実践するリーダーシップと新しく創りだすリーダーシップ

職場や生活の場で実践する状況対応リーダーシップ、新しいリーダーシップを提案するリーダーシップ研究大学をご紹介します。

実現と創造のリーダーシップ研究会サイトのご案内

2008-04-06 | ◆レディネス研究会(R研)ラボ
実現と創造のリーダーシップ研究会サイトのご案内

リーダーシップ研究大学サイト内に、「実現と創造のリーダーシップ研究会」を開設しました。サイトへはこちらからどうぞ!


「12のリーダーシップ・ストーリー」2016年1月発売予定!


本R研ラボサイトを前身とした双方向コミュニケーション可能な研究会サイトに育てていきたいと思います。よろしくお願いします。

<ご案内>

1 自由な発言フォーラム
2 リーダーシップ用語集
3 論文・レポート発表の場
研究会参加者による自由な論文・レポート発表の場です。

S.L.地元勉強会アンケート結果 S.L.準指導員 池元 正美
A 社研修における「成長サイクルと退行サイクルの考察」  S.L.研究員 石井 和加子
状況対応リーダーシップが効果的な理由 S.L.主任研究員 桃井庸介
R3からR2への退行はあるか? について S.L.主任研究員 桃井 庸介
能力・意欲の相互影響システムの仕組みに関する考察 S.L.主任研究員 桃井 庸介
「確信(対自分)、確信(対他人)」についてのご質問について S.L.主任研究員 桃井庸介


R研ラボ:状況対応リーダーシップが効果的な理由

2008-02-05 | ◆レディネス研究会(R研)ラボ
R研ラボは、「実践するリーダーシップと新しく創りだすリーダーシップ」の実験室です。S.L.研究員、S.L.指導員、R研参加者、大学院履修生からのさまざまなアイディア、ご意見、質疑応答などを掲載していきます。


2007年11月 RSI S.L.主任研究員 桃井 庸介

  ポール・ハーシーは、スキルを職場や学校、家庭などの現実の活動の中で活用する技術、能力、知識と捉えていますが、現場で活用するには活用しやすいことが要求されます。そこで、ハーシー等はリーダー行動に最も関係のある(影響を及ぼす)フォロアーのレディネスと組み合わせたSLモデルを開発しました。

  リーダーシップを論じている論文の多くは、リーダーシップ・スタイルについての調査結果を分析し、まとめたものであり、活用の仕方について述べているものは少ないです。日本では、パフォーマンス(P)行動とメンテナンス(M)行動の2つの組み合わせでリーダーシップの型を論じた三隅二不二先生のPM理論が有名ですが、SLモデルがPM理論などの多くのリーダーシップ論と大きく異なるところは、どの状況でどのスタイル(どの事象のリーダー行動の組み合わせ)を使えば良いかが活用しやすいように示しているところです。そして、何よりシンプルで理解しやすく、使いやすいことが、最大の特長です。

  SLも指示的行動、協労的行動の2つの行動の組み合わせで4つの象限にリーダーシップ・スタイルをまとめ、診断表によりリーダー行動の傾向も診断しておりますが、タイプではなく、あくまでそのリーダーのリーダー行動の傾向を明確にすることで、リーダー行動の長所や改善点を見出すことを目的としています。

  ポール・ハーシーは、行動科学の展開(前出)で理論とモデルの違いを以下のように述べています。
   -理論は、なぜ物事がそのようになるのか、を説明しようとするものである。したがって、物事の再現や繰り返しを意図するものではない。他方、モデルは、既存の事象の生起のパターンを示すものであり。これは学習や再現、繰り返しが可能である。
  (中略)
状況対応リーダーシップは、モデルであって、理論ではない。状況対応リーダーシップの考え方、手順手続き、実際、結果などのすべてが、証明済みの、実際的で、適用可能な、方法論に裏付けられているのである。

  ポール・ハーシーは、その言葉通りに、状況対応リーダーシップ・モデルを多くの人が現実の活動の場で学習、再現、繰り返しが出来るように、リーダー行動について多くの具体例を、映像事例、文書事例で示し、SLシミュレーター、映像演習、ロールプレイ演習など、多くの行動化演習のツールも開発しています。また、レディネス・スケールなど、現実の職場で適合したリーダーシップ・スタイルをとるために効果的なツールも開発しています。

  ハーシーの行動化を重視した考え方は状況対応リーダーシップ・モデル研修のコンテンツ、進め方の随所に反映されています。こうしたことが、状況対応リーダーシップ・モデルが数あるリーダーシップ研修の中にあって、長い期間に亘り、各方面からご支持を賜り、多くの職場の管理者のリーダーシップスキル向上への貢献を実現しているのです。

R研ラボ:R3からR2への退行はあるか? について

2008-02-05 | ◆レディネス研究会(R研)ラボ
R研ラボは、「実践するリーダーシップと新しく創りだすリーダーシップ」の実験室です。S.L.研究員、S.L.指導員、R研参加者、大学院履修生からのさまざまなアイディア、ご意見、質疑応答などを掲載していきます。


2007年11月 RSI S.L.主任研究員 桃井 庸介

 P.ハーシィは、退行サイクルでは、「まず意欲が低下し、少し遅れて能力が低下する」と行動科学の展開 新版(276ページ)で述べています。281ページの図では、意欲も能力も低下傾向だけで、意欲が途中で向上(つまりR2)することを示していません。そうしたことから、R3からさらに退行した場合は、R2ではなくR1へ一気に退行すると考えることで良いと思います。

 現実的にも、R3からR2への退行はイメージしにくいのではないでしょうか。R3からR1に一気に退行すると考えるのが自然だと思います。ただ、成長サイクルがR1 → R2 → R3 → R4となることから、退行サイクルもR4 → R3→ R2 →R1にこだわる参加者もいらっしゃるので、次のような解説を試みにするのはどうでしょうか。

 知識、経験も豊富でスキルも高いR4のフォロアーが、何等かの原因で仕事振りが低下した場合、知識、経験、スキルは保持したまま、意欲の低下により、発揮するスキル、パフォーマンスだけが低下します。この状況では、本人はまだやればできると思っていることでしょう。ただ、「やろうという気が起こらない、訳も分からず仕事の進捗が落ちている」「今日は気が乗らないから明日にしよう」が続いている状況も考えられます。

 R4のフォロアーは、すぐにR1にはならず、ほんの少しやる気が低下し、仕事の処理が少し遅くなる、あるいは、朝出社するのが少し遅くなる程度(つまりR3)ですが、時間の経過とともに目に余るようになる。つまり、仕事振りが目に余る程、低下(能力の低い状態)し、レディネスレベルはR2以下となってきます。
この時、意欲面の診断の行動指標によって、R2と診断するか、R1と診断するかになりますが、それはリーダーの主観です。行動指標によってはR2と診断できるかもしれません。例として、DVDビデオ映像のNO.46、ディヴィットの例を見てみましょう。

ディヴィットは在庫管理レポートを担当していますが、同僚のマーサが言うには、その在庫管理レポートの提出が3日も遅れています。発揮能力は、かなり低いと判断した方がよさそうです。でも、知識や経験は豊富で自分でもやれば出来ると思っている(つまり自信はある)ようです。

行動指標としては「今日はできないね、3時に帰るから」「それがイヤなら君がやれば」と言っているのが確認できます。この行動指標から「自信めいたものを感じている」、または「今日はできないね、と言っているだけで、言外に明日やるさと言っている」ともとれるので、まだ自分の仕事としてとらえているので関心はある。ただ、ここのところ少し動機が下がっているだけ、と診断して、能力低く、意欲はまだ高いR2と診断することもできます。

 このケースで、R4 → R3→ R2をどう整理するかですが。
 ディヴィットは、ちょっと前までは一人できちんと期日にレポートを提出していた、R4であった。
 が、何かの原因で少しやる気をなくしR3に退行した。
 R3でモタモタしているうちに、どんどん仕事振りが落ちてきた。
 本人は自覚しているが、いつしか仕事振りの低下を、強がり、空元気でごまかそうとするようになった。

「うるさいな、やればできるんだから」とふるまおうとするかもしれません。例えば「今日はできないね…」を「今日は3時に帰るからできないけど、大丈夫さ!明日にでもやるさ」という発言だったら意欲が高いと診断するかもしれません。R3の次にR2が来るという考えよりも、仕事振りの低下にどう対応するかが重要です。
ディヴィットのケースでの自信めいた発言は、成長サイクルの発言とは異なるかもしれません。P.ハーシィが言うように、退行サイクルでは成長サイクルのR2のような意欲の高さはあまり見られないと考えた方が、リーダーにとっては無難でしょう。

 なぜなら、レディネスの診断の目的は、「仕事振りの改善のためにどんなリーダー行動をとるか」にあります。同じスタイル、例えばS3、S2でも、成長サイクルと退行サイクルでは、その具体的な行動は異なります。

 私達は、学者ではなく実務家であり、P.ハーシィもそれを望んでいます。つまり退行サイクルの現象を科学的に証明することより、現実の職場で起こる仕事振りの低下に、いかに対応するかに関心を持つべきだと思います。

 そこで、S.L.の解説の場では、仕事振りの退行にできるだけ早く気づくことが大事であり、R4からR3に退行したと思ったらタイムリーに対応することが大事であり、放っておくとR1まで低下し、仕事振りの改善に相当のエネルギーが必要になると説明しています。

 現実的には、R3への対応でS3をとっている過程で、指示的行動の程度を高めなければいけないこともあるかもしれません。つまりS2をとることです。その時、一時的にフォロアーのレディネスがR2になり、もう一度、R2からR3へのレベルアップがはかられることもあるかもしれません。

********************
補足説明:

 レディネスの退行への対応目的は、仕事振りの悪化を元に戻すことです。そうした意味から、着目すべきは発揮スキルと言えます。意欲面は、その影響の要素になりますが、リーダーが注目すべきは仕事振りそのものです。

 R4からR3への状況では、フォロアーは、まだ自分で仕事を遂行するだけの能力面の高さはあると診断できるので、主に仕事振りの低下に影響を及ぼしている意欲面に働きかけ、低下した動機を高めることで、仕事振りを元に戻せるという考え方です。

しかし、それだけでは不十分と診断されれば、その過程で能力面への働きかけも強化しなければならないこともあります。つまり、指示的行動の程度を高めることです。S3とS2の違いは、低指示的か高指示的かです。高協労、低指示的のS3で対応し始め、その過程で指示的行動を高めることになります。つまり、S3からS2へとスタイルを変化させることになります。意欲面へも働きかけながら、能力面へも働きかけるスタイル(S2)が適合していれば、その時点でフォロアーは自信を取り戻し、やる気も出てくるでしょう。つまり、低能力、高意欲のR2と診断することができます。


R研ラボ:能力・意欲の相互影響システムの仕組みに関する考察

2007-09-29 | ◆レディネス研究会(R研)ラボ
R研ラボは、「実践するリーダーシップと新しく創りだすリーダーシップ」の実験室です。S.L.研究員、S.L.指導員、R研参加者、大学院履修生からのさまざまなアイディア、ご意見、質疑応答などを掲載していきます。


2007年9月 RSI S.L.主任研究員 桃井 庸介

【目的】
状況対応リーダーシップ®モデル(以下S.L.モデル)におけるレディネスの要素である「能力と意欲」は相互に影響しあうシステムと言われるが、その影響のメカニズムはどうなっているのだろうか。どのように影響しあうのだろうか、またその影響のし方は一律ではなく、人によって、その影響の度合いは「まちまち」である。どう影響し合っているのか、また「まちまち」とはどういうことなのかという疑問に答えることを目的に、能力と意欲の影響のメカニズムを考察する。

【意欲が能力に影響することについて】
意欲と能力が影響しあうことについて、多くのS.L.研修の場では、「好きこそものの上手なれ」という補足説明で参加者の理解は得られる。好きなことはやっていて楽しいし、好きな食べ物は強制されなくても自ら進んで食べる。また、食べ方も自分で工夫し、さらにおいしく食べようとしたりする。一方、嫌いなもの(食べる意欲の湧かない、人によっては、それを食べることが懲罰と感じるようなもの)を食べることには積極的にならない、見るのも嫌だと言う人もいる。その結果、その食べ物を食べようとしない(その課題に取り組もうとしない、あるいはいやいや取り組む)ので、いつまで経っても、それを食べられるようにはならない(つまり食べる能力は身につかない)。意欲が能力に影響することはこうした日常の現象からも容易に想像がつく。

S.L.モデルにおけるレディネスの能力の要素は、仕事や課題、作業についての知識、経験、技能(現に示しているスキル、取り組み方)である。食べるという課題であれば対象となる食物や、その食べ方に関する知識、経験、食べる技能(食べる行為そのもの、食べ方の上手、下手)となる。それらは行動や行為の結果として認識される。

人により取り組み方の違いはあるが、その課題に取り組むことで、程度の差はあるものの経験は積まれ、知識も蓄積される。技能とは現に行動している状態であり、どんなふうにやっているか、うまくやれているかどうかである。食べ物の例で言えば、何かのゲームでもない限り、食べている状況を観察すれば、その食べ物を喜んで、おいしそうに食べているかどうかを確認できる。つまり、やる気をもってその行動をとっているかどうかが分る。食べようとしていなければ、その原因はすぐに分らないまでも、食べたくなさそうだということが推測できる。さらに、その食べ方が上手かどうかも観察により明確になる。つまり、現に観察できる行動、行為から、対象のその課題に対する自信や関心、動機の度合いを診断することは可能である。

経験は、そもそもその課題に関する行動が起こらなければ蓄積できない。知識についてはそのものの行動をとらなくても、本や人から教えてもらうことや、他の人がやっているのを見ることで概念的な知識は得ることが出来る。ただ、それについても、覚えようという気持、興味がなければ読んだり、見たり聞いたりといった行動はとらないだろう。したがって、知識も蓄積はされない。逆に、その食べものが大好物であれば、食べたくなるし、よりおいしく食べさせてくれる店を探したり、自分でおいしい食べ方を工夫するだろう。その結果、その食べ物を食べることの経験は自然と豊富になり、その食材に関する知識や食べ方の知識も増えてくる。そして、何より、食べている姿はとてもうれしそうで、満足し、夢中で食べていて、その食べ方も上手である。(たとえば、魚好きな人が焼魚をきれいに食べるように)。

こうした例から、レディネスの要素の1つである意欲(自信、関心、動機)が行動を呼び起こし、その結果としてもう1つの要素である能力(知識、経験、技能)に影響することは容易に理解出来る。もちろん、人によって興味、関心の度合いは異なるし、行動への反映の程度も異なる。

【意欲と行動の関係について】
意欲と行動について、ハーシィは行動科学の展開の中で、クルト・レビンのB=f(P,E)の関数を使って説明している。Bは、個人の行動を表し、fは関数である。Pは人間であり、そしてEは環境である。ハーシィはこのEをS(状況)に変え、B=f(P, S)として状況と個人の内面が行動を決めるという関係を示そうとしている。ハーシィは、K.レビンの関係式について次のように説明している。(行動科学の展開-新版 p24)「B(行動)が、人間の内側の何ものか(P)と人間の「外側」の状況中のなにものか(S)の両方に原因することを示している。人間の内側のなにものかとは、動機、ないしニーズのことであり、個人の態度―個人の物事に対する感じ方に反映された人格や個人の行動傾向―として表される。PとSは、独立するものではなく、依存し合っている。人間は置かれた状況に影響され、状況は人間に影響される」。

Pが個人の態度であるということは、同じ状況でも異なる行動になることが考えられ、すなわち、意欲の行動への影響の度合いが人によってまちまちであることを示しているとも言える。つまり、その時の状況と個人の内面の関係の程度で、その結果としての行動の様子も変わる。何か、外からの刺激で自信を感じたりすることもあるが、同じ刺激でも自信にはつながらないこともある。たとえば、「お、いいじゃないか!」の一言で自信を持てる人もいれば、それだけでは自信を持てない人もいる。また、同じことが出来ても自信を持つ人と持てない人がいる。と言うように行動への影響はまちまちであるとしても、外界からの刺激を受けた意欲が行動に影響すること、つまり意欲が能力(行動の結果)に影響することは、このK.レビンの式から説明できる。

同じ刺激でも行動がまちまちになることについて、中尾弘之は「快の行動科学」の序論で、行動の枠組みにおける情報の流れを以下のように図示し、情報が行動に変換する過程を説明している。

情報→認識→動因→価値観→行動

中尾は、「人は刺激を認識し、動因が発生するが、そのまま行動に移るのではなく、その前の段階で、周囲の状況に合うような適当な行動を選択する過程がある。このときの選択の基準になるのが価値観である」と解説している。価値観は人それぞれである。価値観が違えば、選択される行動も違ってくる。意欲が行動に影響はするものの、その影響の程度は人によって異なることの説明と言えるだろう。

【能力が意欲へ影響することについて】
次に、能力が意欲に影響することを考えてみよう。研修の場では、「能力が上がれば、『私にも出来そうだ。やれば出来るかもしれない。もっとやってみよう』という気持になる」という解説や、「ちょっとした失敗から、いままで出来ていたことに自信をなくしてしまうこともある」という解説で、大方の参加者には、能力の上下が自信、関心、動機に影響することを感覚的に理解してもらえる。

特定課題の知識、経験、技能が意欲、つまり、自信や関心、動機にどう影響するのだろうか。知識や経験は、そのものが意欲に影響すると考えるよりも、それらがもたらす何らかの結果、状況の変化が意欲に影響を及ぼすと考えた方がよさそうである。たとえば、食べたことの無い食べ物を食べてみた(経験した)ら、まずかった(この食べ物はまずいという知識を得た)ので、もう食べたくない(マイナス動機)と思う。

そして、その思いは将来の行動に影響し(その食べ物を決して食べようとしなくなり)、結果として能力に影響する(知識、経験は増えず、食べられない)と説明できる。また、前出の好きな食べ物について能力が向上する例では、自ら進んで食べ、おいしい店を探し、食べ方を自分で工夫するようになる状況を考えたが、食べ方をいろいろ工夫したり、店を探すようになる過程で、何が対象者に起こっていたのかを説明することで、能力が意欲に影響することのメカニズムの解明につながる。たとえば、ある食べ物を食べて、おいしかった。その話を誰かにしたところ、「もっとおいしい店があるよ」と言われ、その店に行きたくなった(動機づけられた)。そこで、その店に行ってみた。言われたとおりおいしかった(知識、経験の蓄積)。それを他の人に話したところ、今度は「〇〇さんは、おいしいお店をよく知っていますね。すごいね」と言われた。すると、それに気を良くして(自信づけられ)、さらにおいしいお店を探すという行動が促進されるというように、1つの行動により起こった結果(状況の変化 S)が人間の内面(P)(意欲)に影響し、さらにその行動を促進させ、経験や知識が蓄積され、そのことに自信や関心を持ち、動機づけられると考えれば、能力が意欲に影響するメカニズムもK.レビンの式で説明できる。

K.レビンの式を連続的に展開することで、能力(行動の結果)と意欲の関係は以下のように整理することもできる。ある刺激(S)と人の内面(P)の作用から行動が決まり、その行動の結果、新たな刺激(S)が出現し、それにより人の内面(P)が影響を受け、新たな行動が生まれる。K.レビンの関係式が、その式のSの中にあると考えてもいいかもしれない。さらに、その式のSの中にまた、B=f(P, S)があるという関係である。

【状況、人間、行動、行為(成果)の因果関係】
ノーマン.R.F.メイヤーは、状況、人間、行動、行為という要素を因果関係モデルにはめ込み、次のように記している。(行動科学の展開-新版 p26)

S←→O→R→A

上記モデル図において、Sは状況、または刺激、Oは人間、または個体、Rは行動、Aは行為、または成果を意味する。メイヤーは、このモデル図を次のように解説している。

「行動を説明するには、S(状況)とO(人間)の説明を省くことは出来ない。これら2つの要素の相互作用が行動を引き起こすので、これらについての説明が先行せざるをえないのである。ちなみに、この相互作用の心理的産物をパーセプション(認識、または受け止め方)と呼んでいる。さて、相互作用の結果としての行動(R)は、個体とそれを取り巻く世界との関係に変化をもたらす。この行動を通じて達成された変化が成果(A)である。成果には望ましいものもあれば、望ましくないものもある。どちらであっても、成果は状況(または、刺激)に変化をもたらし、他の人たちにも影響を及ぼすのである。」(行動科学の展開-新版 p27)
メイヤーのS←→O→R→Aもまた、S←→O→R→A→S←→O→R→Aと連続する。また、S←→O→RがK.レビンのB=f(P, S)に当たると考えられる。S.L.モデルは、成果が良い刺激となって行動を継続するなり、新しい行動を生み出し、それにより望ましい成果が出るように、メイヤーのモデルやK.レビンのB=f(P, S)のシステムを動かすことを目指していると言える。

【能力と意欲の影響システムにおけるキャタリスト(媒介者)】
S.L.モデルにおいて、能力が意欲に影響するシステムを動かす媒介変数として考えられるのがリーダー行動(影響行動)である。ちなみにリーダー行動とは、いわゆるリーダーの行動だけに限らず、当事者の周りにいる他者の反応(必ずしも直接自分に向けられた行動ではないものも含む)や自分自身の行動さえ対象となる。キャタリストとして他人の行動に影響を与えることは、対象となる人が取った行動を受けて、ある行動をとることで、その対象者の意欲に働きかけ、結果として対象者の行動に影響を及ぼすものなので、影響行動と呼んだ方がしっくりくる。現に、CLS社では、最近リーダー行動を影響行動と呼び始めている。

能力が意欲に影響するには、行動の結果(状況の変化)が大きく関与していると考えられる。行動の後の環境変化によって生起頻度が変化する学習性の行動(オペラント行動)について、ソーンダイクは、「個体は、その行動の結果起こる状況の変化が、自分にとって好ましい状況であれば、その行動を継続する」と説明している。また、スキナーは、その環境変化がその個体にとって好ましい状況かどうかは決めつけられないことから、「その環境変化によって、行動が増加、継続すれば、その環境変化は個体にとって好ましい環境変化と考える方が無理がない」と発想を転換させた。いずれにしても、出現した環境変化が固体にとって好ましい状況であれば行動が増加するという考えには変わりはない。このように、行動の後に続く環境変化によりその行動を増加させることを強化とよび、好ましい環境の出現により行動が増加することを「正の強化」という。

レディネスの能力と意欲の関係を当てはめれば、フォロアーの行動(その結果得られた知識、経験)に対して、他の人の反応が、当該フォロアーにとって好ましいものであれば、その行動を継続する可能性が高まる。フォロアーの能力(行動の結果として知識、経験、現に示しているスキル、行為)に対してとるリーダーの行動やフォロアーを取り巻く人たちの反応など(環境の変化)がフォロアーの当該行動を強化(または弱化)するという考え方である。S.L.モデルでは、特に成長サイクルでこの「正の強化」が欠かせない。それは、意欲向上→能力向上→意欲向上→能力向上の関係をまわすことであり、K.レビンの式とメイヤーの因果連鎖図の実践に他ならない。能力が意欲に影響するメカニズムの中で、リーダーのとる正の強化が知識や経験、技能を意欲に影響させ、その行動を継続させることを可能にする。「お、いいじゃないか」や「〇〇さんは、おいしいお店をよく知っていますね。すごいね」、の一言で知識や経験が意味を持つようになり、意欲(自信、関心、動機)に影響を及ぼす。能力(行動)の結果について、正の強化(当人にとって好ましい状況の出現によりその行動を強化すること)で、その行動に自信をもったり、その行動を続けることが楽しくなったりする、つまり意欲に影響を及ぼすことになる。

ハーシィは、こうした仕組みの中で、人の行動をとらえ、正の強化になるような行動をとることをS.L.モデルで提唱している。もちろん、ハーシィも言っているように、唯一最良の行動はない。相手の行動を強化したいと思ったら、いろいろ試してみる以外にない。強化につながると思う行動、たとえば「お、いいじゃないか」の一言を試すことを繰り返すうちに精度も上がってくるはずである。

<参考文献>
行動科学の展開-新版 P.ハーシィ他著 山本成二 山本あづさ訳 生産性出版
状況対応リーダーシップ® ― 人を動かす技能と考え方 山本成二監修 CLS双書
行動の基礎 小野浩一著 倍風館
快の行動科学 中尾弘之 田代信雄著 朝倉書店

R研ラボ:「確信(対自分)、確信(対他人)」についてのご質問について

2007-09-29 | ◆レディネス研究会(R研)ラボ
R研ラボは、「実践するリーダーシップと新しく創りだすリーダーシップ」の実験室です。S.L.研究員、S.L.指導員、R研参加者、大学院履修生からのさまざまなアイディア、ご意見、質疑応答などを掲載していきます。


2007年9月 RSI社S.L.主任研究員 桃井庸介


まずは、日本語訳から整理しておきます。

対という言葉には、誰が相手かという意味を持たせています。ご存知のようにレディネスは課題別ですが、ある特定の仕事や課題、作業の遂行についての自信、確信をもたらす相手が自分か他人かということです。

スライド70の元になる考え方は、「行動科学の展開-新版」のp196~p197に書かれています。すなわち、『レディネスが低い状態では、リーダーが、何を、いつ、どこで、いかに、などをお膳立てし、指図していることを忘れてはならない。すなわち、リーダーが作業の進め方を決めている(Leader-directed=リーダー主導)のである。フォロアーのレディネス・レベルが高くなると、フォロアーは自ら作業遂行に責任をとって、作業の進め方を自分で決定する(Self-directed=本人主導)ようになる。このリーダー主導状態から本人主導的な自律的状態への移行が、適度の気遣いや不安に結びつくのである。』

上記の考え方から、以下のようなことが言えると思います。
1. R1~R2に移行する段階での、特定課題に対する確信は、他者が示してくれたやり方に対して、自信を持て、指示通りにできるようになったという確信と説明できます。
「対他人」を「対他人(分かりやく言えばリーダー)が示したやり方」と説明されても良いと思います。
もう少し付け加えれば、R1~R2の段階では、リーダーに言われたことだけやっていればよいレベルで、「言われたことに関しては、自信はあるぞ」というレベルなのだと思います。

2. R3~R4に移行する段階での、特定課題に対する確信は、自分で考えた、あるいは工夫した、自分のやり方に対して自信を持てること。つまりフォロアーが自分の問題として、自分の責任に基づき、その課題の遂行について自分ひとりでやり遂げる自信、確信と言えます。「今までは、リーダーの言うとおりにやってきたが、これからは、自分で責任を持って、さらに自分なりのやり方を考え、工夫してやっていかなければならない。リーダーの手を離れて自分なりのやり方でやるのは不安があるが、やっていこう」という思いから始まるが、徐々に、自分のやり方に自信を持てるようになり、ひとり立ちを確信できるようになるのだと思います。
という考え方で、同じように「対自分」を「対自分のやり方」という説明をされても良いと思います。

蛇足ですが、R2~R3への移行には、「自分の責任で」というフォロアーの意識がキーワードになります。それゆえ、能力は高いのに(一通りできるようになったのに)不安を覚えると言えます。

3. もう一つの見方は、期待に応えられているという確信です。
確信はレディネスの向上にとって大切な要素です。R1~R2おいては、フォロアーが「リーダーの期待に応えられているのだ」という思いを持つことが自信や確信につながると考えられます。その意味では、「確信(対他人)」は他人(リーダー)の期待に応えられたことによって得られる確信と理解することも可能です。
成長サイクルでは、フォロアーがこうした確信を持つことによって、その課題にさらに動機付けられ、自分の問題として、その課題に取り組むよう(R3、R4に向上すること)に働きかけることの考え方を示しています。

その一つが、褒章です。「リーダーはフォロアーがリーダーの期待に応えたらすぐに褒章すべきである」とハーシィは主張しています。

そうすることで、フォロアーは、「これでいいんだ。よし、リーダーの指示通りにできているんだ。期待通りにできているんだ」という確信を持つようになると言えます。つまり、「リーダーの期待にきちんと応えることができている」という確信を持てるのです。

同様に、「確信(対自分)」は自分が自分に期待することに対して応えられているかによって得られる確信と考えても良いと思います。
退行サイクルの場面で、「自分に自信がなくなった」という表現をする背景には、自分が考えていた自分への期待に応えられないと感じていることが考えられます。

私からの回答というか、私の考え方について述べさせていただきました。少しでもご参考になれば幸いです。

なお、成長サイクルと退行サイクルは、「カタリストとしてのリーダー」という新しい独立したプログラムとしてまもなく発表する予定です。
ちなみに、そのプログラムの指導手引きには、「他人とは、その課題の遂行に関してのフィードバックをくれる上司、同僚、顧客など・・・」と記述があります。特定課題の遂行に影響を及ぼす人を他人と称しています。そして、そうした他者からの支えや本人の努力を補ってくれることにより確信は得られるという解説があります。この解説は、上記の3.と同じです。

「リーダーや同僚は、その人に、なんとかこちらの期待するレベルになってほしいと思い、その人の課題遂行を支え(適切なフィードバックをし)、その努力を補う(必要な指示的行動と協労的行動をとる)ことで、課題遂行を動機付け、課題遂行レベルを上げようとします。その人はそうした行動を受けて、徐々にその課題の遂行レベルを上げながら、上司や同僚の期待に応えているという実感を得ることで、その課題遂行(上司や同僚の期待に対する)自信、確信を持つようになる」と理解できます。

「カタリストとしてのリーダー」については、S.L.指導員向けの勉強会を開催しようと思っております。その際には、ぜひご参加ください。
リーダーシップ、行動科学は奥が深いです。今後とも共に勉強していければ幸いです。貴重なご質問ありがとうございました。

行動科学アカデミー基礎科目のポイント(11)

2007-08-29 | ◆行動科学アカデミー基礎科目ポイントメモ
リーダーシップ研究大学修士課程入学資格取得講座
(短大、専門学校、大学中退の方など)

ACD502:行動科学とリーダーシップ研究Ⅱ(3単位) 第11章

課題1: 第6章~第11章の各章をそれぞれ1000字以内で、「履修者自身の言葉」でわかりやすく要約してください。
===============

各章の要約レポートでは、赤字で記された項目や考え方をヒントにまとめてください。各箇条書きの最初にある数字は、教材のページ番号です。ご質問はこちらからどうぞ。

第11章:建設的指導矯正
• 276.指導矯正は、必ずしも懲罰ではない。・・・建築的指導矯正は、前向きの成長の機会を提供する学習過程として意図されている。
• 277.レディネスの退行は、「強力競合因(High-strength competing responses)」とも呼ぶべき要因が状況の中に存在する場合に起こりやすい。
• 278.スタイルを一気にスタイル4に戻すことも可能であった。このことは育成サイクルと退行サイクルの根本的な違いを示している。退行サイクルでは、適切な働きかけが行われたら、リーダーは「プラス強化を使った連続的向上のプロセス」をとらないで、一挙に以前のスタイルに戻ることもできる。
• 退行サイクルでの処置は、一度に一象眼(一スタイル)ずつ取るべきである。すなわち、相手に委任して自由にやらせ、仕事振りが低下したら、参加的スタイルに移行し、問題の解決を支援してやる。
リーダーシップ・スタイルを急激に後退させることは、マネジャーがよくやる失敗である。これは、“任せておいて(相手が失敗するように仕向けて)、ガツンとやる”管理スタイルであるが、---こうしたやり方が、上下関係を阻害し、相手の成長、向上を妨げる。
• フォロアーがR2からR3に移行するにつれ、不安感は増大する。これは、フォロアーの『他律的行動の状態』から、『自律的行動の状態』への移行を示している。
• 281.短期的な仕事振りの悪化は、たいてい意欲の問題にある。対象個人や集団の能力が、大きく悪化したわけではなく、問題は能力の“使い方”であり、それが仕事振りの悪化を招いたのである。これは、動機づけの問題であり、能力の問題ではない。
• 282.部下指導矯正上の注意事項
①タイミングの良い働きかけ
②感情レベルの制御
状況対応リーダーシップを理解する上での障害は、「教示的スタイル」を、声を荒げ、怒ることだ、と思い込むことである。
③仕事振りに注目
人柄を攻撃するな-仕事振りに着目せよ
④特定化せよ。準備を忘れるな。
⑤人前を避けよ
人前では褒め、問題の解決は個人的に行う
• 286.懲罰は「してはならないこと」を示しても、「しなければならないこと」は示さないという点である。・・・懲罰は、好ましくない行動を短い間は抑制するが、長続きしない
• 懲罰の後では、指示する必要がある。ひとたび懲罰が行われたらリーダーは望ましくない行動に代わる新しい行動を示さねばならない。そうして初めて、プラスの強化が有効に働き、新しい行動の定着が促進されるのである。
• 懲罰は行動を抑制するに過ぎないが、消去は行動を消滅させる
• 287.人間は、プラス(正の)強化につながらなければ、その行動を継続して行う事はない。
• 消去は、好ましくない行動の除去に役立つが、消去を無目的には使うべきではない。
• 子供が悪いことをしているときだけ注意を向ける親は、知らずに子供の行動を消去していることがある。子供がちゃんと行動しているのに、その行動に注意を向けなかったり向けても大きな関心でなかったりすると、その行動を消去しているのと同じになる。
• 288.「要するに、何を強化し、また強化していないのかが、リーダーにはわかりようがない」のだから、リーダーは行動の前に熟慮すべきだと言うことである。特に、懲罰と消去を使う場合はそうである。
• しかし、望ましい行動の強化に先立って行う不適当な行動の“解凍”には、懲罰や消去が役立つ。懲罰と消去の活用に当たっては、修正の対象となる行動を明確にし、それを何らかの方法で相手(たち)に知らせておかねばならない。いつ懲罰し、いつ無視(強化を控えて消去)するか、をきめるには、リーダーとしては、『望ましくない行動がとられ始め、どれくらいの期間になるのか』を知らなければならない。もし、その行動が最近とられ始めたものであれば、行動無視(消去)は成功するかもしれないし、相手はその不適切な行動をやめるかもしれない。しかし、その行動がある期間とられ続けてきているものであれば、代わりになる望ましい行動が正の強化の活動を通じて安定化するまで、何らかの懲罰を加えてその行動を抑制する必要があるかもしれない。
• 293.『積極的指導矯正』(Positive Discipline)
• エリック・L.ハービィ(Eric L. Harvey)が考えた従業員指導矯正のためのこのアプローチは、簡単で直截的な3つのステップから成っている。
①口頭で、従業員に注意する。
②文書で、従業員に注意する。
③ステップ①~②が功を奏さなかったら、1日の有給休暇を与える。
• 建設的指導矯正の狙いは、問題の解決を懲罰的な体験と捉えず、これを成長の機会として積極的に捉えるところにある。

新入社員関連プログラム

2007-08-29 | ◆新入社員関連プログラム
新入社員対応のリーダーシップ基礎プログラム
新入社員S.L.セルフ・ワークショップ

新入社員とは・・・初めて業務を担当する社員です。
担当業務に対してレディネス1*の社員と状況対応リーダーシップ®ではとらえます。

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できない部下、頼りない上司と非難するのはカンタンです。
できない部下にも頼りない上司にも、能力や意欲があります。それを引き出してみませんか?
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新人を成長させる! レディネスに応じてコーチングします。
新人の問題に対応できる! レディネスに応じてコミュニケーションをとります。
新人を辞めさせない! コーチングとコミュニケーションを通して、信頼関係を築きます。



*出張研修も承ります。
*S.L.コーチ・プランでは、カスタムメイドの育成計画のご相談を承ります。

*レディネス(readiness):能力と意欲の総称。低レディネス(R1)~高レディネス(R4)の4段階があります。
*S.L.は状況対応リーダーシップ(Situational Leadership)の略です。
*状況対応リーダーシップは株式会社シーエルエスの登録商標です。
*状況対応リーダーシップに関するお問い合わせは、RSI社までどうぞ!

ビジネススキルとしての博士号

2007-08-29 | ◆ビジネススキルとしての博士号
リーダーシップ研究大学からのご挨拶

 約25年前に、状況対応リーダーシップ(S.L.)事業は、有限会社シーエルエスとしてスタートし、約10年前に株式会社シーエルエスに改組し、さらに3年前にRSI社に国内事業を託しまして、現在、わたしたちは新たな試み、状況対応リーダーシップの発祥地である米国カリフォルニア州にてリーダーシップ研究大学(大学院)の設立・運営に奮闘しております。現在は、約2年間の申請書類準備を終え、昨年9月にようやく仮認定を受けまして、今年1月から正式に運営を始めました。後は、ちゃんと申請どおりに運営されているかどうかの審査を経て最終認定を待つばかりとなっています。

 大学院の活動は、主に大学院教育と出版をメインとした研修活動の2本立てです。

 わたしたちが行おうとしている活動は、偉い人や強い人というようなトップ・リーダーシップやカリスマ・リーダーシップではなく、普通の人が普通に楽しく生きがいを持って生きられるリーダーシップを研究し、具体的にどんな提案ができるかを研究することです。大学院講座では、もちろん偉い人や強い人のリーダーシップも学習しますし、昔から研究されてきたさまざまなリーダーシップ論や関連領域の理論を研究します。

そういった基本を踏まえて、「では、わたしたちは何を提案できるか?」という独自の視点で、自分の主張を展開していただきます。最終的には、その主張を「出版に堪える読み物としての論文」として仕上げていただき、修士論文や博士論文として発表していただくことになります。最近はインターネットが大変普及しておりますので、出版はそんなに難しいことではなくなりました。自分の主張を世に問うチャンスはいくらでもあります。もちろん大学院を通しての出版もできます。

 また、わたしたちの大学院では、もうひとつ「ビジネススキルとしての学位」という発想があります。最近はMBAも増えてきているので、修士号はそれほどでもありませんが、博士号については、研究職に限られた学位ととらえていらっしゃる方も多いのではないでしょうか? しかし、リーダーシップ論や組織行動論、あるいは経営学の分野で、研究職に限られた博士号にどれだけの意味があるでしょうか?

 こういった分野では、フィールドに出て研究されている学者の方々も大変多いです。つまり、人間行動や組織行動を研究する場合、実際の人間や組織や社会からかけ離れることは、あまり意味がないと感じます。リーダーシップ研究の博士号は、実際に現場で体験し、学位を取った後も、その専門能力や専門資格を十分に活かせる方々が取得することこそ、意味のあることだと思います。

 20年、10年とおつきあいのあるS.L.指導員の方々、またR研に足を運んでくださった方々、リーダーシップにご関心のある方々、ぜひ、今の日本で「普通の人が普通に楽しく生きがいを持って生きられるリーダーシップ」の具体案を研究していただき、世に発表してください。今、疲れている日本人、いじめられて暗くなっている日本人、社会に出られない日本人などなど、なんとかしなくちゃいけない状態があると思います。ぜひ、行動科学や状況対応リーダーシップを使って、企業の上司部下の関係だけではなく、教育現場や普通の生活の場など、普通の人間関係にも活用できる方法論を開拓しませんか?また新たなリーダーシップ論を展開していく仲間を作り、その動きを広げていきませんか? 今の日本にとって意味のある動きではないでしょうか?

 ご賛同いただける方、ぜひとも下記の活動にご参加よろしくお願いいたします。すべて無料です。

新しいリーダーシップを考えましょう!」コミュニティ
★ニフティのビジネスSNSにコミュニティを作りました。リーダーシップに関することなら、なんでも書けます。ビジネス視点でいいので、かえって書きやすいです。

リーダーシップ検索ライブラリー
★リーダーシップ専門の検索エンジンの開発です。役立つリーダーシップ関連サイトをご紹介お願いします。

行動科学のリーダーシップ質問掲示板
★行動科学や状況対応リーダーシップに関するコメントやご質問を受け付けております。

また、大学院の近況などをご報告させていただきます。
外国での新規事業立ち上げは、なかなか一筋縄ではいかないことがたくさんあります(^^)
よろしくお願いします。


リーダーシップ研究大学
CLS University
8880 Rio San Diego Drive, 8th Floor,
San Diego, CA 92108
Phone: 619-209-6150
事務局:uls-admin@mbr.nifty.com
提出用:uls-submit@mbr.nifty.com

大学院サイト

大学院講座

大学院サービス

大学院事務局便り(ブログ)


S.L.360オンライン診断

2007-08-23 | ◆S.L.オンライン診断
S.L.360オンライン診断とは:

状況対応リーダーシップ®に基づいて、リーダーの周囲の人たち、たとえば部下、同僚、上司など360度周りにいる人たちが、リーダーのリーダーシップ・スタイルをオンラインのアンケート調査で診断することです。匿名のアンケート調査なので、原則としてリーダーは誰が診断したのかはわからないことになります。

この診断では、リーダーシップ・スタイルの一般的傾向を診断するので、職場におけるリーダーシップを知ることによって、他の場、たとえばサークル活動や親子関係などでリーダーシップの傾向も知ることもできます。

【入力画面】


通常、360°診断といいますと、診断して結果レポートを見るという流れだと思いますが・・・
行動科学に基づく状況対応リーダーシップの360診断は、単なる診断だけでは終わりません! 行動に結びつけます!

S.L.360フィードバック分析とは:

状況対応リーダーシップ®の16セル・モデル(S.L.リーダー行動モデル)を用いて、リーダー行動の調整や軌道修正を行います。

ご存知のように、状況対応リーダーシップ®・モデルには、教示的、説得的、参加的、委任的という4つのリーダーシップ・スタイルがあり、それぞれS1、S2、S3、S4と表示されます(縦軸)。また、相手のレディネス(能力と意欲)はRで表示され、それぞれR1、R2、R3、R4と表示されます(横軸)。それらのすべての組み合わせで、16組のリーダーシップとレディネスの組み合わせができます。

これら16の組み合わせのうち、リーダーシップとレディネスが適合する組み合わせは、つまり相手のレディネスにあったリーダーシップ・スタイルは、4つしかありません。赤く示されている組み合わせだけです。残りの12組の灰色の部分は、程度の差はあっても、「不適合」なリーダーシップということになります。

リーダーシップを発揮している場は、どの人もひとつだけではないですから、効果的にやりたいという場合、そういったいろいろな場でのリーダーシップが適合しているのか、あるいは不適合なのか、をチェックする必要があります。

S.L.360フィードバック分析では、まずオンライン診断でリーダーのスタイルを360°診断します。その結果に基づいて、現在のリーダーのスタイルがどこにあるのかを見つけます。次にすべきことは・・・もし不適合なら、適合するように、リーダーの行動を調整する必要があります。




リーダー行動の調整とは:

この16セルには、相手のレディネス(能力と意欲)にあった最適リーダー行動と、あっていない不適切なリーダー行動が示されています。現在のリーダー行動がどのセルにあるのかを、S.L.360オンライン診断で見つけ出し、不適切なリーダー行動があれば、指示や支援の量を調整して、適切なリーダー行動に近づけます。

こういった学習を体験を通して行うのがS.L.360フィードバック分析ワークショップです。無料体験会をやっています。次回は11月第一土曜日の予定です。

*S.L.は状況対応リーダーシップ(Situational Leadership)の略です。
*状況対応リーダーシップは株式会社シーエルエスの登録商標です。
*状況対応リーダーシップに関するお問い合わせは、RSI社までどうぞ!


レディネス研究会(R研)活動

2007-08-12 | ◆無料体験会・勉強会
レディネス研究会とは、11年前に「状況対応リーダーシップについて自由な発想で、新しい考えややり方を提案したり、研修ツールを紹介しあったり、日頃疑問に感じていることなどを語り合う無料の会合」として始まりました。自由や無料ということから、土曜日の午後4時間ほど、多くの人が集まりやすい都心で開かれています。

S.L.研究員やS.L.指導員たちの勉強会は、専門的な資料を必要とすることも多く、鎌倉オフィスの会議室で開催されることが多いですが、R研ではより多くの「S.L.初心者」や「初めて参加される方」からの新鮮なインプットをいただきたいということから、できるだけみなさんが参加しやすい条件で開催するようにしています。

新幹線から降りたらすぐに寄れるということで、地方からのご参加者も大勢いらっしゃいましたが、数年前から東京や横浜以外でも開催するチャンスを狙っています。今までに関西地方で2度ほど開催しました。「ここでも開催してほしい」というお声をたくさん聞かせていただければ、ぜひ開催させていただきたいと思っていますので、ご連絡をお願いいたします。

さて、レディネス研究会(R研)では、次のような活動を行っています。
すべて参加無料、初心者大歓迎です。

 R研会合
RSI社では、年3回ほど「状況対応リーダーシップ®」をもとにして、さまざまな視点から、さまざまな人々が、さまざまなツールを使って体験したり、語り合ったり、新しい発見をしたり、という勉強会・体験会を東京や横浜で開催しています。初心者の方々のフレッシュなご意見やコメントから新たな発見があり、毎回知的な刺激を高めてくれています。リーダーシップ研究大学の無料説明会も行っています。

・ R研フォーラム
毎週一回程度、R研会合、公開ワークショップ、新刊出版物、リーダーシップ研究大学などのお知らせをメールにて配信しています。

R研フォーラム(ブログ)
R研会合やR研ラボで「発見」されたおもしろいリーダーシップやフレッシュなご意見やコメントをご案内していきます。

R研ラボ
年3回開催のR研会合だけでは、語りつくせないことや、掘り下げきれないことなどをグループメールを使ってディスカッションしていきます。

R研会合では、遠方の方はなかなか参加しにくいということもあるかと思います。しかし、インターネットを使えば、世界のどこにいても話し合うことができます。また、わたしたちの活動に新たにリーダーシップ研究大学の活動が加わりました。リーダーシップに関して、実務と研究の両面から社会貢献していきたいと思っています。今後は、グループメールだけではなく、いろいろな方法でR研活動を広げていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

R研ラボバックナンバー