿入されていて、
ホント読んでて心地良かったです。

ただ、脚本という縛りがあるせいか、物語の構成が少し甘かったかな?とも思って
しまうのでした。
まぁ慣れない形態での表現だからしょうがないんですけどね。
出来ればもう少し突っ込んだ物語になって欲しかったというのは欲張りですかね?

それにしても、シアター3が楽しみです。


有川浩の『シアター2』を読みました。

2015-06-28 14:59:19 | 読書(あ)

有川浩の『シアター2』を読みました。

   シアター!〈2〉 (メディアワークス文庫)の詳細を見る

人気作品シアターに第二弾です。
やっぱり面白いなぁ~、なのでした。

貧乏劇団が溜まりに溜まった借金三百万円を、二年以内に劇団の収益で
返済しないと解散になる!という条件で兄に借りて奮闘する話です。

この人は相変わらずキャラクター造りが卓越しておりますね。

描かれている文字の数十倍、数百倍の会話が作者のなかでなされていて、
そこから厳選された会話を文字として世に出しているというところかな?
なのでした。

だからキャラクターがしっかり立っていて、どんな場面でも自然に流れていきます。
エピソード自体もしっかりと構成されていて、読んでて心地良くかんじます。
出す作品、出す作品がベストセラーになるっていうのも良くわかるなぁ~、です。

今回はまだ期限までたどり着いておりません。
次回作、もしくはその次がラストになるかな?なのでした。

どんなラストになるのか楽しみだなぁ~、です。

ちょっと思い浮かんだのが、期限いっぱいの公演で、ギリギリ三百万円に足りない
ってコトになるんだけど、そこで兄貴が立ち上がるか、もしくは劇団に世話になった
過去の登場人物が出てきて、ってなるのかな?と思ってしまうのは少し安いかな?

どちらにしても、是非是非最後まで楽しみたいです♪


乃南アサの『地のはてから』上下巻を読みました。

2015-06-28 14:57:30 | 読書(な)

乃南アサの『地のはてから』上下巻を読みました。

  地のはてから(上) (講談社文庫)の詳細を見る 地のはてから(下) (講談社文庫)の詳細を見る

前に読んでたヤツの感想の前に出張中に読み終わった作品の感想を書きます。
今回の出張はまず大連に入って、そこから上海に飛行機で移動です。

この中国国内線、特に大連発の便が評判が悪いのです。
なぜ評判が悪いかというと、定時運行が出来ないのです。
つまりいつも遅れる。
今回も時間にあわせて搭乗口に行ったら、案の定遅れておりました。

19:10発のフライトだったので搭乗時間は18:40。
でも搭乗時間が30分くらい遅れ、でも搭乗して全員が乗ったのにも関わらず、
全く飛行機は動き出さない。
で、一時間以上乗客を乗せたまま止まっており、大体二時間遅れでフライトして、
上海に着いたのは11時くらいになってしまっておりました。

で、大連-上海で到着するのは市内に近い虹橋空港ではなく、遠い浦東空港なので、
タクシーで約一時間かけてようやく市内のホテルに到着。
というコトで、日付が変わったくらいにホテルにチェックインというコトになりました。

なモンで、その間仕事でも、と思ったのですが、何故かバッテリーがきれてしまって
おり、読書するしかなかったというわけで、上下巻を読み終えてしまいました。

で、感想はというと、面白かったです!

この作品は『ニサッタ、ニサッタ』という作品に出てきたお祖母さんの半生を描いた
モノで、明治終わりから終戦後くらいまでの、お祖母さんが生まれてから旦那が
亡くなるくらいまでを描いております。

『ニサッタ、ニサッタ』ではかなり趣深いお祖母さんとして描かれておりましたが、
その半生はどうだったのか?に、作者もこころを魅かれたのでは?です。

福島の富農に生まれた父親と実家と縁の薄い母親。父親は家を出て東京に行き、
相場に失敗して実家にも迷惑をかけ、知床のウトロの近く(現在の距離感で)の
イワウベツに入植します。

当時の政府の出した甘言にのって入植した土地は、原生林に覆われ熊笹が生え茂る
とても人力で開拓出来るような土地ではありません。
更にそこをなんとか拓いたら、バッタが度々襲来し、入植者たちを飢えさせます。

そんな過酷な土地ながら、そこを故郷として育った主人公のとわは、アイヌの少年と
知り合い、いろいろなことを教わり、ただ父親の転落と母親の苦悩を見ながらも
すくすくと勝気に育っていきます。

父親の死、母親の再婚、口減らしのための奉公と奉公先の破たん、アイヌの少年との
再開、戦争、身近な人の死、結婚と、出産等々…。

所謂『激動の時代』を悪戦苦闘して乗り越えてきて発する一言、『生きていれば
なんとかなる』というとわ祖母ちゃんの言葉の重みがこの作品に詰まっております。

一時期住んでいた北海道。
でも知床には何回かしか行ったコトはありません。
札幌に住んでおりましたが、冬の寒さと雪はかなり難儀しました。
今の時代でそうなのですから、開拓時代の知床といったら、なんでこんな場所に
人間が住んでいられるのか不思議なほどです。

でもそんな環境のなかでも、必死に生きていこうとする姿と、その後の生き抜いた
姿というのは、本当に人間の凄味を感じられると思います。

そんな姿を上手く描写してくれる乃南さんは、やっぱり凄い作家さんだなぁと
思ってしまうのでした。

思わずさくっと読了してしまいましたが、今度もう一回、じっくりと読んでみたいなぁ
と思える作品でした。


池井戸潤の『オレたち花のバブル組』を読みました。

2015-06-27 14:09:32 | 読書(あ)

池井戸潤の『オレたち花のバブル組』を読みました。

  オレたち花のバブル組 (文春文庫)の詳細を見る

あの半澤直樹の第二作目です。
テレビドラマでは同じのにまとめられていたようですが、観てないので分りません。

まぁ構成もストーリー展開も文体も良く、人気が出るのも分りますね。
私もイッキに読んでしまいました。

企業モノはいかに企業が上手く描けているのかが鍵になりますが、ここでも銀行という
組織が上手く描けているのかなぁ?と思う反面、仕事ってそんなにドラマチックじゃ
ねぇよ!とも思ってしまうのでした。

でも悪役の描き方が分りやすいというか定型的というか、これでいいんかよ?ですね。
悪役にも感情移入出来るようにしておけば、もっといいのにと思ってしまいます。

あれだけ文字数使ってるんだから、完全に捨てキャラにしちゃうのももったいないかと
思うんですよねぇ~。

まぁ楽しく読めたからOKか、なのでした。

でもここまで人気があるけど、そこまでは好きじゃないかな?なのでした。

このシリーズ、まだ次の作品出てるんですよね。
文庫本になって安く出たら読もうかな?というところなのでした。


垣根亮平の『人生教習所』上下巻を読みました。

2015-06-27 13:50:04 | 読書(か)

垣根亮平の『人生教習所』上下巻を読みました。

人生教習所(上) (中公文庫)の詳細を見る  人生教習所(下) (中公文庫)の詳細を見る

垣根さんの作品ですが、これはハードボイルドでも冒険小説でもなく、
なんかPHPにでも連載されてそうな、『真面目な』小説でした。

引きこもりになってしまった東大生、足抜けしたヤクザ、人生を謳歌して定年退職した
元サラリーマン、打ち切りになって途方にくれるフリーラーター。
それぞれが主人公なのですが、彼らが著名な財界人の主催する、その後就職の紹介も
されるという、小笠原で開催されるセミナーに参加し、それぞれ新しい人生がひらける、
という話です。

垣根さんの小説なので、それはそれで、途中に裏があって何かどんでん返しが?!
と思ったのですが、全くそんな展開はなし。
真面目にセミナーの内容を辿り、その様子を各主人公たちの視点を交えながら描写
していくという、ホント、このセミナーに参加しているようなかんじになってしまう
小説なのでした。

前半は小笠原諸島父島での講義と、テスト。後半はテストで篩い分けられた人々による、
母島でのセミナー。特に小笠原諸島という辺境で、『国』に振り回される人々の体験談
を聴くことにより、自分のおかれている状況を客観的に眺めて再考する、という形に
なっているのでした。

マジメなのはいいのですが、『あれ?これだけなの??』という肩すかし感が満載です。

人生に関してそれぞれの経歴の人がそれぞれの経歴にあわせて考え、それをお互いの
行動で話し合うということは面白いのですが、そういうのを求めてるわけでもない
んだけどなぁ~、なのです。

垣根さんの作品ってコトで、冒険小説系を期待していたのは事実ですが、作家さんには
作風を変えるってときもあるのも理解しております。
ただ、こういうPHPの教養書のように変えてしまうというのは、なんだかなぁ~と思って
しまうのでした。

まぁ文体は変わっておらず、キャラ作りもまぁまぁかな?なので、ちょっとストーリー
展開を考えれば、もう少し良くなったんじゃないのかなぁ~、なのでした。

でも、こういう作品が続くのであれば、今までみたいに未読を見つけたら即ゲット、
の対象にはならないだろうな、なのでした。