I.Takashi @ NED

商業計画プランナー、リサーチャー、ライター。
海外の街や特別なホテルの情報、最新農業事情や食の研究などをお届けします。

【Business Blog-04】中国大型商業開発の推進体制

2017-03-31 10:14:51 | 【Business Blog】Business / Projects

大きなプロジェクト、そして大きなデベロッパーになると、

中国人だけでは経験が足りない、ということで

中国語に精通した香港人や台湾人、シンガポリアン達が

重要な役職についてプロジェクト体制が組まれることが多い。

場合によってはそれが韓国人や日本人になることもある。


今上海でやってる大型商業施設は延床面積で14万平方メートルほど。

日本だと非常に大型の部類。中国でも比較的大型です。

そして建築だけは計画が進んでいて、肝心の中身(テナント構成)は

まだまだ決まっていないという中国でよくある開発計画です。


日本の会社として商業コンサルティングを受けることになり、

その場のポテンシャルに合わせた中身を考えるにあたり、

建築条件や消防などの法規との照らし合わせが重要になります。

一部テナント構成によって建築の修正が求められます。

特に最近は地下の計画での書房規制が厳しくなってきています。


ただし、我々コンサルの意見が通るかどうか、

それはクライアント社内の体制や政府への交渉力が求められます。

特に中国もまだまだ発展途上にある国で、全てが法規化されているわけではないので、

例えコンセプトがよくても政府との交渉力が弱くては実施は不可能です。

そこで重要になってくるのが政府交渉を担当するクライアント側です。

その人物は、現地政府に精通している中国人である必要があります。

そして状況を的確に社内や社長に伝え、プロジェクトを進めることができる必要があります。


そういう実施・推進していく段階で一番中途半端なのが外国人。香港・台湾・シンガポール。

中国語は話せても、現地で推進していく力は弱い。

そして中国人との密で有益なコミュニケーションを取ることは難しい。

給料やタイトルは高いけど、推進力を持たない立場の人は社内中国人にも尊敬はされない。

 

そういう状況を見るにつけ、

中国で中国語を話して仕事をする外国人の中途半端さを実感する。

「今後も発展する中国語が話せれば将来仕事に困らない」

というような文句を目にすることも多いが、果たして本当にそうか?

「中国以外の国で華僑と仕事をする上でも中国語は有益」

という人もいるが、華僑は大体英語を話せるので英語ができれば事足りる。

 

中国経済は今後も発展するし、中国語を話す人口は今後も増える。

そして中国語の重要性は今後も増す。

ただしそれは中国国内の発展に寄与し従事する場合、だと思う。

 

日本人をはじめ、外国人が中国国内での経済活動で活躍していく未来は明るくない。

中国はより内向きの傾向を強めているし、今後はもっと強くなるように思う。

というようなことを、プロジェクトの推進現場を通して感じました。

日本のプレゼンスや価値をこの国でギリギリ保てるのもあと数年かな。。。

 

I.Takashi

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【Business Blog-03】中国のアウトレットモール・ビジネス

2017-03-16 16:00:53 | 【Business Blog】Business / Projects

現在関わっている商業施設の一つに、
アウトレットモールを作るプロジェクトがある。

中国も日本同様、物あまりの状態である。

日本と小売の状況が少し違うのは
中国の関税は日本より高く
ブランド物の価格が一様に高いことにある。

商業施設が溢れ、商品が飽和してきて初めて
アウトレットというビジネスが成立する。
上海も今やアウトレットブームになりつつあるのだ。

中国はそれに加えて、ネットショッピングが活況だ。
日本の慎重な文化で普及がスローな印象だが、
中国では「まず試してみる」文化。
だからヒットすれば爆発的に伸長する。
結果、中国のイーコマースは日本と比べものにならないほど便利で
多様に広がりを見せている。
地方からの出稼ぎの人たちによる配送費の安さもポイント。
そして、その影響は実店舗である商業施設への影響が大きい。

そのような状況下で、
アウトレットは業態として新しくそして唯一のホープとみられている。


ただ、中国においては
中国の商業デベロッパーや不動産投資家からすると、
「一つの新型業態」という側面が大きい。

アメリカで発展された一つのビジネスである「アウトレットモール」は
オーナー、店舗主、消費者の全ての人にとってwin-winのビジネスモデルである。
イニシャルコストを抑えた安い建物と郊外立地に
安くて高品質な商品のブランド品を並べることによりお客様に訴求し、
そしてテナントには都心と変わらない家賃を設定する。

ただ、中国のアウトレットはそのような先を見たプロジェクトは
外資資本の計画のみで、特に国内デベにとっては後付けの業態。
建物を計画しちゃったけど、売れるのはアウトレットしかないから、
アウトレットを計画しよう、というものが多い。

日本が関連していること、日本人であることは大きな信用材料になる。
それを最大限理解してもらい、開発コンセプトを組み上げ、
テナント構成を計画していくという仕事を請け負っている。

私が日々仕事をしている上海は、
香港を始め、台湾、シンガポール、そして欧州の人々も多く入っている。
そのような国際的な友人たちに日々協力を仰ぎながら
テナントヒアリングをしながらコンセプトを考えていくことができるのは
大陸で仕事をすることの一つのメリットであると考えている。

I.Takashi

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【Business Blog-02】内需拡大する中国における外国人の価値

2017-03-12 20:56:02 | 【Business Blog】Business / Projects

ご存知の方も多いとは思うが
中国ではSNSと言われるものはほぼ使うことができない。
Facebook, twitter, instagram, LINEなどなど。

そして2017年3月初旬から
今までは問題なく使用できていた
pinterestも中国で使えなくなった。

ただそれらは「VPN」という抜け穴を使って
それらにアクセスすることが可能なのだが、
2018年中までにそのVPNも順次閉鎖、規制対象になるらしい。

そういうことになっていくと、
中国は、より内向きな情報へとひた走ることになる。

内向きに変化していく中で、
中国国内の状況は二極化すると思う。
一つはより国際的に発展する形、
もう一つはより中国国内に特化していく形。

内需がこれからも伸びる大国インドや中国は
内向きでも伸びていくことは間違いない。
中国の内陸部や地方で仕事をしたことがある人は、
そのことが身をもって理解できるはずだ。
まだまだ必要なものが全然足りない。
100万人都市であっても市中心に
昔ながらの百貨店もどきが一つ二つしかない街は多い。
中国国内の需要は間違いなく拡大する。
それに照準を合わせた展開も加速するはずだ。


外国人クリエイターやプロデューサーが
中国で活躍する場合、海外の視点や考え方が
中国国内で新鮮さをもって受け入れられることが
付加価値になることが多い。

同時に、中国国外との関係が閉鎖的になるにつれ
中国人が国内で得れる情報や感覚が
より中国固有のものへと変化する。

要するに、今後は中国国外に十分に接して
中国に持ってくることができる者のみ
中国国内で付加価値を得れるということになる。
ただし前提として中国との深いネットワークは重要だ。

内外の移動を通して
新しい視点とネットワークを強化することこそ
自分の価値を最大化する唯一の方法であると感じる。


I.Takashi

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【Business Blog-01】国営企業と付き合う方法

2017-03-10 15:30:12 | 【Business Blog】Business / Projects

上海で50年続く企業というのは中国ではもはや老舗だ。

そんな中国老舗食物販の企業と現在仕事をしている。
私たちの会社の役割はMD(商業用語でマーチャンダイジング、つまり店舗や商品の配置計画)と店舗内装のコンセプトデザイン。
まだ起業して丸2年しか経っていない会社にこんな老舗企業からお声がかかるのは非常に珍しいと思う。
この会社はグループ会社の一員で、親会社は国営会社。
そして今回契約した食物販企業は上海市内に10店舗弱を運営している。

奇しくも今回受託したプロジェクトは既存店の改造。
そして新しい時代にあったフラッグシップの役割と担う。
社内的にも非常に重要なプロジェクトだ。

中国だけにとどまらないが、国営企業というのは社内のプロセスが長い。
そして例え、良いプレゼンをしたとしても会議のその場では決まらない。
反応が薄いので非常にわかりにくい。
国営には色々な部門と重要な位置を占める職位の人たちが多数いるのだ。
政府の役人も組織の一員に入っている。
表では話されない裏での駆け引きや力比べもあるだろう。

中国国営企業またはそれに準ずる企業とうまく付き合うコツは、
そんな状況下で結論を急がないこと、そして先方社内の意向を汲み取ること。
プロジェクト担当者を見極め、その担当者の意向を読む。
そして多方面から情報の裏を取り、
プロジェクトが実行可能なスケジュールと予算を予測する。

昨今の中国企業、国営企業も含め、
実効性や効率性が求められるようになっている。
今までのビジネス習慣が変わろうとしている過程だ。

あと10年経てばここ中国で日本と同じように仕事をすることができると思う。
ただし、担当者への深いヒアリング、クライアント文化の深い理解がかかせないことは、
仕事をする上で日本でも中国でも同じことであろう。

ただし、海外の国策、異文化理解と言葉の理解が前提となるので
引続き日本人には、業務上高いハードルとなることは間違いない。。。

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