(確率論的リスク評価を真剣に採用するなら、川内原発は決して再稼働できない)の続き です。
伊方原発の確率論的リスク評価をするなら・・・。
四国は、今後30年に70%以上の確率で南海地震に遭遇することになります。これから30年間動かしかねない伊方原発3号機ですから、運転中に遭遇する確率は0.7。
その遭遇する南海地震が最大規模の南海トラフ巨大地震である確率は、2000年間に1回とすれば通常の南海地震の間隔が100~150年に1回ですから、1/20~3/40でしょう。
両者を掛け合わせて、0.7/20=0.035つまり3.5%から、0.7×3/40=0.0525つまり5.25%の確率で、外部電源喪失が5ヶ月続く事象が起こる、と想定して、はたして100万年に一回の大規模汚染事故という規制委員会の安全目標数値を満足できるでしょうか?
ディーゼルの起動失敗により外部電源喪失から全交流電源喪失(10条通報事象!)に進む確率が60%という数値も他原発(関電大飯原発)では言われています。
以上の想定元はこちら。↓
原発さよなら四国ネットワーク通信より、またまた南海トラフ巨大地震問題
・・・電中研の原子力リスク研究センターさんは、モデルケースを伊方3号機に設定したことで、とんでもない貧乏くじを引いたのではありませんか???
1月14日にありました山口彰氏の伊方町生涯学習センターでの「原子力防災」の講演会の前に、原発さよなら四国ネットワークのリーフレット配りをしながら、以下のようなメッセージをモバイルスピーカーから流し続けていました。(←音声リンク)
「 伊方町民のみなさん、お隣の町から今日の講演を聞きに来られた皆さん、しばらくの間お騒がせいたします。 松山からまいりました原発さよなら四国ネットワークの小倉といいます。
今日、生涯学習センターでの講演会では、阪大の山口先生が一般的な原子力防災について話されるということですが、先に私たちの側からみた伊方原発の防災の問題点をお伝えしたいと思います。
お配りしてますリーフレットの中にも書きましたが、まず、南海トラフ巨大地震への備えが愛媛ではできていません。原発とこの地震との複合災害を想定できていないのです。
伊方原発へ到達する津波の高さのことは検討されています。想定地震の加速度の評価もされています。しかし、南海トラフ巨大地震では、四国4県の他の火力発電所が全て、津波で被災し、5ヶ月から8ヶ月という長期間、四国は広域停電、ブラックアウトになるという試算が出ているのです。
この研究は新しいもので、元々、政府の南海トラフ巨大地震のワーキンググループの主査をされていた河田恵昭教授が、関西大学の紀要論文で発表したものです。
看板にも書きました。「南海トラフ巨大地震の時、伊方原発は8ヶ月の長期広域停電に耐えられますか?」という問いです。
今後仮に伊方原発を再稼働した場合、長期広域停電の中で、冷却を途切れなく続けることができるのでしょうか?
原発の運転を安全に止めるためには、燃料を冷やし続けるための電気が欠かせません。
福島原発で起こった事故はまさに、外部電源喪失に始まるメルトダウン、この福島の二の舞になる怖れが出ているのです。
残念ながら愛媛新聞を初めとするマスコミではまだ取り上げられていませんが、四国電力への公開質問状、昨年9月県議会での請願書、伊方規制事務所への申し入れなどで、この問題を解決しなければ、伊方の再稼働はあり得ない、と私たちは主張しています。
非常に規則正しく起こっている南海地震は、今後30年間の発生確率、70%と言われていますが、地震が最大規模となった、その最悪の事態を防災においては想定しなければ対策に失敗します。
県民の生命・財産を守るのが地元自治体の、県の役割です。この問題から逃げ出すことなく正面から向き合えば、原発複合震災を避ける唯一の手段が、再稼働をさせないことだ、という結論に必ず達するはずです。
この長期広域停電の問題は、四国電力にとっても、電力の安定供給という、本来事業の継続に関わる重要な警告であるはずですが、仮に伊方原発の再稼働に差し障りがあるという理由で、この研究を黙殺してしまうなら本末転倒です、公開質問状は黙殺されましたが、これからも真摯な防災対応を電力会社に求めていきます。
国の原子力規制委員会で伊方に関わる規制審査が行われていますが、実は変電所から上流側の電源の問題については扱わない、と規制委員長は公言しています。火力発電所が全て停まる問題は、経産省の管轄でしょ、という態度です。安全性を担保しない無責任な規制委員会です。
まとめますと、四国の火力発電所はすべて5ヶ月以上の長期広域停電すると専門家から想定されています。南海トラフ巨大地震で怖いのは、遠くの火力発電所が津波被災することで広域停電が起こり、全電源喪失に伴う伊方原発のメルトダウンです。福島の二の舞となることをなんとしても止めましょう。この問題を広めていただきたいと思います。」
実際には参加しに入口から入っていたのは南予の各基礎自治体の防災担当者の方たちでしたが、9割以上の人がおとなしく私たちのリーフレットを受け取っていました。南海トラフ巨大地震の、あるいは原発複合災害の防災が本当にできるのか、これからもその人たちに尋ねたい、と思います。
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